Masassiah Blog

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官製不況 なぜ「日本売り」が進むのか 門倉 貴史

2020年5月18日更新

官製不況 なぜ「日本売り」が進むのか』(門倉 貴史,光文社新書,2008年4月20日発行)を読了。

 経済政策の三つのラグ

  1. 「認知ラグ」政府が景気の交替や底打ちを認識するまでにかかった時間を指す。
  2. 「政策ラグ」政策当局が景気の変化に気づいてから,実際に経済政策が打ち出されるまでにかかる時間を指す。
  3. 「効果ラグ」経済政策が発動されてから,実際にその効果が現れるまでにかかる時間を指す。

本部が問題を認知するまでのラグ,規則化するまでのラグ,規則が施行されてから効果が現れるまでのラグ,私が務めている会社にも 3 つのラグがありそうだ。

 しかし,今の日本の政策当局は,規制緩和の推進を急ぐあまり,本来,規制緩和とセットで導入しなくてはならないはずの公正なルール作りと審判,罰則の用意が二の次になっている。そのために,ルールの隙間をつくような形で不当な利益を上げる業者が出る結果となっているのではないか。(pp. 54 - 55)

規制緩和するだけでは不十分である。
公正なルールを作り,その中で審判,罰則を明確にしておかなければ,不当な利益を上げようとする輩が出てくる。

 新自由主義新古典派経済学)は,市場原理主義,あるいは市場万能主義と言い換えてもかまわない。この思想は,政府や国家の介入をできるだけ小さくすれば,あとは,利益の極大化を追求する個人や企業が市場で自由に行動することにより一国全体の効率性・合理性が実現するという考え方だ。(pp. 106 - 107)

個人や企業に,一国全体の効率性・合理性を委ねることはできるだろうか。
現実問題として,非効率・非合理であるが,絶対に誰かがやらなければならないこともあるのではないか。

「トリクルダウン効果」というのは,富裕層やニューリッチ層など豊かな人たちが消費をすると,あたかも水滴がしたたるように,そのおこぼれによって貧しい人たちも潤う効果のことだ。たとえば,富裕層やニューリッチ層が高いお金を払ってメイドや家庭教師,庭師,運転手,マッサージ師を雇うといったケースがこれにあたる。(p. 110)

私は,「トリクルダウン」のどこに位置しているのだろうか。

 現在の富裕層やニューリッチ層は,消費をしたいから,その手段として富を蓄積するというのではなく,富の蓄積によって権力(社会的な影響力)を持ちたいという考え方のほうが強くなっている。(p. 113)

富があっても,それを全て使うわけではないから,持つ人と持たない人の格差が広がるばかりなのではないか。

 しかし,80 年代後半に発生した日本のバブルを振り返っても明らかなように,人々の心が過度な楽観主義に傾いたり,過度な悲観主義に傾いたりするのは,元をたどれば,政策当局の経済政策の誤りが引き金になっていることが多い。(pp. 167 - 168)

政策当局が万能ではないことは,歴史を見れば明らか。

 不確実性の二つの種類 by 経済学者 フランク・H・ナイト(p. 177)

  1. 自動車事故のようにある事象が起こる可能性を統計・確率的な手法によって推測できる不確実性(=「リスク」)
  2. 統計・確率的な手法では推測できない突発的に起こる事象(=「真の不確実性」)

統計や確率では予測できないことが起こりうるのが実体経済である。

スタグフレーション」とは,景気の停滞を意味する「スタグネーション(stagnation)」と「インフレーション(inflation)」の合成語で,不況とインフレが同時に進行する状態を指す。(p. 210)

インフレーションリスクには,しっかりと対応できるようにしておかなければならない。

 大田弘子経済財政担当相は 2008 年 1 月に行った経済演説(衆議院本会議)のなかで,日本の経済状況について「もはや経済は一流と呼ばれるような状況ではなくなった」と話していたが,客観的にみてもまさにそのとおりである。(p. 226

日本の経済が一流でなくなってから 10 年以上が経過。
日本経済は,今,どの位置にいるのだろうか。
少なくとも,一流に戻っているということはなさそうだ。