2019年12月31日更新
『半沢直樹4 銀翼のイカロス』(池井戸潤,文春文庫,2017年9月10日 第1刷)を読了。
“貸すも親切,貸さぬも親切”という言葉を初めて聞いたのも,そのときだ。
「過剰投資になってしまうような設備資金なら貸さないほうがいい。融資をしないことで取引先を救うことだってあるんだよ」(p. 93)
お金の使い道を査定し,貸す・貸さないを決める。
人に貸すだけのお金はないのだが,知識として覚えておく。
銀行という組織を生き抜くのに最も必要なのは,学業で得た知識でもなければ学歴でもない。
知恵だ。
知恵のある者は生き残り,無い者は去っていく。
部下の背中を見送りながら,紀本が再確認したのは,この自明の理に他ならなかった。それが銀行であり,ひいては社会なのだと――。(p. 157)
知恵は,学業で得られない。
組織を生き抜くための知識を身につけよう。
「官僚どもにしてやられたんだ。脱官僚などといって,何でも議員が主導権を握ろうとする進政党政権への,これは巧妙な意趣返しなんだよ。理想は大いに結構。だが,現実を知らない者が理想を語ったところで結局は恥を掻かされるのがオチだ」(p. 253)
現実を知らぬ理想の行き着く先は見えている。
銀翼のイカロス中に登場する進政党は,政権交代を果たしたときの民主党がよくオマージュされている。