Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

日本の人口減少が加速しているように感じる昨今,ふと日本でこれから起こることが不安になり『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司,講談社,2017年6月20日)を読んでみた。

結婚,妊娠・出産に対する人々の価値観の変化がもたらした構造上の問題であるため,将来にわたって人口減少はずっと続く。そして,人口減少が社会に与えるインパクトは大きい。

出生数の減少も人口の減少も避けられないとすれば,それを前提として社会の作り替えをしていくしかないであろう。求められている現実的な選択肢とは,拡大路線でやってきた従来の成功体験と訣別し,戦略的に縮むことである。日本よりも人口規模が小さくとも,豊かな国はいくつもある。(11 ページ)

拡大路線よりも,戦略的に縮むことは難しい。(例えば,電力系統の場合,ヒト・モノ・カネさえあれば,需要に応じて拡大していくのは容易である。一方,需要の先細りしたとしても,一定の需要がある限り電力系統を縮小していくことは難しい。)

今後の日本の高齢社会とは,「高齢者」の高齢化が進んでいく社会でもあるのだ。(27 ページ)

目の前でも「高齢者」の高齢化が進んでいる。

とりわけ深刻なのが社会保障制度である。ひとり暮らしの激増を織り込んでいないからだ。(58 ページ)

さて,私が高齢者になったとき,社会保障はどれだけのものか。社会保障がなくても,困らないくらいの備えはしておきたい。

AI や ICT(情報通信技術)に活路を求めればよいといった意見も多い。だが,どんなに技術が発達しようとも,人の手を使わなければできない仕事,人が携わったほうがよい仕事は残り続ける。(92 ページ)

AI や ICT が全てを解決してくれるわけではない。

大都市部では総人口はあまり減らず,高齢者の実数だけが増えていく。これに対して,地方では総人口は減少するが,高齢者の実数はさほど増えるわけではない。(126 ページ)

私の住む地区の 2050 年を想像してみよう。どれだけ子を持てるかにかかっている。

人間というのは易きに流れがちだ。現実逃避の心理が働くのだろうか,「目標」というより「願望」に近い甘い見通しや計画がなくならない。(149 ページ)

易きに流れやすいということを認識し,厳しい見通しと計画を立てる。

どうせ縮まざるを得ないのならば,切羽詰まってから対策を考えるより,時代を先取りし,”小さくともキラリと輝く国” を自分たちの手でつくりあげたほうがよい。取り組むべきは,人口が少なくなっても社会が混乱に陥らず,国力が衰退しないよう国家の土台を作り直すことである。(159 ページ)

人口減少していくことを受け止めて,考え方を変えていく。

第3の処方箋は,非居住エリアを明確化することだ。人が住む地域と,そうではない地域とに国土を色分けし,コンパクトで効率的な国に作り替えるのである。人口が激減し日本列島はスカスカな状況となった後も,人々が思い思いの土地に住むのでは,行政コストから考えてあまりに効率が悪い。山の中の数軒のために,道路や水道などの公共インフラを整備し続けることは非現実的である。民間サービスだって行き渡らず,”買い物難民”や”医療難民”を生むことにもなろう。(168 ページ)

非居住エリアを明確化するというアイディアは,大賛成。一部の人には,移住してもらう必要はあるが,それにより行政コストを減らすことができる。

史上最強の CEO イーロン・マスクの戦い

『史上最強の CEO イーロン・マスクの戦い』(竹内一正,PHP 研究所,2015年3月4日)を読了。

「重要な部分はアウトソースしないで,社内で取り組む」とイーロンは常々述べていて,スペース X の内製率は 8 割以上と驚異的だ。(36 ページ)

重要な部分を内製化すれば,試行錯誤が容易になる。

イーロンは学生時代,人類の将来にとって最も重要なことは一体何かを考えた結果,「インターネット,持続可能なエネルギー,宇宙開発」という 3 つの結論にたどり着いた。(41 - 42 ページ)

インターネット,持続可能なエネルギー,宇宙開発という 3 つの切り口で見れば,イーロン・マスクの行動の意味が見えてくる。

テスラ特許公開の狙いは,電気自動車の普及をハイスピードで加速するためだ。米国で電気自動車の割合はまだ 1 % にも満たない。テスラ社一社だけがフルスロットルで頑張っても限界がある。しかし,テスラの特許を無償公開すれば,多くのメーカーが電気自動車を作り始め,電気自動車のグローバルな普及率が加速的に速くなることが期待できる。(66 ページ)

オープンにすることで,一人(または一社)では成し得ないことも可能になる。

イーロンは「技術的リーダーシップは『特許』によって決まるものではなく,世界中の優秀なエンジニアたちを惹きつけ,やる気にさせる『企業力』によって決まる」と断言した。(128 ページ)

私が勤めている会社は,優秀なエンジニアたちを惹きつけ,やる気にさせているだろうか。

イーロンは「自動車大手と EV で激しく競争することを心から望んでいる。なぜなら,それは EV の販売台数が増え,技術がより進化することを意味するからだ」と超然と語った。(183 - 184 ページ)

EV の販売台数を増やす,というのは夢物語のように思えたが,それを実現するのはさすがだね。

高い目標を掲げ挑戦することに意味はある。グーグルの会長で元 CEO のエリック・シュミットは社員に「10 % の改善」ではなく,「10 倍の改善」を求めてきたと言う。「10 倍の改善」はクレージーに見えるかもしれないが,チームは必死になって結果を出そうとする。そうすると,「3 倍の改善を実現できるかもしれない」と,シュミット流経営術を語っていた。(198 ページ)

少しの努力だけでは届かないような目標を掲げて,必死になって結果を出してもらう。

旧ソ連の宇宙飛行士だったユーリ・グラズコフはかつてこんな疑問を投げかけていた。「地球の自然は,私たちに果てしなく優しかった。私達人類が地上に現れ,2 本の足で大地に立ち,進化するのを見守ってくれた。そして,人類はたくましくなった。しかし,この贈り物に,私たちは何かお返しをしただろうか」。(227 ページ)

地球の自然にお返しするというのは,ややおこがましい気もする。

レイライン2 もう一つの剣:追いつめられた信長 失われた秘剣

レイライン:千三百年間の謎 失われた秘剣』に引き続き,『レイライン2 もう一つの剣:追いつめられた信長 失われた秘剣』を読了。

「私は,日本国憲法及び法律を忠実に擁護し,命令を遵守し,警察職務に優先してその規律に従うべきことを要求する団体又は組織に加入せず,何ものにもとらわれず,何ものをも恐れず,何ものをも憎まず,良心のみの従い,不偏不党且つ公平中正に警察職務の遂行に当ることを固く誓います」(位置 No. 4355)

警察職務の遂行に当ることを固く誓う言葉。私が職務の遂行に当るとき,何を誓うべきか。

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電力改革――エネルギー政策の歴史的大転換

『電力改革――エネルギー政策の歴史的大転換』(橘川武郎講談社,2012年2月20日)を読了。

原発の今後のあり方を論じる際に最も重要な点は,「反対」,「推進」という原理的な二項対立から脱却し,危険性と必要性の両面を冷静に直視して,現実的な解を導くことである。(13 ページ)

2023年,「反対」,「推進」という原理的な二項対立から脱却し,危険性と必要性の両面を冷静に直視して,現実的な解を導けているだろうか。2012年の時点より,少しは前進しているが,二項対立は続いているように思われる。

電力業は公益性の高い産業であるが,わが国の場合には,国営化や公営化の途を選んだ多くのヨーロッパ諸国と異なり,民営で電力業を営むという方式を選択した。つまり,民有民営の電力会社が企業努力を重ねて,「電気を安く安定的に供給する」という公益的課題を達成する,民間活力重視型の方針を採用したわけである。(43 - 44 ページ)

民有民営の電力会社が企業努力を重ねて,「電気を安く安定的に供給する」というシステムがうまくいっているとき,それを当たり前と感じる。そして,電力会社の企業努力とは別の次元(例えば,燃料費の高騰)で電気を安く安定的に供給できなくなったとき,電力会社の企業努力が足りない,という人が一定数いる。それは悲しいことだ。

石油ショックのトラウマ」により安定供給至上主義が浸透する一方で,電気料金は上昇し,「低廉な電気供給」は過去のものになった。電力会社は,「お役所のような存在」になり,民間活力は後退した。1990 年代半ばから始まる電力自由化を必然化するような状況が形成されていったのである。(54 ページ)

電力会社の民間活力が後退したから,電力自由化で刺激を与えたのか。その刺激により,電力会社は民間活力を取り戻したか。

日本電力業が長いあいだ「民営公益事業方式」を採用してきたことを考え合わせれば,日本電力業発展のダイナミズムは,民有民営の電力会社が企業努力を重ねて,「電気を安く安定的に供給する」という公益的課題を達成しようとする民間活力に求めることができる。(62 ページ)

これからも民有民営の電力会社の民間活力に期待してもよいか。

歴史的経緯をふまえると,日本の電力産業にとって電力自由化は,経営の自立性を再び構築する,貴重な機会だと言うことができる。つまり,電力自由化のいっそうの進展は,電力会社による経営の自律性の再構築を促進し,ひいてはエネルギー・セキュリティの確保に資するわけである。(124 ページ)

電力自由化は,電力会社による経営の自律性の再構築をどこまで促進できたか。電力・ガス取引監視等委員会をなくすくらい,自由にやらせてみてはどうだろうか。

電源開発面から見て,日本の電力業は,

  1. 石炭火力発電中心(1887年~1990年代)
  2. 水力発電中心(1910年代~1950年代)
  3. 石油火力発電中心(1960年代~1973年,1960年代初頭は石炭火力中心)
  4. 原子力発電を中心に LNG 火力発電と海外炭火力発電を加えた電源の脱石油化(1974年以降)

という,四つの大きな時代を経験してきた。(172 ページ)

2011年の福島第一原子力発電所の事故以来,(無理やり)再生可能エネルギー電源開発を行ってきた。原発事故がなければ,今日の電源構成はどうだったのか気になるところ。

ここはウォーターフォール市,アジャイル町

プロジェクトマネジメントの参考になれば,と考えて『ここはウォーターフォール市,アジャイル町 ストーリーで学ぶアジャイルな組織のつくり方』(沢渡あまね,新井 剛,翔泳社,2020年10月14日)を読了。

チームを観察していて,真希乃は次の 4 つの問題を認識した。(24 ページ)

  1. 開発メンバーと顧客だけで物事(業務要件やシステムの仕様など)が決まる
  2. 運用メンバーが登場するには,ユーザーテスト工程から。そこで運用上の問題が次々に発覚。
  3. 開発チームに何を言っても「運用でカバーしてくれ」のひと言。取り合ってもらえない。
  4. そもそも日常的に運用やヘルプデスクの声が開発に届いていない。届ける機会やタッチポイント(接点)すらない

開発が運用のことを考慮していない。

どんなインシデントが起こっていて,どんなクレームがホットなのか?誰が何をどう

対応したのか?共有する場も仕組みもない。ともすれば対応も「気付きベース」での,個々人のボランティア精神に委ねられている。きわめて偶発的かつ属人的である。(25 ページ)

インシデント対応が個々人のボランティア精神に委ねられているのは,数年前に私が所属していたチームにも当てはまる。

チケットのメリット(69 ページ)

  • 個人で抱えていたノウハウがチームに共有
  • 形式知となり,伝えることが容易
  • 場当たり的な対応の負のサイクルを断ち切る

チケットを書く手間以上のメリットがあるから,チケットを使う。

チケットに残されたバックグラウンド情報は,いわばその知識における「判例集」です。判例をたどることができれば,組織としての判断もブレないですし,担当者が毎回ゼロから対応を考えて頭を抱える必要もなくなります。背景が書かれていれば,当時との差分を考慮した適切な判断をすることもできます。すなわち,組織の行動のアップデートを促すツールにもなるのです。(124 ページ)

その場しのぎではなく,しっかり考え方を残すことで,組織としての力をアップする。

タスク管理ツールで実現できること(133 ページ)

全体の状況

  • 何件のどんなインシデントがあるか網羅的にわかる
  • インシデントごとの状況と担当チーム,順位が見える化できる
  • どの担当チームが受け持っているかがわかる

時間

  • 担当チームが明確になるのでムダに気を揉まなくなり,時間のムダも削減できる

優先順位

  • 優先順位がわかり,後回しか最優先かなどの状況を共有できる

資産

  • 更新履歴が資産として残っていく
  • インシデントに対峙する際の型やパターンが蓄積される

プロジェクト・タスク管理ツールである backlog を使っているが,上記のことが実現できる。

運用業務の苦労談や体験談,「これはやってはいけない」「これはやめてくれ」のような悪い見本(いわゆるアンチパターン)をスライド資料化するなど,ストーリーとして語れるようにしておく。マンスリー勉強会で発表できるように言語化しておく。部内のナレッジマネジメントにもつながり,かつメンバーの発信力強化にも。(290 ページ)

成功談だけでなく,苦労談や体験談をアンチパターンとして残しておくことで,同じ苦労をする人を減らせる。

真希乃たちが実施しようとしているさらなるセイチョウの仕掛けは,大きく 3 つに分類することができます。それは,「ふりかえりむきなおる」,「ナレッジマネジメント」,「発信の文化」です。(297 ページ)

私自身,「ふりかえりむきなおる」「ナレッジマネジメント」「発信の文化」は,2022年に仕掛けることができたので,2023年にそれを拡大していきたい。

大切なのは,自分たちの問題や課題を言語化すること,周りの仲間たちと問題意識の景色を合わせること,そしてそれを仕組みや仕掛けで解決することなのだ。その解決方法は,ウォーターフォールの世界のやり方だろうが,アジャイルの世界のやり方だろうが,どちらでもいい。(321 ページ)

"The value is appreciated by experience."

価値はエクスペリエンス(体験)が決めてくれる。

ウォーターフォールであろうが,アジャイルであろうが,周りの仲間たちと問題意識の景色を合わせる。

レイライン:千三百年間の謎 失われた秘剣

レイライン(ley line)とは,古代の遺跡には直線的に並ぶように建造されたものがあるという仮説で,その遺跡群が描く直線をいう。日本古代の遺跡群のレイラインと失われた秘剣を巡る物語である『レイライン:千三百年間の謎 失われた秘剣』(榊正志)を読了。

「この世界は一から生まれたのです。日本神道には,無やゼロという概念はありません。一が二になり,二が三と五になり,七になった……素数です。全ての数はそれらの組み合わせでできている」(位置 No. 2435)

日本神道には,無やゼロという概念がないのは知っておくべきこと。

「日本神道,そして神道の神々,ひいては歴代の天皇,それにまつわる天叢雲剣*1,後の草薙之剣を含む三種の神器古事記日本書紀の中で神格化し,それが天皇のレガリア。つまり証であるということを決めたのは,天武天皇自身だからなのです」(位置 No. 4054)

三種の神器を神格化したということは,天皇の証が欲しかったと捉えるべきか。

天武天皇は,この国の歴史と宗教を定義するために古事記日本書紀を書かせたのだ。(位置 No. 4082)

歴史と宗教を定義する欲求は,自分の位置付けを明確にするためか。

「ここが全ての中心であると考えて良さそうです。そもそも『天皇』の意味は,天皇大帝,天の中心の北極星を表しているのです。その言葉を取り決めたのも天武天皇。そして,北極星は五芒星で示されることがある」(位置 No. 4133)

私の生活では北極星を意識することはないが,明かりが無い時代は星は身近な存在だったのだろう。

「嫉妬,欲望,怒り,愚かさ,慢心,人を悪く見ること,疑うこと……,人はこの心の動きから逃れられない。いつの世も」(位置 No. 4607)

古代にも,心の動きがある,という前提で歴史を見る。

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*1:あめのむらくものつるぎ,あまのむらくものつるぎ,あめのむらぐものつるぎ,あまのむらぐものつるぎ。

実践システム・シンキング 論理思考を超える問題解決のスキル

『実践システム・シンキング 論理思考を超える問題解決のスキル』(湊宣明,講談社,2016年3月24日)を読了。

システム・シンキング(system thinking)とは,対象をシステムととらえて分析する思考技法である。(1 ページ)

対象をシステムととらえて分析する思考技法を身につける。

持続可能性(Sustainability)の定義として最も有名なものは,国連の「環境と開発に関する世界委員会」(World Commission on Environment and Development,通称ブルントラント委員会)が 1987 年に最終報告書で提言した "Sustainable development is development that meets the needs of the present without compromising the ability of future generations to meet their own needs." であろう。日本語で要約すれば,「将来世代の要求を満たす能力を損なうことなく,現代の要求を満たすこと」となる。(22 ページ)

「持続可能な発展」の原点を知っておく。

システム・シンキングを用いて構造を可視化して考えることで,作用や副作用を事前に網羅的に理解することが可能になり,中長期的視点で最も効果の高い解決策を導き出せる。(26 ページ)

システムで考えることで,作用や副作用を網羅的に理解する。

問題解決にあたり,システムの構造を可視化するとともに,利害関係者(ステークホルダー)を特定して,その関心事項を詳細に分析する必要がある(26 - 27 ページ

利害関係者の関心事項を詳細に分析する。

米国マサチューセッツ工科大学のジョン・D・スターマン(John D. Sterman)は,著書 Business Dynamics (2000) の中でシステムの振る舞いのパターンを 6 種類に分類している。(1) 指数的成長,(2) 目標追求,(3) 振動,(4) S 字型成長,(5) 振動を伴う成長,(6) 成長と崩壊である。(30 ページ)

システムの振る舞いのパターンに当てはめて,考える。

「まず第 1 に問題を理解しなければならない。即ち求めるものが何かをはっきり知らなければならない。第 2 に色々な項目がお互にどんなに関連しているか,又わからないことがわかっていることとどのようにむすびついているかを知ることが,解がどんなものであるかを知り,計画をたてるために必要である。第 3 にわれわれはその計画を実行しなければならない。第 4 に解答ができ上がったならばふり返ってみて,もう一度それをよく検討しなければならない。」(G. ポリア,柿内堅信訳,『いかにして問題をとくか』)(37 ページ)

問題を解くときの参考にしよう。

一般に問題解決とは,「現状に潜む問題を発見し,それに対する解決策を立案し,実行する一連のプロセス」と定義できる。問題解決において最も重要なのは,解決すべき問題をどのようにとらえるか,ということに尽きる。いわゆる,問題定義である。(71 ページ)

問題を解き始める前に,問題を定義する。