2020年9月18日
『データの見えざる手 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』(矢野 和男*1,草思社文庫)を読了。
テクノロジーは,社会を変えてきた。それは経済活動を高め,生活水準を豊かにしてきた。ドラッガーによれば,20 世紀には,肉体労働の生産性が 50 倍向上したとされる。これには,テクノロジーが大きく寄与している。(位置 No. 666)
肉体労働の生産性は 50 倍向上しても,労働時間が 1/50 倍にならないのはなぜだろう。
新しい価値を産み出す活動をしているのか。
それとも価値を産み出さないクソ仕事をしているのか。
幸福な人は,仕事のパフォーマンスが高く,クリエイティブで,収入レベルも高く,結婚の成功率が高く,友達に恵まれ,健康で寿命が長いことが確かめられている。定量的には,幸せな人は,仕事の生産性が平均で 37 % 高く,クリエイティビティは 300 % も高い。
重要なことは,仕事ができる人は成功するので幸せになる,というのではなく,幸せな人は仕事ができるということだ。(位置 No. 750)
幸福な人になろう。
結論を一言でいえば,「活発な現場」では「社員の生産性が高まる」し,一方「活発でない現場」では「社員の生産性が低くなる」のは普遍的・一般的な傾向である。(位置 No. 963)
何となくわかっていたことも,データで裏付けられる。
活発さを測定することができれば,生産性を予測できる。
ビッグデータで儲けるための3原則(位置 No. 2308)
- 向上すべき業績(アウトカム)を明確にする
- 向上すべき業績に関係するデータをヒトモノカネに広く収集する
- 仮説に頼らず,コンピュータに業績向上策をデータから逆推定させる
ビッグデータを取り扱う前に,仮説は捨て去ろう。
ヒューマンパワー(人間力)とマシンパワー(機械力)の共進化による生産性向上。分業によって道具をつくり専門を深めた人間(第1世代)は,優れた人のノウハウを共有し学び(第2世代),時空を超えてあらゆる現実に直接自律的に学ぶことで自分の能力を増幅する(第3世代)。 (位置 No. 2406)
今の時代,自律的に学び続ければ能力を増幅できる。
未来は予測できない。したがって,予測困難な未来に向けて,組織が対応力を持つことが社会にとって重要なのだ。この実現に向けて,大量データの活用を期待したい。不定形でしたたか(ロバスト)な自律的組織を大量のデータを用いて実現できないだろうか。(位置 No. 2633)
予測困難な未来に立ち向かうためには,大量データが武器になる可能性がある。
AI の本質は「不確実性に向き合う人間の方法論」である。そして,この新しい方法論を具現化する道具がソフトウェアとしての AI である。(位置 No. 2862)
AI は不確実性に立ち向かうための武器に過ぎない。