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日本会議 戦前回帰への情念

2019年12月28日更新

日本会議 戦前回帰への情念』(山崎雅弘,集英社新書,2016年7月20日発行)を読了。

日本会議がその力を結集して,どうしても実現しなければならないのは,憲法改正であります。これなくして我が国の将来はありません」(『日本の息吹』2013年5月号)(p. 21)

我が国の将来を描く憲法を,我が国の手で改正する。

集団的自衛権が現行憲法の下で認められるのか。そうした抽象的,観念的な議論ではありません。現実に起こり得る事態において国民の命と平和な暮らしを守るため,現行憲法の下で何をなすべきかという議論であります」(首相官邸ホームページ)(pp. 24 - 25)

起こり得る危機を想定して,その危機から国民の命と平和な暮らしを守るために,何をなすべきか,それを考えるのが国の指導者の役割。

「戦後わが国は,戦禍にまみれた国土の復興と経済の立て直しに営々として努力した結果,世界に冠たる経済的繁栄を手にしました。しかしその一方で,国の基本である家庭や社会の興廃が叫ばれ,国民の中には行き過ぎた個人主義が蔓延し,国への誇りや責任感が薄れつつあります。また,激しい国際社会にあってわが国は,世界の大国としての応分の国際貢献を強く求められています」(『日本の息吹』1997年7月号)(p. 27)

個人主義が蔓延していくと,国家の統一性がなくなる。
自分のことばかり主張する,賛成・反対の議論ばかりが蔓延し,何も決まらない国家になってしまう。

「日本を守るとは,究極的には,皇室と神社に象徴されるこの国の形を守ることなんだ,これを守らなければ,日本という国は滅びてしまうんだということを肝に銘じ,このことを共に周りの同胞に語りかけていこうではありませんか」(『日本の息吹』2013年1月号,中西輝政京都大学名誉教授)(pp. 98 - 99)

日本を守るために,同胞に語りかける。

万世一系天皇の家計は建国以来途切れずに一本の系統として続いているという考え)
日本精神(古来存在する日本独特の精神)
万邦無比(世界に比べる相手がない,世界に類を見ない唯一かつ思考の存在だという考え)
天壌無窮の皇運天皇と皇統の繁栄は天や地と同じように永遠に続く)(p. 116)

万邦無比は,やや危険な言葉に思える。

「しかしながら,その驚くべき経済的繁栄の陰で,かつて先人が培い伝えてきた伝統文化は軽んじられ,光輝ある歴史は忘れ去られまた汚辱され,国を守り社会公共に尽くす気概は失われ,ひたすら己の保身と愉楽だけを求める風潮が社会に蔓延し,今や国家の溶解へと向いつつある」(『日本の息吹』1997年7月号)(pp. 126 - 127)

己の保身と愉楽だけでは国は守れない。
国のために何ができるか,一人ひとりが考える時なのではないか。

「100 年間にわたって米英の搾取に苦しんできたアジア諸国を解放し,大東亜永遠の平和と,帝国(日本)を核心とする道義に基づく共存共栄の秩序を確立する」(1942年1月21日,東條英機首相)(p. 165)

大東亜戦争アメリカ目線の用語である太平洋戦争とは言わない)は,侵略戦争ではなく,解放のための戦争である。

「日本を蝕む「憲法三原則」国民主権,平和主義,基本的人権の尊重という虚妄をいつまで後生大事にしているのか」(『正論』2005年6月号,日本会議副会長 小田村四朗)(p. 233)

綺麗ごとだけでは国は守れない。
国を守るためには現実を見なければならない。

日本会議 戦前回帰への情念 (集英社新書)

日本会議 戦前回帰への情念 (集英社新書)