Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

行動経済学の使い方

行動経済学の使い方』(大竹文雄岩波書店,2020年1月30日)を読了。

現状を変更する方がより望ましい場合でも,現状の維持を好む傾向のことを現状維持バイアスという。現状維持バイアスが発生するのは,現状を参照点とみなして,そこから変更することを損失と感じる損失回避が発生しているためと考えることもできる。(24 ページ)

現状維持バイアスを克服するためには,何が必要だろうか。

遠い将来にダイエットを始めるのであれば,ダイエットを始めることによって得られる将来の健康の価値は大きく感じられる。しかし,今からダイエットを始めるということになれば,将来の健康の価値よりも,今の食事を楽しむ価値の方が大きくなる。(29 ページ)

将来の健康の価値よりも,今の食事を楽しむ価値の方が大きいので,私のダイエットは続かない。

行動経済学的手段を用いて,選択の自由を確保しながら,金銭的なインセンティブを用いないで,行動変容を引き起こすことがナッジである。(45 ページ)

ちょっとした仕掛けを作ることで,行動変容を引き起こす。

ナッジ設計のプロセスフロー:OECD の BASIC(46 ページ)

  1. Behaviour : 人々の行動を見る
  2. Analysis : 行動経済学的に分析する
  3. Strategy : ナッジの戦略を考える
  4. Intervention : ナッジによる介入をする
  5. Change : 変化を計測する

Analysis に行動経済学の考え方を採り入れてみる。

行動経済学の考え方は,今までの社会保障の給付申請にともなう煩雑さについての考え方を大きく変える可能性があるのだ。実際,生活保護や失業給付の受給資格があるのにもかかわらず,受給していない人が多いことは,伝統的経済学ではパズルとされてきた。(95 ページ)

伝統的経済学ではパズルだったことも,行動経済学の考え方で解くことができるかもしれない。

長期の目標を達成するためには,その目標を達成するために,その時点その時点で最適な行動をとるのがベストである。しかし,それがベストであることはわかっていても,ベストな計画が実行できないのであれば,次善の計画を立てることが必要である。

長期の目標を達成できるような毎日のシンプルな行動ルールを決めて,毎日その行動を達成したことを喜びにするという工夫が,非合理的なように見えるけれど,次善の策なのかもしれない。(123 ページ)

長期的な目標を日々の目標にブレイクダウンする,当たり前のような工夫をして,長期的な目標に向かっていく。