Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

コトラーのイノベーション・マーケティング

コトラーイノベーションマーケティング』(フェルナンド・トリアス・デ・ベス,フィリップ・コトラー翔泳社,2011年9月15日)を読了。

実際,イノベーションは大きな飛躍を伴うものばかりではない。緩やかで段階的なイノベーションもれっきとしたイノベーションであり,ラディカル・イノベーションと同じくらいか,それ以上に必要だ。事業の存続を支えているのは,この種のイノベーションなのだ。社内にイノベーティブな文化を育むことも,立派なイノベーションだ。この文化があればこそ,より小さなインクリメンタル(漸進的)・イノベーションをたえまなく生み出し,市場に送り出すことができる。(p. 13)

小さくてもイノベーションを積み重ねていくことで,長い時間でみれば大きな飛躍になる。

3M はこのことを重々承知しており,問題を防ぐために,「二つのはしご」と呼ばれる昇進制度を導入している。従業員は社内で研究職につくか,管理職につくかを自由に選べる。どちらの進路を選んでも,社内での昇進や責任のレベルに違いはない。研究者が無理やり管理職にさせられることはなく,イノベーションを成功させるにはどちらもが必要不可欠との認識から,それぞれが職務をまっとうしている。(p. 19)

研究職か,管理職か,選べるのであれば,私は研究職につきたい。

人間は本質的に変化を嫌う生き物だということを忘れてはならない。一般に変化は仕事での労力を増やし,リスクを高めるものと考えられている。組織で働く人たちは,日常の業務をこなすのに手一杯でこう考える。なんだって余分な労力やリスクを負わなくてはならないのか?そんなわけで変化は避けるべきもの,少なくとも当座は何もいことをもたらさないものと見なされる。その結果組織では,また広く世の中では,現状のままでいたいという願望と惰性がイノベーションや改善を阻んでいる。(p. 28)

現状のままでいたいという願望と惰性を乗り越えなければ,イノベーションや改善は進まない。

最もイノベーティブと呼ばれる企業のイノベーション・プロセスを分析すると,必ずといっていいほどイノベーション・アクティベータの存在が認められる。イノベーション・アクティベータはエンジンのようなもので,企業をルーチンや規律正しいモードから引き離し,日常生活から一歩離れて,いまうまく行っている物事を――たとえ変革が差し迫った必要性がなくても――変化させるよう仕向けるのが任務だ。(p. 40)

現状を意図的に変えてみることで,現状の悪さが見えてくることもある。

「頂上に達したら夢が実現したような気になるが,それだけではだめだ。頂上を超えるとイノベーションの裏側が,アイデアを超えた試練がやってくる。それが実行だ。レーニア山と同じで,実は本当に難しいのは冒険の裏側なのだ。要するに,アイデアを重視するあまり,実行にはほとんど目を向けていないのである」(p. 197)

いいアイデアがあっても,それを実行することができなければ,意味がない。

この作業手法*1は,対決より調和を重んじる東洋諸国の考え方をもとにしたもので,メンバーは自分の支配的な個性やプロジェクトに対する個人的感情から解放され,きわめて組織的な方法で作業を進め,イノベーションの多様な側面に秩序立った方法で取り組むことができる。(p. 255)

六つの帽子の手法を試してみようか。

ここで必要なのは,決意と目標を区別することだ。ビジネス以外の例で考えてみよう。新年にだれかが「今年は絶対にやせるぞ」と宣言するのは,目標を定めたのではなく,決意を述べただけのことだ。だが同じ人が「6 カ月以内に 8 kg 減らすぞ」といえば,それは目標になる。(p. 339)

決意ではなく,具体的な目標を掲げる。

企業はとかく短期に目を向けがちで,結果として長期的に衰退することが多い。受動型の企業は,環境によってとれる戦略が決まっているから,変化に対応する方法を知ることこそが経営陣の務めだと考える。このタイプの企業は,変化が起きてから行動を起こす。(p. 345)

短期ではなく,長期で物事を考える。「今がよければ」ではなく,「将来のありたい姿」を描いていく。

自社独自の評価指標を選択し,設計するにあたっては,次の基準を念頭に置く。(p. 379)

  • わかりやすいもの
  • 計算がそれほど煩雑でないもの
  • いつも使っている指標をできる限り活用するもの
  • 顧客に関連するもの

新しく指標を作るのではなく,いまある指標を有効に活用する。

職場でよい一日をすごした人は,夜のうちに認知連想をつくり上げ,それが培養器となって,次の日に優れたアイデアを生み出したように思われる。つまり,ある日幸せな気分ですごせば,次の日には創造性を発揮できる可能性が高まるというのだ。(p. 394)

イデアを生み出すためには,職場でよい一日を過ごす。

どのアイデアが却下されたかについも,社員に知らせる必要がある。士気が落ちると思われがちだが,実はそんなことはない。むしろやる気が削がれるのは,自分のアイデアがどうなったかを知らされず,蚊帳の外に置かれるときだ。何も反応が得られないことにうんざりして,やがてあきらめてしまう。だが自分のアイデアが却下されたという事実とその理由を知らされれば,却下を正当化する問題や理由を跳ね返そうと,かえってやる気が出ることもある。却下されたアイデアが多すぎて理由を説明できない場合には,先に説明した同僚評価方式を通して,同僚の多くが十分な可能性を認めていないということだけでも知らせるとよい。(p. 408)

イデアを提案してもらったときは,正しく結果を伝えるようにする。

*1:「六つの帽子」手法