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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

構想力 谷川浩司

2020年1月5日更新

『構想力』(谷川浩司角川oneテーマ21,2007年10月10日発行)を読了。

何かものごとを成し遂げようとしたとき,どうすれば最終的な目標に最短でたどりつくことができるか,置かれた状況やさまざまな条件を考慮しながら,そのための方法と具体的な手順を導き出し,組み立てていくこと。(p. 2)

ただ最終的な目標にたどりつくだけでなく,“最短”というところに“谷川さんらしさ”がある。

最大の理由は「二手目の判断の甘さ」である。初心者は往々にして自分に都合のいい手しか読もうとしない。自分にとって「こう指してくれればいいな」という手しか読まず,「こう指されたら困るな」という,都合の悪い手は読もうとしないわけだ。だから,構想が立てられない。(p. 28)

二手目は「こう指されたら困る」という手を読む。

将棋では「香車四枚を見ろ」とよくいう。どういうことかといえば,香車は通常,盤の四隅にある。つまり,「つねに盤面全体を視野に入れなさい」という意味である。(p. 52)

盤面全体を視野に入れることを意識する。

先日亡くなられた臨床心理学者の河合隼雄先生は「思考は方向性を持っていないとかたちにならない。だから,ある程度方向性を持って考えるのは当然」と断ったうえで,こういっておられた。
「でも,そこに没入してしまうと,その方向性から抜け出せなくなってしまう。別の角度から考えられなくなってしまう」(p. 102)

思考に方向性があることは問題ではない。思考に没入してしまう前に,別の方向を考えてみるといいのかもしれない。

「練習のときは自分がいちばん弱いのだ,いちばん下手なのだと思いなさい。試合のときは自分がいちばん強い,いちばんうまいと思いなさい」(p. 130)

試合で実力を発揮するための秘訣。

年齢を重ねていくと,人間はどうしても保守化する。固定観念や先入観にとらわれがちになる。そのため,若い人間の思考やふるまいに対して理解不能になりかねない。つい「最近の若い者は……」と思ってしまうのである。(p. 150)

何千年前の壁画にも「最近の若い者は……」と刻まれていたとか。

考えてみれば,私も羽生さんへの嫉妬心を克服するために多くのエネルギーを使ってしまった。このメカニズムをもっと早く知っていれば,そんなに苦しむ必要はなかったのにと今は思う。(p. 159)

谷川さんが羽生さんを意識しすぎなければ,どうなっていたか。

年齢を重ねてある程度達観することは必要だろう。しかし,達観が諦観になってはいけない。それではそれ以上,高みを目指そうと思わなくなるし,そうなっては構想力は衰えることはあっても伸びることはない。怒りの感情までなくしてしまうのは,必ずしもよいことではないと私は思うのである。(p. 161)

諦観(本質を明らかに見て取ること,悟りの境地にあって物事をみること)
悟ってはいけないということか。

だが,それでは同じ失敗を繰り返すだけである。先ほど述べたように,反省なくして前進はありえないからだ。「これをすればこうなる」とか「これをしておかなければこんなことが起こってしまう」と想像することもないだろう。だからこそ,こうした習慣を身につけるためには,子どものときからある程度挫折や負けを体験させることが重要であると思うのだ。(p. 182)

挫折や負けを体験することは,前進するため糧である。

構想力 (角川oneテーマ21)

構想力 (角川oneテーマ21)