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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

体制維新――大阪都 橋下 徹 堺屋太一

 『体制維新――大阪都』(橋下 徹 堺屋太一,文春新書,2011年10月31日発行)を読了。

 一つの業界を支えるのはトップの百人。その人たちがいなくなると,その周辺職業の人々千人が仕事を失います。そしてそれに関連した産業の一万人が職場を追われます。これが現在の大都市の構造です。大都市競争とは「トップの百人」をその都市に呼ぶことです。(p. 4)

トップの百人を呼び込む,魅力的な都市を目指す。
トップが動けば,他が動く。

大阪都構想」は,明治以来の日本の仕組みを変える最初の具体的な提案です。そしてそれをまず大阪からはじめようというものです。(p. 6)

明治以来,日本の仕組みが変わっていないことがすごい。

 バブル経済が弾けて日本が衰退しはじめた頃(1990 年代)は,公共事業を中心とする財政支出の拡大で,この国の経済を活性化し,社会に元気を取り戻そうとしました。かつて,1930 年代にイギリスの経済学者ケインズが唱えた政策(ケインズ政策)です。(p. 18)

今日において,ケインズ政策は神通力を失っている。

 そもそも本当の改革は,体制を変えることです。明治維新であれ,戦後改革であれ,あるいはソ連・東欧の社会主義の崩壊であれ,ことごとく体制を変えることが究極の目標であり,新しい時代の出発です。ところが日本では,戦後ずっとおなじ体制,もっといえば明治以来ほとんど同じ体制が続いている。(p. 31)

体制が変わらなければ,改革はできない。

 公務員改革を進めないかぎり,体制の改革はできません。中央でいえば霞が関のエリート官僚はさまざまな行政の専門知識とノウハウを集積している偉い人だと思われがちです。けれども,じつは霞が関の中央官庁ほどノウハウが集まらなくて,継承されない組織はないんです。(p. 45)

霞が関の中央官庁と,電力会社の本店は同じようなものか。

 経済戦略にしても,国を挙げて経済成長なんてバカなことをやっているのは日本ぐらいでしょう。世界各国では,個々の都市の成長を促して,その都市と都市をつないでいくのが国の役割になっている。点と点をつないで面にするという国家戦略が主流になっている中で,いまだ日本だけが全部の面を一律にして勝負しようとしている。(p. 39)

日本全体ではなく,都市それぞれが戦略を持つべき。

 僕は,この大阪の低迷,「大阪問題」の根本は,教育にあると考えてきました。イギリスのブレア元首相も,英国再建は教育にあると考え,「一に教育,二に教育,三に教育」と国民に訴えましたが,まさにそのとおり。(p. 68)

日本の低迷の根本は教育にある。

 机上で,あれやこれや心配事を並べるのが,これまでの行政。だからチャレンジしない,何も変わらない。市町村別結果公表なんて,カネは一切かかりません。カネがかからないならまずやってみる。本当に不都合なら集成する。こういう姿勢でないと,日本は何も変わらない。新しいことをやろうとすれば,心配事,問題点を徹底的にあげつらい,現行のやり方に問題があるかは検証しない。結局,現状維持が一番良いとなる。(p. 79)

カネがかからないならば,まずはやってみる。
小さな一歩から始めてみる。

 永田町,霞が関が中心になって,日本全土一様の戦略でいこうというのは,時代錯誤です。日本政府は,大きな方針,大きな方向性を示し,具体的な中身は各地域に描かせるべきです。(p. 104)

日本としての方向性は中央で示す。
各地域は,それぞれが抱える事情を踏まえ,日本が示す方向に向かって進んでいく。

 悲しいかな,永田町の国会議員の先生方で,組織を実際に動かした経験がある人は極めて少ない。選挙で選ばれても,国会の内外で自分の意見を主張するだけ。立派な政策を掲げても,それをどうやって組織に実現してもらうかという認識がないのです。(p. 109)

政治家の質に問題があるのならば,質を高めるため,枠を狭める。

 仕事は全部任せる,では結局,各担当者が組織全体の進むべき方向性を意識せず,自ら担当する狭い領域内で判断することになります。今や機動的に右や左に舵を切る時代。組織の方針を,全メンバーが意識することは必要不可欠です。組織の一定の方針の下で,各現場に自立的に動いてもらう。その結果の責任をトップが取るのは当然です。(p. 115)

組織の方針を理解する。
そして,その方針の下で,自立的に動く。

意思決定のルール

  1. 原則は行政的な論理に勝っている方を優先する。
  2. 論理的に五分五分ということになれば,僕が政治的に選択する。これは感覚ですね。
  3. 行政的論理に負けていても,これはというものは,政治決定で選択する。このときは行政マンのプライドを尊重するためにも,論理としては行政の言い分が勝っていること,僕の論理が負けていることをしっかりと認めます。しかし,自分の政治的な思い,あるべき論から,敢えてそれを選択したということをしっかりと説く。(p. 126)

行政的な論理に負けていても,選択する勇気を持つ。

都市とは国を引っ張るエンジンです。このエンジンの配置の仕方は,各国によって異なります。連邦制等の地方分権が進み,国自体も中・小規模の国では,各地域に配置された中・小型エンジンで国を引っ張る。ところが地方分権が進んでいなかったり,国自体が大きかったりすれば,大形エンジンを配置しなければならない。この仕組みを構築するのは政治家の仕事です。政策を語るだけでは日本は進みません。(p. 199)

政策を語るだけでなく,日本を推進するためのエンジンをつくるのが政治家。

 決断・決定は人間の属人的な資質だけによるものではありません。制度・体制が大きく影響するのです。日本の行政機構,行政システム・体制を,決断・決定できる仕組み,そして責任の所在がはっきりする仕組みに変えなければなりません。日本全体で体制の抜本的再構築をすることが日本沈没を防ぐために喫緊の課題であるのですが,それは大変な作業で,日本全体で凄まじい権力闘争となるでしょう。では大阪からやってみる。これが大阪都構想の挑戦です。(p. 212)

この問題は日本全体のもの。
まずは,大阪からやってみて,日本全体を変えていく。

 この二十年間の日本の衰えは著しいものがあります。経済は成長しない,デフレは進行する,財政赤字がどんどん累積する。その原因は規格大量生産型の時代が終わったにもかかわらず,官僚主導の従来のシステムを変えなかったことにあります。(p. 230)

システム改革は必須。
電力システム改革だけでなく,政治システム改革も必要なのではないか。

 それでいて,各省のいろんなポストを一年か二年で移り歩く。経産省でいえば通商関係,資源エネルギー,特許,国会担当と異動する。だから,どこでも専門家にはなれない。これを霞が関では「ゼネラリスト」というのですが,実は特定の専門知識のない人々,官庁組織を渡り歩いて,各省の会合や政治家回りの技能だけを身につけた人たちです。そして,そうでなければ出世できない,そういう仕掛けになっているのです。(p. 232 - 233)

スペシャリストではなく,ゼネラリストがもてはやされる。
スペシャリストを育成することやスペシャリストが報われる仕組みも必要ではないか。

 私が 1965 年に万国博覧会をやろうと言いだしたときから,大阪府大阪市の関係は,府と市を合わせて「府市あわせ(不幸せ)」と言われていました。(p. 249)

不幸せになるのであれば,一緒にならなければいい。
しかし,それは無駄。

  税収は伸びず,社会保障費は増大し,日本の借金はただただ増えるばかり。政治家は首が替わる度に成長戦略を唱えますが効果は見えず。そして政権交代しても日本の将来に光は見えません。人を替えてもダメ,政策もダメ。そうなると,これは仕組み,システム,体制の問題であり,それを変えなければ,物事は前へ進みません。(p. 256)

仕組みを変える,システムを変える,体制を変える,そうしなければ日本の将来はない。

体制維新――大阪都 (文春新書)

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体制維新――大阪都

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