『確率論的思考』(田渕直也,日本実業出版社,2012年11月20日)を読了。
本当に市場の真っ只中で勝負をしてきた人間ならば,予測は白か黒かの二元論で捉えられるようなものではないことをよく分かっているはずだ。混じりっ気のない真っ白や真っ黒は存在しない。(位置 No. 123)
市場は,白か黒かの二元論で語れるものではない。
ルービンの言葉を借りれば,この世界に確実なものは何もない,あらゆる物事は確率の問題である,ということになる。ある意味で,とてもシニカルな考え方だが,これが俗世間でありとあらゆる成功を収めた人物の言葉なのだ。同時に,この言葉には哲学的とも科学的ともいえる奥深さが秘められている。(位置 No. 167)
あらゆる物事は確率の問題ということを理解しておく。
偶然は予測することも,コントロールすることもできない。しかし,偶然の影響を減らしたり,あるいはそれを前向きの要素として活用することはできる。継続的な成功は,その上に初めて築かれるのである。(位置 No. 326)
少しでも成功する確率を大きく,失敗する確率を小さくすれば,継続的に成功していけるだろう。
成功者が陥るこの落とし穴は,「自己奉仕バイアス」と呼ばれるものに起因する。成功者が,自分の成功を実際以上に自分自身の力によるものだと信じる傾向のことである。(位置 No. 671)
自分自身以外の力も成功には寄与している。
勝てる戦いしかしない,強い相手との戦いを避ける,というやり方は,実は,名将の多くに共通するものである。(位置 No. 846)
負けたら命を失うという前提があれば,勝てる戦いしかしたくないだろう。
イチローでも三回に一回しかヒットを打てないように,どんな天才でも確率の世界から抜け出せるわけではないが,それでも四回に一回しかヒットを打てない選手とは確実性が全然違う。天才もまた,不確実性を減らす大きな一要素であるように見える。(位置 No. 859)
確率の世界から抜け出すような選手が現われるだろうか。
人は,偶然の中に必然を見出そうとし,無秩序の中に秩序を見出そうとする生き物だからだ。だから,偶然を偶然として捉えることができないし,偶然だけから成り立っているものにも法則を当てはめてしまう。(位置 No. 1318)
偶然の中に必然を見出したり,無秩序の中に秩序を見出すことには,あまりこだわらないようにしよう。
たとえ途中で失敗があったとしても,正しい判断をするように努力していけば長い目で見れば成功することができる。人は偶然をコントロールすることはできない。できるのは,正しい判断を積み重ねていくことだけなのだ。(位置 No. 1493)
偶然をコントロールすることはできないので,なるべく正しい(だろうと思える)判断を積み重ねていく。
不確実性は,何にも予測することができない。
(中略)
不確実性のこうした性質に対処するにはどうしたらいいだろうか。それは,多様性を確保することだ。多様な視点,多様な手法,多様な才能,そうした多様なものの存在が,予測できない事態への対応力となる。(位置 No. 2323)
不確実性に対処するため,多様性を持っておく。
不確実性のせいで失敗することは悪ではない。大切なのは,失敗から学び,修正ができる力である。逆に失敗をしなければ必要な修正ができない場合もある。だから,失敗をしないことよりも,失敗しても修正できることの方があるかに重要だ。(位置 No. 2336)
失敗しても,修正する。ただ,それを繰り返すだけ。
20 世紀後半で最も高名な経営者の一人となったジャック・ウェルチは,七年に及ぶ選考過程の末に選ばれた。『ビジョナリー・カンパニー』の著者,コリンズとポラスは,ウェルチがすばらしい経営者だったから GE が素晴らしい会社となったのではなく,GE がすばらしい会社だったからウェルチが CEO に選ばれたのだとしている。(位置 No. 3109)
色んな会社があるが,どうやって経営者を選んでいるのだろうか。