私の周りでは,リスキリングが流行っているので,『リスキリング大全 キャリアの選択肢が増えて人生の可能性が広がる』(清水久三子,東洋経済新報社,2024年1月30日)を読んでみた。
本稿は,読書カテゴリー 1,000 件目の記念すべき投稿。
本書を読むにあたっては,意識を以下のように変えましょう。(p. 12)
リスキリング = 国や企業の要請で DX 人材になるためのスキルを身につけさせられる
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リスキリング = 環境変化に対して自身のあり方を決めて自己変革する
自らの意思でリスキリングする。やらされるのではなく,やる。
特にどのような場合に,迅速なリスキリングが求められるかというと,以下のような場合です。(p. 62 - 63)
- 新しい技術の導入
- 業務プロセスの変更
- 新規事業の立ち上げ
私自身,新しい技術の導入,業務プロセスの変更を役割として与えられたとき,リスキリングする必要に迫られた。
日常的に自己効力感を高めるためのワークとして,「3 good things(3 つのよいこと)」があります。ポジティブ心理学の提唱者,ペンシルベニア大学のセリグマン教授が提案したとてもシンプルな手法で,1 日の終わりに今日よかったことを 3 つ書き出すというものです。(p. 79)
1 日の終わりによかったことを 3 つ書き出すことをやってみようか。
稼ぐための能力の 1 つ目は「キャリア・アダプタビリティ」です。キャリア・アダプタビリティ (Career adaptability) とは,時代の変化など,環境に合わせて変化を受け入れ,キャリアを適合させる能力です。この能力が高い人は,仕事の変化に対して柔軟に対応できて成果をあげやすいといわれています。この概念はキャリア理論家である,マーク・L・サビカス博士によって,提唱されました。(p. 91)
自らの意思か,他者の意思かはさておきとして,私が十数年間,同じ仕事をやっていないのは,仕事の変化に対して柔軟に対応しているからだろうか。
リスキリングは一度きりのイベントではなく,持続的に求められる能力(p. 101)
リスキリングには終わりはない。
無形資産とは,今は「目に見えない資産」であっても,いずれ有形資産につながりお金を生み出すことができる資産です。例えば,以下のようなものです。(p. 106)
- 受けてきた教育や保有する能力
- 人的ネットワーク
- 個人のブランド
- 活力資産
1. と 2. はこれまで蓄えてきた。これからは,個人のブランドを高めていくことに取り組んでみようか。
概念の理解:「知っている」スキル習得に必要な情報を知識として知っている状態
具体の理解:「やったことがある」実務として実行した経験がある状態
体系の理解:「できる」異なる状況でも再現できるスキルになっている状態
本質の理解:「教えられる」これからリスキリングをする人に教えられる状態(p. 113)
体系,さらには本質を理解できるまで高めていく。
現代は仕事の高度化・専門化が進んでいるため,インプットの量も自ずと膨大になります。この時に気をつけたいことは,膨大な情報に翻弄されないということです。最初に,しっかりと全体を把握し,計画的にインプットをしていかないと,その情報量に圧倒され,やってもやっても終わらない……と挫折してしまったり,あまり重要ではない箇所を深掘りしてしまうなど時間を無駄遣いしてしまうでしょう。(p. 129 - 131)
自分のキャパシティを考えて,仕事を選ぶ。選んだ仕事において,計画的にインプットしていく。
打合せがあるその日までに「詳細は知らなくても,その領域の全体像を大雑把にでも理解しておき,何かしら見解か仮説を述べられて議論に参加できる」レベルにしておく必要があります。期日があり,そのタイミングでバリューを出す必要があるビジネスパーソンにとって,全体を把握し,スパイラルに深めながら学習するのは鉄則です。(p. 167)
打合せに丸腰で臨むようなビジネスパーソンではダメだ。
具体と抽象の行き来で学びの取れ高を上げている例(p. 183)
- 抽象を知る:まず書籍や研修で学ぶ
- 具体を知る:やってみて気づきを得る
- 抽象化する:得られた気づきを言語化して再現性を高める
- 具体例を増やす:異なる状況でやってみて,共通点や違いを理解する
私自身,具体と抽象の行き来で,学びを深めている。抽象と具体を繰り返すことで,学びを深めていける。
多くの人はせっかく本を読んでも実行しないといわれており,実際に行動に移す人は約 1 割程度といわれています。いかに本を読んだだけで終わっている人が多いのかが分かりますね。実行に移す 1 割の人になるためにもラーニング・ジャーナルの働きは大きいといえます。(p. 251 - 252)
習慣的に本を読む人は少ない。本を読んでも行動に移す人は約 1 割。
逆に言えば,本を読んで,行動に移せば,圧倒的に有利。
人から教えてもらうときも,その教えをそのままなぞるのではなく,一旦整理して,「つまりこういうことなんだな」と抽象化して理解するので,応用ができます。(p. 274)
「つまりこういうことなんだな」と抽象化して理解できていれば,応用ができる。応用ができない人は,抽象化して理解していないんだな。
正解かどうかはさておき,何かを学んだ最終アウトプットとして,因数分解で本質を導き出すことは非常に大切です。これには,3 つの理由があります。(p. 307)
- 理解と記憶の定着が進む
- 学んだことが洗練される
- 自分で物事の善し悪しが分かる
せっかく学ぶのだから,本質までたどり着きたい。
「発信や教える機会があれば,惜しみなく打席に立つ」
これを実践した人は学びが深まるだけではなく,「この人はこういうことが得意だ」というラベルがつけられます。そのことにより,仕事の機会が増えるのです。(p. 316)
新しく得た知見は,必ず発信するように心がける。取り組んでいるテーマがニッチであれば,最前線に立つことができる。
越境学習では,越境した直後に,元いた場所との様々な違いに打ちのめされて葛藤し,越境から戻ってきた時には,もともとの自分の職場の信念や流儀と,越境学習で得た信念や流儀がせめぎあって,また葛藤するそうです。(p. 351 - 352)
越境学習での葛藤は,一度だけ経験した。二度葛藤するというには,非常に納得できる。
外資系で働いている人は「FYI」という言葉がタイトルについたメールを受け取ったことがあるかもしれません。これは「For Your Information」の頭文字で,相手の参考になりそうな情報を送る際につけるものです。日本語で言えば「ご参考までに」ということになります。(p. 366)
ご参考まで,と情報を添えるとき「FYI (For Your Information)」に変えてみようか。
「仕事で忙しいから,学ぶ時間がとれない」とは,学んでいない人がよく使う常套句です。(中略)
今は仕事の生産性が問われる時代です。学ぶ時間が確保できないほど忙しいのは,むしろ仕事ができない人と見られてしまいます。「忙しいから学べないのではなくて,学ばないからムダに忙しい」のです。(p. 376)
「忙しいから学べないのではなく,学ばないからムダに忙しい」は経験的にも納得できる。学んでいる人は,どんな仕事も華麗にこなす。