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数式のない宇宙論 ガリレオからヒッグスへと続く物語 三田 誠広

2020年7月5日更新

『数式のない宇宙論 ガリレオからヒッグスへと続く物語』(三田 誠広,朝日新書,2013年9月30日発行)を読了。

 人間は自然の中で最も弱い一本の葦でしかない。しかし人間は考える葦である。人間を倒すのに宇宙は武器を必要としない。一陣の風,一滴の水が,人間の命を奪う。だが宇宙が人間を滅ぼす時,人間は宇宙より高貴である。なぜなら人間は自分が限られた命しかないことを知っている。人間の無力と,宇宙の偉大さを知っている。宇宙は人間について,何も知らない。(『パンセ』私訳)(pp. 12 − 13)

人間でありたいならば,考えなければならない。
そして,自らの無力と宇宙の偉大さを知る。

 宇宙というものは,奥深く,謎をはらんだ存在です。しかしそこには,謎を解くヒントが,巧妙に用意されています。わたしたち人類は,そのヒントを一つ一つ解いていくことになるのです。(p. 37)

宇宙を知るためのメッセージが,巧妙に用意されている。
そのメッセージに気づき,そのメッセージの意味を紐解くことが宇宙を知ることになる。

 ラプラスは,すべての粒子の位置と運動量がわかれば,未来の現象はすべて計算によって予測することができるという,「決定論」的な世界観を示し,『天体力学概論』という大著で,物理学の勝利を高らかに宣言しました。(p. 168)

コンピュータもない時代に,未来の現象はすべて計算によって予測できると言ったラプラスの頭脳はどうなっているのだろうか。
ハッタリなのか,それとも計算する術を知っていたのか。

 平面にへばりついている生物と同じように,わたしたちは,3次元の空間に囲まれている生物です。
 宇宙というものが,より高い次元にまたがって存在しているのだとしたら,わたしたちがいま見ているものは,宇宙の影にすぎないのです。
 それでも,わたしたちには,想像力があります。3次元空間をよぎっていく,より高い次元の存在を,イメージによって推察することが可能です。

3 次元に生きる我々は,3 次元よりも高い次元の存在を推察することができる。
それが我々人間の強みである。