2021年9月12日作成,2021年9月13日修正
2021年9月12日,大相撲秋場所は初日を迎えた。
照ノ富士は,新横綱として初日に臨み,小結・逸ノ城*1を万全の相撲で下し,白星スタートを飾った。
照ノ富士は,立ち合いから力強く前に出て,逸ノ城をそのまま寄り切った。逸ノ城は,8月末に新型コロナウイルス感染しており,十分な稽古ができなかったこともあり,力強さは感じられなかった。
新横綱の初日というのは,横綱になった者にしかわからないことではあるが,相当なプレッシャーがあると考えられる。しかし,照ノ富士は心技体が充実し,気負いなく相撲がとれているように感じられた。
二日目の相手は,前頭筆頭・豊昇龍。第 68 代横綱・朝青龍を叔父に持つ有望株で,初日,大関・正代を下している。二日目,照ノ富士と豊昇龍の一番に注目したい。
平成以降の横綱の新横綱場所
新横綱・照ノ富士の初日白星を受け,平成以降に横綱昇進した力士の,新横綱初日の結果を調べてみることにした。
平成以降に横綱に昇進した第 63 代横綱・旭富士から第 72 代横綱・稀勢の里のうち,新横綱で初日を白星で飾れなかったのは,第65代横綱・貴乃花だけであった。
新横綱のプレッシャーで,初日に固くなり,黒星を喫する力士も多いかと思ったが,そうではなかった。
さらに,平成以降,横綱に昇進した力士の,新横綱の場所成績も調べてみた。
横綱 | 場所 | 成績 | 優勝 |
---|---|---|---|
旭富士 | 1990年秋 | 13勝2敗 | |
曙 | 1993年春 | 10勝5敗 | |
貴乃花 | 1995年初 | 13勝2敗 | 優勝 |
若乃花 | 1998年名 | 10勝5敗 | |
武蔵丸 | 1999年名 | 12勝3敗 | |
朝青龍 | 2003年春 | 10勝5敗 | |
白鵬 | 2007年名 | 11勝4敗 | |
日馬富士 | 2012年九 | 9勝6敗 | |
鶴竜 | 2014年夏 | 9勝6敗 | |
稀勢の里 | 2017年春 | 13勝2敗 | 優勝 |
照ノ富士 | 2021年秋 | ? |
新横綱の場所成績を見ると,優勝を果たしているのは,第65代横綱・貴乃花と第72代横綱・稀勢の里だけである。貴乃花は,新横綱初日は黒星であったが,その後,盛り返し,優勝を遂げている。
1 場所 15 日制が定着した 1949 年夏場所以降に限ると,新横綱が賜杯を抱いたのは,前述の貴乃花,稀勢の里のほか,大鵬,隆の里の 4 名だけである。
新横綱初日に白星を飾れたとしても,新横綱での優勝というのは,なかなかにハードルが高いようだ。昭和の大横綱である北の湖,千代の富士,平成の大横綱である朝青龍,白鵬も成し遂げていないことが,それを物語る。
照ノ富士は,新横綱で優勝できるか
今場所,もう一人の横綱・白鵬は,所属する宮城野部屋の新十両・北青鵬が新型コロナウイルスに感染したため,休場となった。
正代は直近 3 場所で 2 桁の白星がない。貴景勝は休場明けで,初日の相撲を見る限り,本調子ではないと思われる。
初日の大関陣の相撲と至近の状況を踏まえると,照ノ富士の対抗馬となれそうもない。
関脇以下の力士で,照ノ富士の対抗馬となれそうな力士はいるか。
残念ながら,私には思い浮かばない。
新横綱の場所,照ノ富士は優勝する可能性は,非常に高いと予想する。