Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

良い戦略,悪い戦略 リチャード・P・ルメルト

2021年3月3日

『良い戦略,悪い戦略』(リチャード・P・ルメルト,日経 BP,2020年4月28日)を読了。

良い戦略は必ずと言っていいほど,このように単純かつ明快である。パワーポイントを使って延々と説明する必要などまったくないし,「戦略マネジメント」ツールだとか,マトリクスやチャートといったものも無用だ。必要なのは目前の状況に潜む一つか二つの決定的な要素――すなわち,こちらの打つ手の効果が一気に高まるようなポイントをみきわめ,そこに狙いを絞り,手持ちのリソースと行動を集中すること,これに尽きる。(位置 No. 18)

良い戦略は,単純かつ明快。狙いを定めて,効果を出していく。

戦略のカーネルは,診断,基本方針,行動の三つの要素で構成される。状況を診断して問題点を明らかにし,それにどう対処するかを基本方針として示す。これは道しるべのようなもので,方向は示すがこまかい道順は教えない。この基本方針の下で意思統一を図り,リソースを投入し,一貫した行動をとる。(位置 No. 129)

戦略は,問題点を明らかにし,どう対処するか基本方針を考える。

戦略の基本は,最も弱いところにこちらの最大の強みをぶつけること,別の言い方をするなら,最も効果の上がりそうなところに最強の武器を投じることである。

(中略)

良い戦略は,第一に,狙いを定めて一貫性のある行動を組織し,すでにある強みを活かすだけでなく,新たな強みを生み出す。

(中略)

第二に,視点を変えて新たな視点から見て再構成すると,強みと弱みのまったく新しいパターンが見えてくる。良い戦略の多くが,ゲームのルールを変えるような鋭い洞察から生まれている。(位置 No. 206)

私の勤めている会社では,最も弱いところにこちらの最大の強みをぶつけているか。

良い戦略に必要なのは,さまざまな要求にノーと言えるリーダーである。戦略を立てるときには,「何をするか」と同じぐらい「何をしないか」が重要なのである。(位置 No. 401)

「何をしないか」を判断するのも,リーダーの役割。

悪い戦略は,次の四つの特徴から見分けることができる。(位置 No. 606)

  • 空疎である――戦略構想を語っているように見えるが内容がない。華美な言葉や不必要に難解な表現を使い,高度な戦略思考の産物であるかのような幻想を与える。
  • 重大な問題に取り組まない――見ないふりをするか,軽度あるいは一時的といった誤った定義をする。問題そのものの認識が誤っていたら,当然ながら適切な戦略を立てることはできないし,評価することもできない。
  • 目標を戦略ととりちがえている――悪い戦略の多くは,困難な問題を乗り越える道筋を示さずに,単に願望や希望的観測を語っている。
  • まちがった戦略目標を掲げている――戦略目標とは,戦略を実現する手段として設定されるべきものである。これが重大な問題とは無関係だったり,単純に実行不能だったりすれば,まちがった目標と言わざるを得ない。

戦略を立てた後,悪い戦略の特徴を有していないか,チェックしてみる。

戦略や競争優位についてはさまざまな理論が展開されているが,戦略策定のむずかしさは,結局のところ選択そのものにある。一つか二つの課題に絞り込んで結果を出そうとするのだから,どうしても選択しなければならない。戦略は一本の柱,一本の道なのであって,あれこれと願望を表明する手段ではない。真の戦略を持つためには,一つを選んで他を捨てなければならないのである。だが夢や希望に「ノー」と言うのは,心理的にも,政治的にも,組織運営上もむずかしい。(位置 No. 1153)

課題が山ほどあるように見えるとき,その中から一つか二つの課題に絞り込むのが,難しい。

あまりに有利な地位を占め,さしたる努力もなしに利益が上がるようになると,ぬくぬくとぬるま湯につかって楽をしたくなるのが人情である。そして,高業績が続くのは経営がいいからだなどと考え,遠い過去の壮絶な努力の実りを刈りとっているだけだということを忘れてしまう。(位置 No. 2483)

まさに私が勤めている会社のことを言っているのではないか,と思えてしまう。

だが 1996 年の時点では,成功のカギを握るのはソフトウェアになっていた。そしてソフトウェアなら,大企業でなくても,頭の良い連中が何人かそろえば書き上げることができる。規模の経済から個人のスキルへ――これが,大きな変化のうねりだった。戦争の主流が,正規軍の衝突からゲリラ戦に移ったようなものである。(位置 No. 3333)

2021 年になった今,成功のカギを握るのは・・・。
ソフトウェアのままなのか,それとも AI なのか。

企業文化の慣性を打ち破る第一のステップは,単純化である。むやみにややこしい業務手続きを簡素化し,部門間の隠れた力関係を明るみにし,埋もれていたムダや非効率を排除する。何層にもおよぶ序列を整理し,不要な業務は廃止する。(位置 No. 3839)

業務の改革は,業務を単純化することから始める。
その業務には,どんな目的があり,なぜ行われているのかを考えればよいか。

新しい種を播くほうが雑草を抜くよりはるかにおもしろい。だが,定期的に雑草を抜いたり剪定をしたりしないと,庭は荒れてしまうことを忘れてはいけない。(位置 No. 3953)

雑草を抜くことを忘れていないだろうか。
新しいものを買うことは,不要なものを捨てるよりもはるかに面白いのと,言うこともできそうだ。

科学の世界では新しい考えを「仮説」と呼ぶが,この言葉は,新しい考えが証明されるのを待っていることをみごとに言い表している。新しい考えは,既存の知識のみからは生まれない。新しい考えを生み出すのは,深い洞察であり創造的な判断である。そして科学の科学たる所以は,現実の世界からとりだした実証データによって仮説の価値が決まるということだ。けっして,仮説の提唱者の階級や富や人気で決まるのではない。(位置 No. 4415)

洞察と創造により,仮説を生み出すのが私の役割なのかもしれない。

「いまでは ”こうすればできる” 的なツールがやたらに出回っているが,良いアイデアは手順通りにやったら出てくるというものじゃない。ツールは方向を示す役割は果たしてくれるかもしれないが,最後はどこからともなく湧いてくるのがアイデアのアイデアたる所以だ。だからアイデアは閃く,という」(位置 No. 4717)

イデアを生み出すために,ツールは有効であるかもしれないが,ツールがあるからと言って,必ずアイデアが生まれるわけではない。

「戦略を立てるのに安直な近道は存在せず,王道を行くしかないのだ」 by リチャード・P・ルメルト(位置 No. 5381)

安直な近道を選ばずに,王道を行く。