2020年3月22日更新
『ホワイトカラーは給料ドロボーか?』(門倉 貴史,光文社新書,2007年6月20日発行)を読了。
業務を効率よく運営することを目的として,企業組織が管理部門と現場部門に分かれていったのである。そして,この組織形態が定着すると,それにともなって管理部門の労働者がホワイトカラーと呼ばれ,現場部門の労働者がブルーカラーと呼ばれるようになった。(p. 15)
ホワイトカラーとブルーカラーの成り立ち。
シュムペーターは,企業家による生産要素の新結合こそが経済発展の原動力になるとして,イノベーションを次の五つのケースに分類している。(pp. 76 - 77)
- 今まで消費者が知らなかった全く新しい商品を市場に投入する
- 今までどの企業も採用していなかった全く新しい技術を導入する
- 今まで誰も手をつけていなかった全く新しい市場を開拓する
- 新たな原材料の供給源を確保する
- 新しい産業組織構造を形成する
2020 年の発送分離(新しい産業組織構造を形成)は,イノベーションのチャンスと捉えよう。
組織全体の二割の人が売上高全体の八割を稼ぎ出しているという「パレートの法則」なる経験則を主張する人もいる。もちろん,労働生産性が高くもなく,低くもない中間的なところに位置する労働者も多数存在するが,この人たちの一部は,より労働生産性の高い労働者に助けられ,また一部はより労働生産性の低い労働者を助けている。(p. 84)
労働生産性の低い人の生産性を上げることができれば,効果は大きい。
現在の労働基準法は,ブルーカラーが全盛の時代につくられたもので,ホワイトカラーが労働者の主流となった今日では,現実に適合しなくなっている部分が多い。とりわけ,仕事の内容が時間では評価できないホワイトカラーに労働時間規制を設ける必要性は薄れている。(p. 226)
ホワイトカラーは,頭さえあれば,色々な思考はできる。
時間ではなく,成果で示せ。
その点,日本は欧米諸国と事情が大きく異なる。ついこの間まで終身雇用・年功序列賃金がメインストリームであった日本の企業で,いきなり一律にホワイトカラー・エグゼンプションを導入しても,企業は個々のホワイトカラーを的確に評価することができず,おそらくは,優秀で能力のあるホワイトカラーほど,自分の働きに見合わない低い賃金に甘んじることになるのではないか。(p. 227)
優秀な人が報われる社会にしないと,モチベーションが上がらないのではないか。