Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

この国を出よ

10 年以上前に書かれた『この国を出よ』(大前研一柳井正小学館,2013年2月1日)を読了。日本はどれだけ変わっただろうか。

リスクを恐れていたら,きっと何もできなかったでしょう。また,いくら経営が好調でもリスクがゼロということはありません。まして先の読めない今の時代は,あらゆる変化がリスクと言ってもいい。そんな中で安定を求めて現状維持に汲々としたり,リスクを恐れて何もしなかったりすることこそが一番の「リスク」なのです。(位置 No. 268)

リスクを恐れて何もしない状態は今も続いているか。

僕は今の日本に大きな不満を持っています。いや,不満というよりは,現在の状況に対して警鐘を鳴らさないと国民全員で沈没してしまうという危機感と言ったほうが正しいかもしれません。本来,その仕事をすべきマスコミも,表層的な事象を報じるばかりで本質的なことは伝えない。だから僕の中では,なおさら危機意識が強くなってきています。(位置 No. 617)

国民全員で沈没してしまうという危機感は,より強くなっているか。

もちろん弱者救済の制度は必要です。しかし誤解を恐れずに言えば,税金を払えないほど収入の少ない人たち「だけ」の声ばかりを聞いて,「どんどん助けます」と大盤振る舞いをしていたら,日本は沈没してしまいます。(位置 No. 765)

弱者救済は最小限にしよう。

会社組織には,「コーポレート・メモリー(企業の記憶)」の蓄積が必要なのに,ほとんどの日本企業には,それがありません。

「コーポレート・メモリー」を非常に重視しているアメリカのエンジニアリング・建設大手のベクテルは,一つのプロジェクトが終わると,時間を費やして,「学んだこと」「取引してはいけない企業」「資材購入してはいけない企業」「使ってはいけない人々」などの様々なデータを集めて蓄積します。そうしておけば,将来,違う人間がプロジェクトを受注した際,そのデータを参考にしながら進めることができるので,失敗が少なくなるわけです。組織もこのようにすれば「大人」に成長していくのです。(p. 863)

コーポレート・メモリーが蓄積されていないから,同じような過ちを繰り返す。

高額所得者の税率は,所得税 40 % と住民税 10 % の合計 50 % です。これをさらに上げようという議論もありますが,ナンセンスです。そんなことをしたら「稼ぐ力」を持つ人材は,税率の低い他の国へ出て行ってしまいかねません。グローバル社会ですから,そうした人たちは,会社も,自宅も,資金も,すぐ海外に移動できます。そうなれば,日本はますます空洞化してしまうでしょう。(位置 No. 902)

所得や住民税のアッパーがないと,稼げば稼ぐほど税金が増えてしまう。納税額に見合うインセンティブがなければ,いくら高額所得者だからといって,税金額を増やし過ぎるのは誤っている。

マニュアルがなくなった代わりに,ひたすら上司の言う通りに仕事をしているので,壁にぶつかると「もう無理です」とすぐに諦めてしまいます。自分で問題を解決しようとか,そのためのプロセスを学ぼうといった意識が欠如してしまっているのです。(位置 No. 1295)

自分で問題を解決しようとしたことが,自分の血肉となっていく。

今の参議院の議論を聞いていると,議員の発言の中身がどれもドメスティックで,世界の趨勢からあまりにも遅れています。国民のほうがむしろ圧倒的に先に進んでいる部分も多い。国民が直接国政に参加し,「集団知」「集合知」を反映させることこそが,国際競争を勝ち抜き,「稼げる国」にする最も効果的な方法だと確信しています。(位置 No. 2037)

集団知」「集合知」が正しいとも限らない。

自分で稼ぐ力がなければ "野垂れ死に" という環境が今の日本には必要なのです。今のようなぬるま湯では,日本が世界から取り残されてしまうのも当たり前です。(位置 No. 2149)

日本というぬるま湯で,ゆでガエルになってしまう。

自分に投資して「稼ぐ力」を強化しようとは考えず,安定した大企業に勤めてそつなく出世の階段を上り,安定した生活を送りたいという国内安住志向の人間は,これからの時代は "不良在庫" でしかありません。また,そのような発想は少なくとも 30 年は古いのですが,まさにそれが「親たちの時代」の思考癖であり,親や先生の "期待通り" に育ってしまった証拠でもあるのです。今,世界に出てみれば,それがいかに甘い幻想かということが否応なしにわかります。(位置 No. 2298)

国内安住志向は古いのか。本が出版されたとき 30 年は古かったのだから,今は 40 年古いのか。

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