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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

里山資本主義――日本経済は「安心の原理」で動く

里山資本主義――日本経済は「安心の原理」で動く』(藻谷浩介,NHK 広島取材班,KADOKAWA,2013年7月10日)を読了。

今の経済は,このような暮らしぶりを奨励している。「ちまちま節約するな。どんどんエネルギーや資源を使え。それを遥かに上回る収益をあげればいいのだ。規模を大きくするほど,利益は増えていく。それが『豊か』ということなのだ」と。(p. 4)

規模を大きくすることを『豊か』という価値観もある。

三点目として,「これはとても重要なことだが」と前置きして所長が強調したのは,林業という仕事の中身が大きく変わったことだという。”高度で専門的な知識が求められるかっこいい仕事” になった。(p. 84)

高度で専門的な知識は,どの分野においても必要になった。

高校で習ったのを覚えておられる方もいるだろう,「矛盾する二つの原理をかち合わせ,止揚アウフヘーベン)することで,一次元高い段階に到達できる」という考え方を,弁証法という。(p. 139)

矛盾する二つの原理をかち合わせ,高い次元を目指す。

「スマートシティ」とは何か,まずそこから説明しなければならない。巨大発電所の生み出す膨大な量の電気を一方的に分配するという 20 世紀型のエネルギーシステムを転換し,町の中,あるいはすぐ近くで作り出す小口の電力を地域の中で効率的に消費し,自立する 21 世紀型の新システムを確立していく。それがスマートシティだ。(p. 239)

スマートシティに必要なのは,エネルギーの地産地消か。

しかし冷静に考えて欲しいのだが,過去 20 年間でみれば日本の GDP 総額は増えていないが,減ってもいない。バブルの頃世界最高だった一人当たり GDP も,今では世界 17 位だというが,絶対額ではこの間も微増している。それどころか生産年齢人口(15 ~ 64 歳)当たりの GDP を計算してみると,今でも日本の伸び率が先進国最高だという。経済的な繁栄の絶対的な水準は,まったく下がっていないのである。(p. 258)

GDP 総額だけでなく,生産年齢人口当たりの GDP で考える。

結論だけを申せば,日本で「デフレ」といわれているものの正体は,不動産,車,家電,安価な食品など,主たる顧客層が減り行く現役世代であるような商品の供給過剰を,機械化され自動化されたシステムによる低価格大量生産に慣れきった企業が止められないことによって生じた,「ミクロ経済学上の値崩れ」である。(p. 270)

米国やドイツではインフレーションになっている。ここでいうデフレの正体だけで説明がつくだろうか。

これを経済学者の言い回しでは「イノベーション」だとか,「構造改革」だとか呼んでおり,そうした企業行動を促進する政府の政策を「成長戦略」とか言っているが,難しく言うからわからなくなるので,要するに「企業による飽和市場からの撤退と,新市場の開拓」がデフレ脱却をもたらす唯一の道である。(p. 280)

新市場はどこに広がっているだろうか。

中間総括で,「マネー資本主義は,やりすぎると人の存在までをも金銭換算してしまう」と書いた。もちろん,人はお金では買えない。人の存在価値も,稼いだ金銭の額で決まるのではない。

人間の価値は,誰かに「あなたはかけがえのない人だ」と言ってもらえるかどうかで決まる。(p. 290)

人生を B/C で考えるのは,やめたほうがよいか。