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資本主義の預言者たち 中野 剛志

2020年10月13日作成

『資本主義の預言者たち ニュー・ノーマルの時代へ』(中野 剛志,角川新書,2015年2月10日発行)を読了。

新自由主義とは,「自由市場には,価格を通じて資源を最も効率的に配分し,経済厚生を増大する原理がある」という信念の下,政府による市場への介入をできるだけ排除し,経済活動の自由をできる限り許容すべきであるとするイデオロギーのことである。(位置 No. 108)

資源を最も効率に配分できるほど,人間は合理的だろうか。
合理的に考えることのできない人間は,貯蓄を増やすことに注力するのではないか。

ハーバード大学の著名な経済学者で元財務長官のローレンス・サマーズは,2013年11月,国際通貨基金が開いた年次調査会議にパネリストとして参加し,先進国経済が「長期停滞(secular stagnation)」に陥っているかもしれないという悲観的な見解を示した。

今後の先進国経済は,需要不足(貯蓄過剰)が続いて,物価は停滞もしくは低下する。そして,金利が極限まで下がって金融政策が効かなくなる「流動性の罠」に陥る。要するに,日本の「失われた二十年」と同じ状況になるだろうというのである。(位置 No. 277)

日本の長期停滞(いわゆる「失われた二十年」)と同じ状況が,他の先進国も陥ってしまう。
失われた二十年において,日本で生き残ったやり方を海外へ。

長期停滞を克服するための 3 つの選択肢(位置 No. 292)

  1. 労働者の職能,企業の技術革新の能力,構造的な税制改革,社会保障プログラムの長期的持続性の確保といった「供給力」の強化
  2. 金融規制を強化しつつ,金融緩和を行う
  3. インフラの更新や補強のための公共投資の拡大によって,需要を創出する

ローレンス・サマーズは,3 つの選択肢のうち公共投資の拡大が最も有望と主張。
1 と 2 は,需要を創出できる可能性があるに過ぎないが,3 は確実に需要を生み出せるので,当たり前か。

シュンペーターの言う「ヴィジョン*1」とは,科学的な理論や分析の暗黙の前提となっている先入観のことである。それは,科学史家トーマス・クーンが「パラダイム」と呼んだものに近い。(位置 No. 732)

パラダイム・シフトは,先入観を変えること。

人間の精神には,積極的な決断や行動へと駆り立てる自発的な衝動がある。それをケインズは「血気(animal spirit)と呼んだ。「血気」は非合理的な衝動であるが,それこそが,不確実な将来に飛び込んでいく「企業」の原動力なのである。従って,もし,われわれが数学的な計算にもとづいて行動するようになったら,「企業」は衰退し,死滅するであろう。(位置 No. 1986)

非合理的な衝動が,不確実な将来に飛び込むための原動力。
不確実な将来には,合理的な判断などありえないのだから。

 

*1:シュンペーターは,理論や分析の根底に横たわっているヴィジョンにまで降り立って,経済理論そして経済現象を根底から考え抜こうとした知性だった。