Masassiah Blog

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DX の真髄 安部 慶喜・柳 剛洋

2020年11月27日

『DX の真髄~日本企業が変革すべき 21 の習慣病~』(安部 慶喜,柳 剛洋,日経 BP,2020年10月19日)を読了。

前例踏襲主義をよしとする文化や,個別最適化した業務プロセスは,いまや変革を阻む存在でしかない。同質的な人材を大量に生む人財マネジメントは新しい環境に合わせた戦略を欠き,デジタル人財・変革人材を十分に育成できていない。IT ベンダーと長年にわたるパートナーシップはベンダー依存体質を生み,コスト高や IT 企画力の低下を招いている。(p. 33)

変革するためには,変えなければならないものは多い。
どれから変えていくのが効果的なのだろうか。

集まって話し合う最大の狙いは,化学反応のような新しい価値の創出だ。出席者が多様な価値観をぶつけ合って話し合うからこそ生まれる結論がある。一人で考えていたのではとうていたどり着けない結論にも,話し合いを通じてなら行き着ける。(p. 61)

イデアをぶつけ合うことで,新しい発想が生まれる。

デジタルを組み合わせた業務フォーメーションへ変革することで,人を単純作業から解放し,職位に合った判断業務や,より高度な業務へ再配置すべき(p. 70)

人間らしい,より高度な業務を行えるようにしよう。

変化の激しい時代を乗り切るには,様々な能力や経験を持つ人財が部門を超えて知恵を出し合い,共創しながら,ビジネス上の課題に対応していく必要がある。フラット化された組織では,管理職を通じた調整が不要となり,部門間の壁が崩れることで,プロジェクトチームをはじめとする横断的な連携体制が柔軟に組めるようになり,共創に挑みやすくなる。

また,組織をフラット化できれば,経営の意思をダイレクトに,そしてスピーディーに現場に伝えられる。経営と現場の距離が縮まり,現場の視座が高くなって経営層の感覚に近づいていく。現場の各個人の裁量が大きくなるため,モチベーションが高まり,行動は能動的になっていく。(p. 94)

横断的なプロジェクトを行うことで,連携体制を強化していく。

  • ジョブローテーションを仕組み化し,多様な経験・多様な人財と関りを持たせるべき
  • 経営層には,多様な部門を経験した,全社視点を持てる人財を登用すべき(p. 101)

多様な経験・多様な人財と関りを持つことができた人は限られる。
ジョブローテーションを拡大しなければ,特殊な人で終わってしまう。

特にアジア諸国では全般に「新しいもの」が大好きである。一足飛びの経済発展を意味する「リープフロッグ」という言葉に象徴されるように,海外の新興国ほど最先端のデジタル技術があっという間に浸透していくため,デジタル技術を活用した業務プロセス改革とも親和性が高いといえる。(pp. 117 - 118)

リープフロッグで追い抜かれてしまうという危機感を持つ。

本来,IT 投資は,経営戦略の一部である IT 戦略の実現手段である。いまの時代はとりわけ,ビジネスそのものが IT と切り離せないものになっている。企業全体としてビジネスに IT をどう活用していくのか,それによって将来の価値創出をどう実現していくのか,そのためにどのような IT 投資が必要となるのかを明確にした IT 戦略を策定する必要がある。(p. 126)

IT 戦略の策定は,将来を描く上で不可欠。

IT・新技術の原則 「つくる」より「使う」が大事

システム開発(ものづくり)だけでなく,「使わせて効果を出す」までを PJ チームがコミットすべき(p. 136)

システムを作って満足しない。

大事なのは,失敗を恐れず,まず小さくとも早期にプロトタイプを開発し,実際に使ってみることだ。システム導入にかかわらず,ビジネスや業務のデジタル化,DX に取り組む場合も,スモールスタートで挑戦し,トライ&エラーを繰り返していくアプローチの方がよい。変革の幅が大きく,新しい技術や方法が含まれる場合,事前に完璧な設計を行って,変更なしに一直線に進めていくのは困難だからである。(p. 142)

スモールスタートで挑戦し,トライ&エラーを繰り返していけるようになる。

必要になるのは,IT・デジタルについて「触れる・学ぶ・経験する機会」の拡充である。例えば経営層向けには,経営会議で定期的に IT 関連の勉強会を開いたり,役員に登用する際の必須要件の 1 つに「IT 部門の経験」を加えたりすることが考えられる。ユーザー部門向けには,IT・デジタルの最新動向を知り,ユーザーとしてデジタル活用構想力を磨く,いわゆる「DX 研修」を行う企業も出てきている。また,IT プロジェクトへの参画やその結果にコミットする実経験は,何よりリテラシーを高める最善の機会となる。(pp. 157 - 158)

IT リテラシーを高めるための研修を企てる。

イノベーションを起こせる人材を育成するには,小さくともイノベーションを経験させるほかない」(ニッセイ同和損害保険 黒田 正実代表取締役副社長)(p. 164)

イノベーションを経験しなければ,イノベーションを起こせない。

業務の見える化は,業務プロセス改革のスタート地点だ。手間のかかる作業ではあるが,佐々木氏*1は「業務の中身を冷静に見える化したのがよかった。そこで壮大なムダに気づかされたからだ」と振り返る。(p. 181)

業務の見える化は,手段として有効に思える。

例えば,「あいまいな判断基準」はデジタル化の天敵で,「人間の長年の経験」という曖昧さがあると RPA 化ができなくなってしまう。そのため,人間がどのような要素をどのように判断しているのかを丁寧に分析し,判断ロジックを整理していく必要がある。(p. 205)

あいまいな判断基準をロジカルに整理していく。

成功体験の呪縛を断ち切り,会社組織の強みを弱みに転じさせないようにするためにはどうすればいいか――。糸井氏*2は BPR*3 のプロジェクトを進めるにあたって,3 つのことを心掛けたという。(pp. 220 - 222)

  1. 参画メンバーが事業環境の変化を危機として認識すること
  2. 自社の弱みを認識・共有すること
  3. 業務プロセス改革を実際に経験してもらうこと

この 3 つは,心掛けていきたい。

糸井氏は「変えることが当たり前という変革マインドを持ち続けるメンバーが増えてほしい。このプロジェクトを通じて『スモール・ハピネス』を積み重ねてもらい,この願いを現実にしていきたい」と期待を込める。(p. 222)

変革マインドを持った人が増えていけば,会社は変革できる。

つまり VUCA の時代には,単発のトランスフォーメーションを成功させることではなく,絶え間ない変化に対して「継続的にトランスフォーメーションし続ける力を身につけること」が重要な意味を持つ。これこそが X(トランスフォーメーション)の側面からみた「DX の真髄」である。本当に価値のある DX は,社員一人ひとりがトランスフォーメーションし続ける力を身につけ,それが企業文化にまで高められたときに初めて実現する。

この力を身につけるには,改革を社員に経験させ,小さなことでも「変えられる」,「変えていいんだ」という成功体験を積ませるのが最もよい。そうした経験を積む機会を企業が経験し続ければ,社員は次第に従来の枠を飛び越えた発想と積極性を身につけていく。さらに意識改革が進み,仕事の目的を見据えながら,日々の業務の進め方を自ら変えられるようになれば,確実に行動変容につながる。(p. 241)

単発ではなく,継続して変革していける組織に生まれ変わる。

DX を成功に導く 3 つのカギ(p. 251)

  1. トップが号令を出し,組織・制度・ルールも含めた改革に取り組む
  2. 抜本的な改革の成功体験を積み重ねる
  3. 「デジタルを活用する」だけではなく「企業文化を変える」

「企業文化を変える」ためには,幾多の困難を乗り越えなければならない。

抜本的な改革の成功体験を得て,変革意識の浸透・定着へ(p. 254)

現場の業務改善

  • 現場主導のトライ&エラーで効果を実感

トップ主導の抜本的な改革

  • 組織・制度・ルールの見直しを含む抜本的な業務改革を断行
  • 「抜本的な改革ができた」という成功体験を獲得

自ら変革する意識の浸透・定着

  • 社員を動機づけ,自発的・恒常的な改革を促進する仕組みを構築

変革意識を広げていくためには,何ができるか。

 

*1:ブラザー工業の佐々木 一郎 代表取締役社長

*2:ユニバーサル ミュージック 糸井 孝富 執行役員 CFO

*3:ビジネス・プロセス・リエンジニアリング