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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

政治主導はなぜ失敗するのか? 中野 雅至

2020年6月20日更新

『政治主導はなぜ失敗するのか?』(中野 雅至,光文社新書,2010年7月10日発行)を読了。

 私の実感では,政策分野にかかわらず,政治家でも官僚でも,特定の誰かが明確に方針を定めて,その方針通りに物事が進んでいくという事例など皆無に近く,誰かが明確に責任を負うこともなく,ダンゴレースのように物事が決まっていくのが大半だったような気がします。政治学では,これを「ゴミ箱モデル」などと言います。(p. 12)

誰が決めたのかわからないように物事が決まっていく。
誰も責任を持たない構造が,毒にもならない物事が増えていく要因か。

 それよりも民主党が本当に責任政党であるならば,あるいは,小泉政権など自民党の末期政権をポピュリズムであると批判してきた自覚があるならば,事業仕分け公務員制度改革も,自分たちの支持率を上げるためのポピュリズム的手法として使うのではなく,政治のプロとして淡々と処理すべきです。その上で,民主党は日本という国を具体的に立て直すためのプログラムを実行に移すべきです。経済や社会を立て直さない限り,国民は政治主導体制を見限ります。(p. 20)

政権与党であるときから,ポピュリズム的手法ばかりを選んできた。
民主党,現在は民進党であるが,明日があるとは思えない。

いずれにしても,政策を考えるためには客観的な事実を調べることが最優先事項となります。私が今でも尊敬している厚労省の現役局長の K 氏の口癖は「ファクト・ファイティングをまずやれ」でした。官僚には政治的な人間が多いものですから,印象論や見込み,思い込みといったもので仕事が進むことをいさめたのだと思います。(pp. 47 − 48)

ファクト・ファイティングを心がける。
印象論,見込み,思い込みを排除する。

 確かに,霞が関文学と呼ばれるような様々な修辞を使って,官僚が公的文書を自分たちに有利にしようと画策することは事実です。経験上間違いありません。(p. 63)

電力業界にも,霞が関文学のようなものはあるのだろうか。

 昨今,霞が関の官僚の中から「民主党政権の閣僚の多くは巨大組織をマネジメントしたことがないんじゃないか。ほとんど中小ベンチャーのノリだ。巨大組織のマネジメントを学んで欲しい」という声を聞きますが,この種の組織運営の齟齬はある日突然,危機管理などの問題で噴出することがあり得ますので,そろそろトップダウンのマイナス面にも気を配るべきでしょう。(pp. 174 − 175)

この指摘は,2011年3月11日以降,噴出した。
まあ,3.11 がなくても,早かれ遅かれ,問題は噴出しただろう。

 まず,日本は集団主義的な社会だと言われます。具体的に言うと,集団主義であるために現状維持ないし伝統志向の空気が強く,何かを決定するに際しても「根回し」という事前工作が必要不可欠です。根回しなく仕事を持っていくと拒否される可能性が俄然高まります。サラリーマンなら誰でも会社で経験したことがあるはずです。私も役所で何度も経験しました。事前の説明なく決裁を回してもなかなか同意してくれないので,我々はこれを「ハンドパワー」「ハンコパワー」などと呼んで恐れていました。(p. 197)

根回しが全てであるが,根回しに途方もない時間が割かれる。

政治主導はなぜ失敗するのか? (光文社新書)