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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

リスキリング大全 キャリアの選択肢が増えて人生の可能性が広がる

私の周りでは,リスキリングが流行っているので,『リスキリング大全 キャリアの選択肢が増えて人生の可能性が広がる』(清水久三子,東洋経済新報社,2024年1月30日)を読んでみた。

本稿は,読書カテゴリー 1,000 件目の記念すべき投稿。

本書を読むにあたっては,意識を以下のように変えましょう。(p. 12)

リスキリング = 国や企業の要請で DX 人材になるためのスキルを身につけさせられる

リスキリング = 環境変化に対して自身のあり方を決めて自己変革する

自らの意思でリスキリングする。やらされるのではなく,やる。

特にどのような場合に,迅速なリスキリングが求められるかというと,以下のような場合です。(p. 62 - 63)

  1. 新しい技術の導入
  2. 業務プロセスの変更
  3. 新規事業の立ち上げ

私自身,新しい技術の導入,業務プロセスの変更を役割として与えられたとき,リスキリングする必要に迫られた。

日常的に自己効力感を高めるためのワークとして,「3 good things(3 つのよいこと)」があります。ポジティブ心理学の提唱者,ペンシルベニア大学セリグマン教授が提案したとてもシンプルな手法で,1 日の終わりに今日よかったことを 3 つ書き出すというものです。(p. 79)

1 日の終わりによかったことを 3 つ書き出すことをやってみようか。

稼ぐための能力の 1 つ目は「キャリア・アダプタビリティ」です。キャリア・アダプタビリティ (Career adaptability) とは,時代の変化など,環境に合わせて変化を受け入れ,キャリアを適合させる能力です。この能力が高い人は,仕事の変化に対して柔軟に対応できて成果をあげやすいといわれています。この概念はキャリア理論家である,マーク・L・サビカス博士によって,提唱されました。(p. 91)

自らの意思か,他者の意思かはさておきとして,私が十数年間,同じ仕事をやっていないのは,仕事の変化に対して柔軟に対応しているからだろうか。

リスキリングは一度きりのイベントではなく,持続的に求められる能力(p. 101)

リスキリングには終わりはない。

無形資産とは,今は「目に見えない資産」であっても,いずれ有形資産につながりお金を生み出すことができる資産です。例えば,以下のようなものです。(p. 106)

  1. 受けてきた教育や保有する能力
  2. 人的ネットワーク
  3. 個人のブランド
  4. 活力資産

1. と 2. はこれまで蓄えてきた。これからは,個人のブランドを高めていくことに取り組んでみようか。

概念の理解:「知っている」スキル習得に必要な情報を知識として知っている状態

具体の理解:「やったことがある」実務として実行した経験がある状態

体系の理解:「できる」異なる状況でも再現できるスキルになっている状態

本質の理解:「教えられる」これからリスキリングをする人に教えられる状態(p. 113)

体系,さらには本質を理解できるまで高めていく。

現代は仕事の高度化・専門化が進んでいるため,インプットの量も自ずと膨大になります。この時に気をつけたいことは,膨大な情報に翻弄されないということです。最初に,しっかりと全体を把握し,計画的にインプットをしていかないと,その情報量に圧倒され,やってもやっても終わらない……と挫折してしまったり,あまり重要ではない箇所を深掘りしてしまうなど時間を無駄遣いしてしまうでしょう。(p. 129 - 131)

自分のキャパシティを考えて,仕事を選ぶ。選んだ仕事において,計画的にインプットしていく。

打合せがあるその日までに「詳細は知らなくても,その領域の全体像を大雑把にでも理解しておき,何かしら見解か仮説を述べられて議論に参加できる」レベルにしておく必要があります。期日があり,そのタイミングでバリューを出す必要があるビジネスパーソンにとって,全体を把握し,スパイラルに深めながら学習するのは鉄則です。(p. 167)

打合せに丸腰で臨むようなビジネスパーソンではダメだ。

具体と抽象の行き来で学びの取れ高を上げている例(p. 183)

  • 抽象を知る:まず書籍や研修で学ぶ
  • 具体を知る:やってみて気づきを得る
  • 抽象化する:得られた気づきを言語化して再現性を高める
  • 具体例を増やす:異なる状況でやってみて,共通点や違いを理解する

私自身,具体と抽象の行き来で,学びを深めている。抽象と具体を繰り返すことで,学びを深めていける。

多くの人はせっかく本を読んでも実行しないといわれており,実際に行動に移す人は約 1 割程度といわれています。いかに本を読んだだけで終わっている人が多いのかが分かりますね。実行に移す 1 割の人になるためにもラーニング・ジャーナルの働きは大きいといえます。(p. 251 - 252)

習慣的に本を読む人は少ない。本を読んでも行動に移す人は約 1 割。

逆に言えば,本を読んで,行動に移せば,圧倒的に有利。

人から教えてもらうときも,その教えをそのままなぞるのではなく,一旦整理して,「つまりこういうことなんだな」と抽象化して理解するので,応用ができます。(p. 274)

「つまりこういうことなんだな」と抽象化して理解できていれば,応用ができる。応用ができない人は,抽象化して理解していないんだな。

正解かどうかはさておき,何かを学んだ最終アウトプットとして,因数分解で本質を導き出すことは非常に大切です。これには,3 つの理由があります。(p. 307)

  1. 理解と記憶の定着が進む
  2. 学んだことが洗練される
  3. 自分で物事の善し悪しが分かる

せっかく学ぶのだから,本質までたどり着きたい。

「発信や教える機会があれば,惜しみなく打席に立つ」

これを実践した人は学びが深まるだけではなく,「この人はこういうことが得意だ」というラベルがつけられます。そのことにより,仕事の機会が増えるのです。(p. 316)

新しく得た知見は,必ず発信するように心がける。取り組んでいるテーマがニッチであれば,最前線に立つことができる。

越境学習では,越境した直後に,元いた場所との様々な違いに打ちのめされて葛藤し,越境から戻ってきた時には,もともとの自分の職場の信念や流儀と,越境学習で得た信念や流儀がせめぎあって,また葛藤するそうです。(p. 351 - 352)

越境学習での葛藤は,一度だけ経験した。二度葛藤するというには,非常に納得できる。

外資系で働いている人は「FYI」という言葉がタイトルについたメールを受け取ったことがあるかもしれません。これは「For Your Information」の頭文字で,相手の参考になりそうな情報を送る際につけるものです。日本語で言えば「ご参考までに」ということになります。(p. 366)

ご参考まで,と情報を添えるとき「FYI (For Your Information)」に変えてみようか。

「仕事で忙しいから,学ぶ時間がとれない」とは,学んでいない人がよく使う常套句です。(中略)

今は仕事の生産性が問われる時代です。学ぶ時間が確保できないほど忙しいのは,むしろ仕事ができない人と見られてしまいます。「忙しいから学べないのではなくて,学ばないからムダに忙しい」のです。(p. 376)

「忙しいから学べないのではなく,学ばないからムダに忙しい」は経験的にも納得できる。学んでいる人は,どんな仕事も華麗にこなす。

ファシリテーション入門

ファシリテーション入門』(堀公俊,日本経済新聞出版社,2004年7月15日)を読了。

ファシリテーション (facilitation) を一言でいえば,「集団による知的相互作用を促進する働き」のことです。

facilitation の接頭語である facil はラテン語で easy を意味します。「容易にする」「円滑にする」「スムーズに運ばせる」というのが英語の原意です。人々の活動が容易にできるよう支援し,うまくことが運ぶようにするのがファシリテーションなのです。(p. 21)

人びとの活動が容易にできるよう支援し,うまくことが運ぶようにする。

教育という言葉から多くの人がイメージするのは,「正しい知識を持った人(教師・講師)が持たない人(生徒・受講生)に転移させていく」という学習転移モデルではないかと思います。現に学校教育でも企業研修でも,このスタイルがいまだに主流となっています。

ところが,教える側にとって効率的なこの方法は,教えられる側にとって退屈で納得感に乏しいものといわざるをえません。底上げには向いていても,行動変容には結びつきにくいという欠点があります。(p. 49)

行動変容に結び付けるためには,学習転移モデルでは足りない。

ファシリテーションは一部の専門家だけが持つスキルではありません。社会的なスキルのひとつであり,常に組織と関わって生きていく現代人であれば,誰もが持たなければならないものです。(p. 57)

ファシリテーションのスキルは,現代人であれば誰もが持つべきもの。

我々が日頃やりとりしている知識には,形式知暗黙知の二種類があります。形式知とは,レポートやマニュアルに代表される言語化できる知識です。それに対して暗黙知は,勘・コツ・イメージなど言葉で言い表せない知識です。(p. 115 - 116)

勘・コツ・イメージなど言葉で言い表せない知識を形式知化していく活動は続けていきたい。

少し脱線しますが,人の思考法にはパターンがあり,演繹的に物事を考える人と機能的に考える人の二種類のタイプがあります。前者は,議論の目的を見据えて,課題を大枠からとらえていこうとします。詳細よりも全景を概観しようと思い,それができるまで細部に入っていこうとしません。詳細にあまりこだわらないため,細部のつめが甘くなってしまうこともあります。(p. 143)

私は演繹的に考える人だろうか。

ファシリテーション・グラフィックとは,一言でいえば「議論を描く技術」です。議論をリアルタイムに視覚情報(図解)に落とし込んでいくことで,言葉が飛び交うだけの「空中戦」を「地上戦」に変えようというのです。(p. 146)

ホワイトボードに議論を描けるようになれば,空中戦を地上戦に変えることができる。

良いフィードバックとは,相手の行動や態度を見て思ったことや自分に与えた影響などを,できるだけ具体的に伝えてあげることです。批評や助言は必要なく,相手の行動をコントロールするようなことを言ってはいけません。フィードバックを聞いてどうするかは相手に任せておけばよく,相手を写す鏡として,ありのままを伝えてあげればよいのです。(p. 180)

良いフィードバックとして,相手の行動や態度を見て思ったことや自分に与えた影響などを,できるだけ具体的に伝えてあげることを実践してみよう。

臆病者のための億万長者入門

『臆病者のための億万長者入門』(橘玲文藝春秋,2014年6月20日)を読了。

資産とは収入の多寡によって決まるのではなく,収入と支出の差額から生み出されるものなのだ。(p. 14)

当たり前のことではあるが,収入を増やし,支出を減らせば,資産は増えていく。

インデックスファンドによるドルコスト平均法では,株価の暴落こそが投資の最大のチャンスになるのだ。(p. 104)

株価の暴落のとき,投資のチャンス。

インサイダーマーケットでは,情報は中心から周縁へと拡散し,劣化していく。

もっとも有利なのは一次情報を入手できる不動産業者や不動産投資ファンド,金融機関などで,収益性の高い優良物件は彼らが真っ先に購入してしまう。

次いで優位に立つのは一次情報の周囲にいる投資家たちで,彼らは特定の業者と懇意になるか,勉強会などに参加して,すこしでも早く有利な情報を手に入れようとする。不動産投資のノウハウというのは,けっきょくのところ「いかにしてインサイダーになるか」ということに尽きるのだ。(p. 178)

投資で有利な情報を集めて,投資に活かす。

金融リテラシーをひとことでいうなら,相手の立場になってみることだ。リテラシーの高いひとは,一見,得なような話(金利を上乗せしてくれるとか,何歳でも保険に入れるとか)があると,コストがどうなっているかをまず考える。そのためには金融市場(金融商品)の基本的な仕組みを知らなければならないが,これはべつに難しいことではなく,ちゃんとした本を何冊か読めばいいだけだ。

リテラシーの低いひとはこうした努力をせず,すべてを自分中心に考える。「特別な私は特別な幸運に恵まれて当たり前」と思っているから,荒唐無稽な詐欺商法に引っかかるのだ。(p. 217)

相手は何を狙って得な話を持ってみるか考えてみる。

本書の読者には釈迦に説法かもしれないが,資産を守るための第一のルールは「金融機関が熱心に勧誘するウマそうな話はすべて無視する」ことだ。(p. 225)

「熱心に勧誘するくらいなら,自分で投資しなよ」と言ってみよう。

コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル

コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』(メン獄,文藝春秋,2023年3月20日)を読了。

速度を身につけるためには,まずこの「迷子の状態で漫然と作業している時間」を徹底的に排除する必要がある。その第一歩として,1 日 8 時間の作業ロットを 2 時間単位に分割したい。

例えば朝,何か上司から指示された場合,日を跨いで結果を見せるようでは遅い。朝一で指示があれば,遅くとも午後一に,一度何かしらの作業進捗を上司に見せられるコミュニケーションが必要だ。(p. 30)

漫然と作業している時間は,あっという間に過ぎていく。

「僕たちはピカソの絵にならないといけない。ピカソの絵を買う人は値段を見て買ったりしない。ピカソの絵だから買うんだよね」(p. 48)

アイツだから任せる,と思われるようになる。

すべての資料には目的がある。その資料がなんのために書かれたもので,その資料によって誰に何を言ってもらいたいのか,というストーリー性が必要だ。そして上司へのレビュー依頼は,その目的を達するために必要な情報がこの資料に過不足なく記載されているかどうかの判断をしてもらうプロセスだと考えると良いだろう。(p. 53)

資料の目的を考えれば,資料に何を書けばよいのかわかる。

「論点の設定が悪いから会議が紛糾するし,出席者が自由に発言する場になってしまっている。アジェンダがソリッドじゃない。もっと研ぎ澄ませ」(p. 95)

論点の設定さえ良ければ,会議は紛糾しない。

毎日毎日,少しずつの工夫と徹底した継続を行うことで,3 ヶ月から半年,あるいは 1 年という時間の中で,できるようになったことをやっと実感できるようになるのが仕事における成長だ。成長のためには,息の長い持続可能な働き方こそが大切なのだ。(p. 133)

少しずつの工夫と徹底した継続により,成長を実感できる。

後々の大きなトラブルを未然に回避するためには,どんなに小さな違和感であっても,言語化し,その違和感の正体を見極めるようにしたい。(p. 172)

違和感を言語化して,正体を見極める。違和感をそのままにしておくと,トラブルにつながってしまう。

部下への依頼時チェックリスト(p. 212)

  • 作業の背景・目的を伝えたか?
  • どの会議でどのように使う資料なのかを伝えたか?
  • インプットとなる情報を明確にしているか?
  • アウトプットのイメージを伝えているか?
  • ルフレビューの観点を伝えているか?(最低限自分でチェックしてほしい部分)
  • 期限を伝えているか?
  • 確認が必要な関係者を伝えているか?

部下への依頼するときのチェックリストとして利用できそう。

部下への作業依頼の鉄則として,「自分でやろうと思えばできること」でなければ部下に投げてはいけない。通常,作業の指示は仕事のインプットとアウトプット,そしてインプットからアウトプットへの変換のプロセスを手順としてはじめて成立する。

自分にプロセスと完成形のイメージがないと,インプットかアウトプット,あるいはその中間手順について,部下に考えさせることになる。既に習熟した関係性のある上司と部下であれば大きな問題が生じないこともあるが,部下が持ってきたアウトプットが自分の想定と大きく異なる事態を招くことも多い。(p. 214)

自分でやろうと思えばできることを部下に任せる。自分でもわからないことは,部下にわかるはずがない。

振り返ってみれば,マネージャー時代に自分が成長できたと実感できたのは,自分一人で勝つのではなく,チーム全体でプロジェクトを成功させるゲームメーキングができるようになってきた時からだ。(p. 260)

チーム全体でプロジェクトを進めると,マネジメントが面白くなる。

プロジェクト単位の仕事において,できない社員を一人抱え続けるということは,その分の負荷を他の社員に強要することになる。もし,米田をプロジェクトに残したいのならば,米田が軌道に乗るまでの負担増はマネージャーがリカバーできる範囲までとするべきで,他のメンバーの負担となることを看過してはならなかった。(p. 268)

できない社員の扱いには注意する。できる社員に悪影響を及ぼすのは避けなければならない。

漫画『HUNTER × HUNTER』では,ある武道家が,自分を育ててくれた武道への感謝の気持ちを込めて,「1 日 1 万回の正拳突き」を数年間毎日行うシーンが描かれている。周囲からすれば異常,狂気とも思えるこの習慣は,結果としてこの武道家を唯一無二の存在としてのステージへと導く。

"狂気がスペシャリティを作り,スペシャリティがキャリアを作る"。

効率や勝ち筋という視点だけで自分自身の働き方を選んでいては,唯一無二の存在には永遠にたどり着けない。(p. 278)

習慣が自分のキャリアを作る。

ビジネススキル・イノベーション 「時間×思考×直感」67 のパワフルな技術

『ビジネススキル・イノベーション 「時間×思考×直感」67 のパワフルな技術』(横田尚哉,プレジデント社,2012年9月1日)を読了。

日常に潜む時間リスクを,他にもいくつかあげてみます。(p. 19)

「いざ仕事をしようと思ったら,必要な資料がそろっていなかった」(資料の欠落)

「上司の意図を誤解したまま仕事を進めて,やり直しを命じられた」(要求への無知)

「自分のスキルが足りずに,作業のスピードが上がらなかった」(技術の未熟)

「顧客に叱られて気分が落ち込み,仕事に集中できない」(気力の低下)

期限通りにタスクをこなさない人にありがちな行動。

私が会議の議長を務めるときは,効率を高めるために三つの約束を参加者にしてもらいます。(p. 81)

  1. 資料の事前理解
  2. 時間厳守
  3. 無発言者参加禁止

会議で発言しない人には,意見はないのか。

大切なのは「1 を知って,1 を教える」から「10 を知って,1 を教える」のレベルにいくことです。

1 を教えるなら,自分は 10 を知る。それにより,自分も一段上の高みに到達することができます。人に教えるのが一番の勉強という言葉もありますが,このように一段高い視点を獲得できることが,教えることの最大の効用ともいえるでしょう。(p. 96)

人に教えるため,10 を知る。これにより自分を高めていく。

不足を経験する方法は二つです。

一つは,リソース不足のベンチャー企業などに転職すること。もう一つは,チャレンジングな目標を掲げて,リソースが不足する状況をつくること。保護された環境下でも,10 日でやる仕事を 5 日でやると決めれば,努力,苦労,悩みが生まれます。

いずれにしても不足を経験するためには,現状に甘んじない勇気が必要です。意を決して,ぬるま湯から出ることができるかどうか。守りの時代においては,その決断が明暗を分けます。(p. 185)

転職するのは大変だから,チャレンジングな目標を掲げるという方法を採用しよう。

将来を見据えて行動するのは「プロアクティブ」ですが,現状に対応するのは「リアクティブ」です。経営者に求められるのは,プロアクティブな経営です。しかし実際にリアクティブに終始して,その姿勢をプロアクティブだと勘違いしているケースが多いのです。(p. 202)

自分の行動が,プロアクティブなものか,リアクティブなものか分類してみようか。

人は,自分が積み重ねてきた時間の分しか,未来を感じることができません。社会人になって 1 年経てば,もう 1 年先まで未来を描くことができます。5 年経てば 5 年先,10 年経てば 10 年先です。まだ何も積み上げていない学生に,未来のことを質問するほうがおかしい。

積み重ねてきた経験と思い描ける未来の範囲が比例するのは,未来を感じ取る感性が経験によって培われるものだからです。(p. 208)

社会人になって十数年。十数年先の未来を思い描いてみよう。

裏道を行け ディストピア世界を HACK する

『裏道を行け ディストピア世界を HACK する』(橘玲講談社,2022年1月1日)を読了。

1950 年代のコンピュータ草創期のハッカーたちを取材したサイエンスジャーナリストのスティーブン・レビーは,ハッカーを「冒険家,空想家,大胆な行動家,芸術家であり,何よりも,コンピュータがなぜ革命的な道具なのかを一番はっきりと知っていた」者だちだと定義している。(p. 4)

コンピュータが革命的な道具であるかを知り,それを使いこなそうするものがハッカーだろうか。

理想の性愛を実現するには,富を手にしなければならない。こうしてハックの標的は,「女の脳」から「金融市場」へと変わっていった。(p. 63)

金融市場をハックできれば,富を手にできる。

オルター*1によれば,行動依存には 6 つの要素がある。(p. 140)

  1. 目標:ちょっと手を伸ばせば届きそうな魅力的な目標があること
  2. フィードバック:抵抗しづらく,また予測できないランダムな頻度で,報われる感覚(正のフィードバック)があること
  3. 進歩の実感:段階的に進歩・向上していく感覚があること
  4. 難易度のエスカレート:徐々に難易度を増していくタスクがあること
  5. クリフハンガー:解消したいが解消されていない緊張感があること
  6. 社会的相互作用:強い社会的な結びつきがあること

行動依存を活用して,ダイエット(コレステロールを下げる,中性脂肪を下げることを含む)に取り組もうか。

少年期から膨大なポルノにさらされつづけたことで,「セックス拒食症」とでも呼ぶべき状態になり,ほんもののセックスと "ポルノの再演" のちがいがわからなくなってしまったというのだ。(p. 145)

ポルノが身近になり過ぎることの代償か。

近代というのは,わたしたちが息苦しい共同体(コミュニティ)を捨てて,モノやサービスを貨幣と交換するドライな関係(市場経済と資本主義)を望んだからこそ生まれたのだ。(p. 191)

望んだモノやサービスを貨幣と交換するドライな関係(市場経済と資本主義)を十分に楽しもう。

「設計主義」では,神の視点から善悪を判断するのではなく,ひとびとの自由な選択が「よりよい世界」につながるように社会や制度をデザインすることを目指す。

ナッジ (Nudge) は「そっと肘でつく」の意味で,行動経済学が明らかにした人間の非合理的なバイアスをそれとは気づかずに修正するデザインを考える。(p. 208)

よりよい世界につながるナッジを考えよう。

どのようなシステムも完璧なものではない以上,そこには必ず "バグ" がある。それを上手に利用することで,労せずして超過利潤を得ることができる。このような無リスクの収益機会が「黄金の羽根」だ。(p. 219)

バグを見つければ,それを上手に利用する。

*1:心理学者のアダム・オルター

バカと無知 人間,この不都合な生きもの

『バカと無知 人間,この不都合な生きもの』(橘玲,新潮社,2022年10月15日)を読了。

ぎすぎすした世の中に煩わされず,他者に「不道徳」のレッテルを貼って安易に批判せず,イヤなことがあっても「そのうちいいこともあるさ」と楽天的に考える。すくなくとも研究では,これであなたの幸福度はずいぶん高くなるらしい。(p. 25)

「そのうちいいこともあるさ」と楽天的に考えるだけで,幸福度が高くなるというのはお得である。

ここでいう「リベラル」とは「この世に生を受けた以上,自分の人生は自分で決めたい」「自分らしく生きたい」という価値観のことで,1960 年代末のアメリカ西海岸で生まれ(ヒッピームーヴメント),エピデミックのようにまたたく間に地球上を覆い尽くした。これはキリスト教イスラームの成立に匹敵する人類史的な事件だが,わたしたちはいまだにそれを正しく認識できていない。(p. 27)

リベラルという価値観は,私も共感できる。

「バカの問題は,自分がバカであることに気づいていないことだ」

自分の能力についての客観的な事実を提示されても,バカはその事実を正しく理解できないので(なぜならバカだから)自分の評価を修正しないばかりか,ますます自分の能力に自信をもつようになる。まさに「バカにつける薬はない」のだ。(p. 36)

「バカにつける薬はない」と悟り,バカとは距離を置く。

ハリネズミのように自分を大きく見せるのも,能ある鷹が爪を隠すのも,生き延びるために脳に埋め込まれた戦略なのかもしれない。(p. 41)

能力を正しく見せようとしないのは,長い時間をかけて練り上げられた戦略なのか。

賢い者がバカの過大評価に引きずられることを「平均効果」という。実験では,一方が他方の能力の 40 % を下回ると,話し合いの結果は優秀な個人の選択よりも悪くなった。

これがなにを意味しているかを考えると,次の二つの結論に至る。ただし,いずれもかなり不穏な話だ。

一つは,集合知を実現するには,一定以上の能力をもつ者だけで話し合うこと。これなら欠けた知識を持ち寄って,それを一つにまとめることで,個人の判断より正しい選択をすることができる。

もう一つは,それが無理な場合は話し合いをあきらめて,優秀な個人の判断に従った方がよい選択ができること。これはある種の貴族政だ。

"不穏" というのは,いずれの場合も,能力の劣った者を決定の場から排除する必要があるからだ。――これは私見で,研究者がこのような主張をしているわけではない。(p. 45)

能力のある者に決定を委ねる選択をできるようにすればよいのか。

創業者のワンマン経営で会社が急成長するのは,日本だけでなく,アップルやアマゾン,テスラを見てもわかるように世界的な現象だ。だとすればこれは,文化のちがいではなく,ヒトの本性だと考えるほかはない。

ワンマン企業が成功する(可能性がある)のは,「独裁者」の意思決定によって「バカに引きずられる」効果を避けられるからなのかもしれない。(p. 51)

話し合って決めるというのは,バカに引きずられることを受け入れることに他ならない。

集団ですぐれた意思決定をするための条件は,人種,民族,国籍,宗教,性別,性的指向などが異なるメンバーを集める多様性と,その全員が一定以上の能力をもっていることだ。このふたつの条件を満たすと,多様な意見が「化学反応」を起こし,とてつもないイノベーションが生まれる可能性がある。(p. 63)

多様性だけではなく,その全員が一定以上の能力を持っていることが,すぐれた意思決定の条件。

正しい投票のためには,自分がどのような政治を望んでいて,それに対して現状がどれほどかけ離れていて(あるいはうまくいっていて),各候補者が掲げる政策がどのような影響を与えるのかを知る必要がある。「価値はほぼゼロ」なのに,こんな面倒なことをするひとがいるだろうか(すくなくとも私はやらない)。(p. 70)

わざわざ投票場に行って,投票したとしても,私の一票はほとんど無価値だと思うと,投票するのは馬鹿らしい。

リベラルな社会では出自による差別は許されないので,もはや誰も「穢れた血が子どもに引き継がれる」などとはいわない。しかしその一方で,万世一系の神話では,「高貴な血は子々孫々まで受け継がれる」ことになっている。これは明らかに矛盾しているが,このなんともご都合主義的な解釈を否定すると天皇制が維持できなくなってしまう。(p. 150)

穢れた血は引き継がれないのに,高貴な血は引き継がれる。明らかな矛盾は,なるほどと思ってしまう。

洋の東西を問わず,富裕層は,道徳とか倫理とかにはなんの関心もなく,もっともコスパが高い手段を選択するのだろうか。これは経済学がいう「合理的経済人」そのもので,冷酷にリスクとリターンを計算する者が金持ちになるのだ――。(p. 166)

リスクとリターンを計算することを習慣づければ,富裕層に近づける。

「どのような性犯罪も見逃してはならない」とするならば,すべての証言を「事実」として扱うべきだ。それに対して「冤罪は一件たりとも起こしてはならない」とするならば,被害者や目撃者の記憶を犯行の証拠とすることは許されない。このようにして,2 つの「正義」が真っ向から衝突してしまうのだ。(p. 223)

現状,どれだけ正確に犯罪を裁けているのか興味がある。