Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

シェア <共有>からビジネスを生み出す新戦略

『シェア <共有>からビジネスを生み出す新戦略』(レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース,NHK 出版,2010年12月20日)を読了。

ニューヨーク・タイムズ紙の社説でトーマス・フリードマンが述べたように,「2008年,我々は限界に達した――母なる自然と市場の両方から,『ノー・モア』を突き付けられたのである。経済を立て直し再活性化するための,新たなビッグアイデアを世界中が待ち望んでいるが,そうした変革が消費者自身からまず提起されるだろうと信じている」(p. 18)

2008 年以降,経済は見事に立て直された。

イギリスの,シリル・ノースコート・パーキンソンが 1955 年にエコノミスト誌でまさしく提唱したように,「仕事の量は完成までに与えられた時間の限り膨張する」。溜め込むことについて,私たちの多くにパーキンソンの法則があてはまる。スペースが増大すると,もっとモノを買い込むようになる。プラスチックが太平洋ゴミベルトに流されるように,これらのものは倉庫にしまい込まれ,視界から消え,記憶からも消える。(p. 35)

パーキンソンの法則を克服しないと,アウトプットの量が増えていかない。

陳腐化は今や製品自体に組み込まれているばかりか,私たちの心にも根をおろしている。GM は,「消費者を満足させない」ための「アップグレード」という名の計画的化粧直しこそが社の戦略だとさえしていた。(p. 60)

今までのものが陳腐に思えるくらい,新しいものを生み出そう。

コラボ消費の核心は,この余剰キャパシティをどのように分配し直すかだ。オンラインのソーシャルネットワークGPS 搭載の携帯デバイスといった最新のテクノロジーは,この問題をさまざまな方法で解決する手段になる。(p. 116)

スマートフォンが余剰キャパシティの再分配に一役買った。

数万人,あるいは数百万人の集合的な知恵が,個人や小さなグループにはできない結果や知識を生み出すことについて,もっとも詳しく描かれているのはジェームズ・スロウィッキーの『「みんなの意見」は案外正しい』だろう。しかし,これまでと違うのは,集合知が利用を所有よりも魅力的にすることだ。(p. 138)

「みんなの意見」は案外正しいと言うが,国内外の選挙,国外の国民投票の結果を見ると,必ずしもそうではないか。

自分が捨てようとしていたものを人にあげて感謝された時に感じるものは,行動経済学者らに言わせれば,利他的行動をとった時に感じるいわゆる「内側がじーんとする感じ」と同じだという。(p. 171)

自分が捨てようとしていたものが,誰かの役に立つのは,気分がいい。

GDP という単純化された指標は,ますます見向きされなくなっている。GDP 崇拝への反論は,人の生産量だけで評価できないというものだ。GDP の考案者,ロシア系アメリカ人経済学者の故サイモン・クズネッツでさえ,GDP のモデルには重大な欠陥があると知っていた。「国の豊かさは,およそその収入で測れるものではない」と,1934 年に彼は言っている。(p. 275)

収入だけでは国の豊かさを測ろうとすると,現在の日本はかなり低い順位になると思われる。

ケリーは,そのブログ「テックニウム」(The Technium) で「クリエイターは 1000 人の本当のファン(トゥルー・ファン)を持とう」と語る。ケリーによれば,そのくらいの数が現実的であり,直接投資や購買でそのクリエイター個人を支えることができる単位がトゥルー・ファンということだ。もしクラウドファンディングや直接投資を含むマイクロファイナンスがさらに浸透すれば,クリエイターのみならず,このトゥルー・ファン論が現実味を帯びてくるかもしれない。(p. 298)

ファンの数が 1,000 人というのはかなり多い。しかし,トップにしか達成できないかというと,そうではない。Hatena Blog など個人が発信できるメディアの登場などテクノロジーの進化により,ファン獲得のすそ野は広がっている。