『企業変革の教科書』(名和高司,東洋経済新報社,2018年12月20日)を読了。
そもそも,PDCA というリズムそのものが時代錯誤です。先が見えない時代には,計画経済は通じません。市場の動向を探り,市場から学んで素早くアクションを変えていく――ムービング・ターゲットをダイナミックに追跡するトライ・アンド・ラーンこそが,VUCA 時代の次世代成長の基本技となるはずです。(位置 No. 785)
PDCA は時代錯誤。トライ・アンド・ラーンで成長する。
パーキンソンの法則をご存じでしょうか。イギリスの政治学者,シリル・ノースコート・パーキンソンが 60 年ほど前に唱えたもので,その 1 つに「仕事の量は,与えられた時間を満たすまで膨張する」というものがあります。つまり,人員を増やすとその分,余計な仕事が増えるということです。裏を返せば,無駄を省くには,まず人を減らせばいいことになります。(位置 No. 1461)
人を減らせば,無駄を省ける。
社内にも「スカンクワーク」(密かに行う研究)を見て見ぬふりをする懐の深さが残っている。もしも技術立国復活の目があるとすれば,そのカギはこの「ぬるさ」にあるはずです。(位置 No. 2528)
イノベーションタイムを使って,スカンクワークを行なおう。
経済学者ジョセフ・シュンペーターは,かつてイノベーションを「新結合」と定義しましたが,私は「異結合」と呼び替えています。単に新しいだけではなく,異質な相手と組まない限り,新しい発想が生まれません。企業内におけるダイバーシティの必要性が叫ばれているのも,同じ狙いによるものです。(位置 No. 2658)
同質の相手ではなく,異質の相手と手を組もう。
ダイナミック・ケイパビリティ―― U 理論の 3 つのプロセス(位置 No. 2929)
- センシング
ただ,ひたすら観察する- プレゼンシング
一歩下がって,内省する
内なる「知」が現れるに任せる- リアライジング
素早く,即興的に行動に移す
センシング,プレゼンシング,リアライジングのプロセスを意識してみよう。
- なぜ今,変革が必要なのか(必要性:Why)
- どこに向かうのか(方向性:Where)
- 次世代の儲かる仕組みは何か(事業モデル:What)
- どのように変革を推進するのか(方法論:How)(位置 No. 5091)
VUCA 時代においては,Why,Where,What,How は変わっていくだろうから,しかるべきタイミングで見直したい。
経営の本質的な役割は,長期的に企業価値を高めることです。そのためには,次世代成長に向けた,健全なリスクテイクと投資が不可欠となります。それを行わず,当面の利益の数字をよく見せるように努力したり,余剰利益を再投資せずに株主還元に回すというのは,本末転倒と言わざるをえません。(位置 No. 5586)
長期的に企業価値を高めるために,今できることをやる。
「あるべき姿」の要件は,次の 3 つです。(位置 No. 5788)
- 非連続であること。これまでのやり方で到達できるようであれば変革は起こらない。
- 自社らしい姿であること。他の企業を主語に置き換えても通用するようなイメージでは,市場からも内部からも共感は得られない。
- 工夫次第では,実行可能であること。どう逆立ちしても実行できそうもない目標は,それこそ単なるホラになってしまう。
これまで描いてきた「あるべき姿」は,3 つの要件を満たしているか。
一方で,これまでの東芝の悪い癖を洗い出しました。その結果,大きく 3 つの「罪状」が明るみに出ます。(位置 No. 5834)
東芝の悪い癖は,私が勤めている会社にも当てはまる。
「賢慮のリーダー」の 6 つの能力(位置 No. 7428)
- 「善」を判断できる
- 本質を把握できる
- 場をつくる
- 本質を伝える
- 政治力を行使する
- 実践知を育む
リーダーとしての能力を身につけていこう。
外の資産を活用すれば,短期的には成果が上がりやすいことは事実です。しかし,自社の本質的な資産への投資をおろそかにすれば,長期的には競争力の源泉を失ってしまう。(位置 No. 7744)
自ら手を動かしてみなければわからないこともある。時間はかかるかもしれないが,わからないことを学びながら,成果を出していく。
「青い」ヒトは,青くさい理想主義者。いわば,コンシャス・リーダーです。しかし,青いだけでは競争に打ち勝っていくことができません。一方で「黒い」人は,自分の利益の最大化をめざす人。しかし,それでは「合理的な愚か者」で終わってしまう。CSV がめざすように,社会価値と経済価値を両立させるには,青と黒の両面を持っていなければなりません。(位置 No. 7932)
青いだけではダメ,黒いだけでもダメ,青と黒の両面を持つ青黒い人を目指す。
現場に迎合しすぎると,大胆な戦略転換に踏み切れず,大前研一さんの言う「(沈没する)タイタニック号の上での椅子の並べ替え」に終始しがちです。多くの日本企業がたどった衰退の道でもあります。(位置 No. 8602)
沈みかかった船の上で,椅子を並び替えても,沈むことは避けられない。
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