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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

損する結婚 儲かる離婚

自分の中でモヤモヤしていた結婚について整理するため『損する結婚 儲かる離婚』(藤沢数希,新潮社,2017年2月24日)を読了。

結婚と離婚で動く金は,基本的には,慰謝料,財産分与,婚姻費用の 3 つである。(位置 No. 127)

結婚と離婚に必要なお金を想定しておく。

ここで重要なことは,結婚前に持っていた金は関係ないということだ。(中略)結婚の法律が代々続く金持ちに甘く,成金に厳しいのだ。(位置 No. 152)

結婚前に持っていたお金は,自分のもの。

結婚という金融商品は,毎月,婚姻費用というクーポンが貰えて,離婚成立時(満期)には財産の半分が手に入る債券そのものなのだ。この言わば「結婚債券」の価値は,次の式から計算できる。(位置 No. 219)

結婚債券の価値 = 離婚成立までの婚姻費用の総額 + 離婚時の財産分与額 + 慰謝料

結婚で ATM を手に入れる,というよりも生々しい。

そもそも,婚姻費用の支払い義務は,配偶者には自分と同程度の生活をさせなければいけないという考え方に基づいている。つまり,さまざまな経費の後に残る金は夫婦で二等分しなければいけないのだ。(位置 No. 264)

つまり,コンピの支払義務とは,夫がいくら稼ごうが,夫婦の自由に使える所得は完全に二等分しなければいけないという恐ろしいものなのだ。(位置 No. 276)

夫婦の自由に使える所得は完全に二等分しなければならない,なんて理不尽だ。

恋愛というゲームは,金融市場のマネーゲームと違い,ふたりでプレイしてふたりとも勝てるゲームではあるが,結婚の金融商品としての側面に限れば,それは多分にデリバティブ商品に相似している。つまり,これまでに見てきた金持ち男性側のリスク,損失は,逆に言えば,そうした男性と結婚する女性側のリターン,利益に他ならないわけだ。もちろん,近代国家の法律は男女平等が絶対的な原則なので,いくつかのケーススタディで見てきたように,金持ちの女性と結婚する男性も,同じだけの利益を得られることになる。(位置 No. 1111)

夫婦の所得に差があれば,所得の多い方が損をして,所得の少ない方が得をする。

男選びは,一にも二にもフローなのであり,株式投資と同じように将来キャッシュフローの予測が極めて重要なのだ。(位置 No. 1178)

所得の高い人からすれば結婚を遅らせたくなる。

もし男性が離婚を決意したならば,すぐにでもはじめないといけないことは別居である。財産分与の金額をこれ以上増やさないためだ。(中略)

財産分与を断つために,一刻も早く別居する。

結婚というのは,婚姻届に判を押した瞬間から,所得の多い方が所得の低い方へ,お互いが使える金額が同じぐらいになるように,金銭を支払い続ける義務が発生する契約である。(位置 No. 1304)

この義務には納得できないので,別途,夫婦の間で覚書を締結しておきたい。

結婚生活からエネルギーをもらい,急に仕事を 2 倍の効率でできるようになるだろうか。あるいは,結婚生活で癒されることにより,休まなくてもよくなり,2 倍長く働けるようにでもなるだろうか。むしろ逆ではないか。(位置 No. 1562)

結婚のメリットよりも,デメリットの方が大きい。

日本では,まずは結婚してから子供を作ることが正しいとされており,その価値観は依然として強固だ。そして,ある程度の所得のある男性にとっては,結婚というのはこれまでに解説してきたとおり,重い負担が伴う契約なのである。そして女性は,その「ある程度の所得のある」男性としか結婚したがらないのだから,少子化が加速するのは自明なのだ。日本の結婚制度が今後どのように変わっていくのか興味深い。(位置 No. 1620)

昨今の少子化対策も本質的な課題の対策になっていない。これからも少子化は進んでいくと容易に予想できる。

要するに結婚制度とは,男性の下から 6 ~ 7 割程度のための法制度なのである。民主主義というのはひとり 1 票である。自由な恋愛市場(緩やかな一夫多妻制)では苦戦する男性が多数なので,民主主義を採用している先進国,つまり全ての先進国では一夫一妻制を強制する結婚制度が支持されるのもなんら不思議ではない。また,本来ならもっと取り分があったはずの上位の男性にしろ,少なくとも上位の女性を 1 人は手に入れることができるために,そこまで不満はないだろう。こうして為政者たちは,民衆の不満を最小化し,暴動のリスクを減らすために,一夫一妻制こそ道徳的に正しい,ということにしたのではないだろうか。(位置 No. 1786)

道徳的には正しくても,一定の効果はあったが,その効力を上回るデメリットがあるため,生涯未婚率は上がっていると捉えればよいか。