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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

まともな人 養老 猛司

2020年7月29日更新

『まともな人』(養老 猛司,中公新書,2003年10月25日発行)を読了。

 学問とは情報の取り扱いである。つまり生きたものを停め,停めたものを整理する作業である。そこに大学に行くと馬鹿になるという言葉の真意があろう。それなら経済が役に立たなくて当然である。経済学説は停止しているが,世間は動いているからである。(pp. 10 - 11)

学問は決して実践ではない。
世間の動いているものに即時対応するためには,実践しかない。

 統一理論に惹かれるのは人の常だが,一神教は歴史上最も古い統一理論だった。しかも最初の都市イデオロギーである。中近東は人類が最初に都市を築いた地域で,そこから一神教が生じた。ユダヤ教イスラム教,キリスト教が同根であることは周知の事実である。たがいに仲が悪いのは,一神教が三つもあるのだから当然であろう。(p. 32)

なぜ一神教であるのに,三つの宗教ができたのか。
そして,長い間,一つにまとまることができなかったのはなぜか。

原理主義に反対すること自体が,徹底的にやれば,それ自身がまた原理主義になってしまうのです。だから原理主義は滅びない。(p. 73)

原理主義を徹底的に反対することもまた,原理主義である。

 平和主義は理想主義で,現実主義ではないといわれる。そう思う人は,現実があると思っているのであろう。現実とは人の脳が作り出す物語に過ぎない。脳を変えれば現実が変わる。少しでも脳を知れば,それは当たり前のことである。(p. 100)

それでは,平和主義とは一体何か。
脳が作り出す物語ではないのか。

 19 世紀以来の 150 年,科学は生きものを情報化すること,つまりイカをスルメにすることに専心してきた。だから生きた社会をどう動かすか,それは相変わらず「学者という賢者」ではなく,「馬鹿な政治家や官僚」に任せるしかない状況なのである。人間の理性を信ずるのであれば,真に反省すべき者はだれか。(p. 162)

学者には,生きた世の中を動かす事はできない。
生きた社会を動かすのは「馬鹿な政治家や官僚」なのである。

 寝ている間に脳は起きているときと同じ量のエネルギーを消費する。つまり意識があるというのは,そのていどのことだともいえる。寝ているのと,さして違わないのである。つまり寝ている間とは,脳がただ「休んでいる」時間ではない。そこではなにか,重要なことが行われているに違いないのである。(pp. 181 - 182)

寝ている間に,脳は何を行っているのだろうか。
起きている時間と同じくらいのエネルギーを消費しているのだから,起きているのと同等の活動を行っているのだろう。

まともな人 (中公新書)

まともな人 (中公新書)