『データサイエンティスト入門』(野村総合研究所データサイエンスラボ,日経 BP,2021年12月15日)を読了。
企業としては,研修制度や育成プログラムを整備するとともに,各企業が求めているデータサイエンティスト像を明確にし,周知することが必要になります。企業がデータサイエンティストを通じて何をやりたいのかを明確にすることと同じです。データサイエンティストが自身の能力を高めることも重要ですが,受け入れる企業側も成長することが求められます。(p. 35)
企業がデータサイエンティストにやらせたいことを明確にしておく。
データサイエンス業務の流れ(p. 77)
- ビジネス課題の把握,データ分析目標の設定
- 分析対象データの調査,分析環境の準備
- データ分析の仮説構築と計画
- データ分析の準備
- データ分析の実施
- 分析結果やモデルの評価
- ビジネス適用に向けた活動
どんなデータを扱うにしても,ビジネス課題の把握,データ分析目標の設定から始まる。
一方でデジタル化の進展は,データサイエンスに直結することが多くあります。デジタル化が進むことで,新たに取得できるデータは莫大に増加します。そのため,データサイエンスと関係することが多いのです。DS は DX とは関係なく必要なものですが,DX といえば DS も重要になってくると言えます。(p. 151)
デジタル化で取得したデータをどのように活用するか,一歩先を考えてみる。
データサイエンティストに必要な能力は「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニア力」であると述べました。これに対して,大学の学部を対応させると,「ビジネス力」は経営学部,「データサイエンス力」は理学部(数学科など),「データエンジニアリング力」は情報学部などが考えられます。データサイエンティストは 3 つの能力をバランスよく持つことが重要なのですが,この 3 つをバランスよく習得させる学部がありませんでした。(pp. 163 - 164)
データサイエンティストには,マルチな能力が求められる。データサイエンス力やデータエンジニアリング力を持っており,ビジネスの現場でビジネス力を伸ばしていれば,データサイエンティストに必要な能力は持てる。
日本政府の「AI 戦略 2019」(令和元年6月総合イノベーション戦略推進会議決定)によると,「我が国が,人口比ベースで,世界で最も AI 時代に対応した人材の育成を行い,世界から人材を呼び込む国となること」を目標に掲げ,日本における AI 推進のために,人材育成を重視すると明言しています。(p. 167)
人材育成を重視すると明言していても,実践が身の回りで起こっていない。
データサイエンスのビジネス活用が進むことにより,データサインティスとの活躍の場は拡大してきました。一方で,データサイエンスを活用しようとする企業(経営側)の意識は古いままというケースも多く見られます。データサイエンティストを活用する側の意識改革も重要な課題と言えます。(p. 200)
ただし,数十年変わっていない意識を変えることは,容易ではない。
データサイエンスはあらゆる場面で必要となります。マーケティング,受発注,工場における製造工程,配送,従業員の管理,人事制度など,データがあるところすべてでデータサイエンスが求められています。データサイエンスの役割は,現状把握から,将来予測,戦略提案まで幅広くなってきました。データサイエンティストはデータを分析するだけではありません。企業経営のあらゆる分野において,縁の下の力持ちとしてデータサイエンティストが求められているのです。(p. 213)
現状を把握し,将来を予測し,戦略を提案するなど,データサイエンスの守備範囲は広い。