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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

私のエネルギー論 池内 了

2020年6月9日更新

『私のエネルギー論』(池内 了,文藝春秋,2000年11月20日発行)を読了。

 むろん,誰もが,このまま何もしなければ,いずれ破局が来るとは知っているはずだが,「我が無き後に洪水よ来たれ」とばかり,この世の春さえ凌げれば良しとして問題を先送りしてきた。そして今や,そのツケが身動きならぬくらい溜まってきているのだ。(p. 11)

破局を迎えないために,我々にできることは何か。

 かつて,「今どきの若者はなっとらん」という老人の繰り言があった。この言葉は,古くはローマ時代の文献にあり,日本では奈良時代の木簡に書かれているらしいから,古今東西を問わず常に語られてきたことがわかる。(p. 13)

「今どきの若者」という言葉は,いつの時代も繰り返されてきた。
それは,自分が若者であったことを忘れているからだ。

 ギリシャ神話では,天上の火を盗んで人類に与えたのはプロメテウス(「前もって知る者」とか「あらかじめ備える者」を意味する)であった。水と泥から人間の男を創ったとき,既に鳥には羽根を与え獣には毛皮を与えており,人間にはもはや与えるものがなかったので火と技術を与える事にしたのだ。(p. 75)

プロメテウスが「あらかじめ備える者」を意味しているのは,備えが不十分だった福島第一原子力発電所への皮肉か。

 エネルギーだけでなく資源も有効に使い尽くそうというのが「ゼロ・エミッション」である。ある産業の生産工程から排出される廃棄物を,別の産業の原料として利用する完全循環型の生産システムのことだ。(p. 196)

要するに,一切の無駄を排除するのが,「ゼロ・エミッション」なのだろうか。

 本書で私が言いたかったのは,人類は,今後,「環境圧」という外圧を強く受けるようになり,それによって生活スタイルを変えざるを得なくなるだろう,しかし,「その時」をただ安閑と待つのではなく,自分の生活スタイルを見つめながら,どこから変えていくかを考え,少しずつでも実行してみよう,ということであった。(p. 216)

自分にできる,ちょっとした工夫で,生活スタイルを変えていく。

私のエネルギー論 (文春新書)