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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

DX を成功に導くマスターデータマネジメント データ資産を管理する実践的な知識とプロセス 43

『DX を成功に導くマスターデータマネジメント データ資産を管理する実践的な知識とプロセス 43』(伊藤洋一翔泳社,2024年1月26日)を読了。

基幹システムの改修プロジェクトに着手する前に読んでおきたかった。

HRM*1 や TM*2 は,人材を戦略的に管理し,組織の成果を最大化するための取り組みです。取り組みの背景には,少子高齢化に伴う人手不足,働き方改革に伴う残業規制や人材流出が挙げられます。(p. 34)

タレントマネジメントは,これからの時代に必要になってくる。今のうちに,システムを導入し,データを蓄積していくことは,いい布石になる。

データの性質の視点は,データが静的か動的か,もしくは基本的な情報か日々の取引の記録かで分類します。(p. 51)

  • 静的なデータ・基本的な情報 = マスターデータ
  • 動的なデータ・日々の取引の記録 = トランザクションデータ

マスタデータとトランザクションデータの違いを認識しておく。

一元管理とは,同じ意味をもつデータを一箇所に集約し,集中的に管理することを指します。

「同じ意味をもつデータを一箇所に集約し」とは,One face in one place(一つの事実は一つの場所に)の原則を意味します。これはデータの整合性を確保するための原則です。同じ意味をもつデータが複数の場所に存在するとそれぞれの場所で異なる更新が行われるため,データの不整合(= 矛盾)が生じます。(p. 58)

データの一元管理というのは簡単だが,奥が深い。

社会システムは法律や業務ルールによって「正しい」を定義しています。業務領域が異なればその数だけ社会システムがあり,それぞれの世界での「正しい」があります。この異なる世界を統一するためには,共通点を取った中庸的な考え方ができるファシリテーターが求められます。特にマスターデータの統合はこの考え方が顕著に表れます。(p. 95)

分野によって業務ルールが異なるが,システムを統合することを考えたとき,どこにシステムを合わせるかが問題となる。こちらを立てれば,あちらが立たないという具合に。

ビジネスサイドの困りごとが「データの入力が手間,値が入っていない,値が正しくない」といったオペレーション層の課題であることがほとんどで,データ構造に問題を感じていないことです。(p. 116)

「データの入力が手間,値が入っていない,値が正しくない」といったオペレーション層の課題にフォーカスするのではなく,データ構造にフォーカスを当てる。

データクレンジングとは,名寄せ対象の文字列に対して文字列標準化処理を行い,多くの文字列が一致するように変換し,実施することを指します。文字列の標準化の 7 つの観点について解説します。(p. 159)

  1. 法人格の標準化
  2. アルファベット・カタカナの標準化
  3. 数字の標準化
  4. 誤用や異体字のある漢字の標準化
  5. その他文字列の標準化
  6. 別項目の値混在の標準化
  7. アルファベット・カタカナ混在の標準化

データクレンジングを実際にやってみると,大変な手間。

なるべく名寄せしなくてもいいように,データを集めるようにしたい。

データモデリングスキルで一点突破を図りますが,さらにもう一段階,育てる人材を絞り込みます。そこは,自社にデータモデリングができる,100 点の人材をたった一人育てることです。60 点の人材を 5 人育てるよりも,100 点の人材を一人ないし二人育てることで,その企業の MDM やデータマネジメント全般の質が格段に上がります。これは筆者が見てきた経験からも言えますが,ID の理論でも認知的徒弟制や正統的周辺参加という社会的構成主義に基づく教育理論からも説明が付きます。(p. 204)

データモデリングできる人は多く入らない。一人だけでもデータモデリングできる人がいればいい。

筆者の師匠でもある椿氏は,サイエンス(科学)とエンジニアリング(工学)の違いを次のように述べています。

  • サイエンスは公理・定理をもって物事が決まる
  • エンジニアリングは「サイエンス+経験」によって決める

サイエンスは「決まる」でエンジニアリングは「決める」とあります。エンジニアリングは,決めるための「判断」が伴うため,分析者によって差が生じることを述べています。つまり,属人的な差が生じるため,この差を埋めることが標準化であると述べています。(p. 225)

在野のエンジニアとして,物事を決めていく。

*1:Human Resource Management

*2:Talent Management