『アマテラスの暗号』(伊勢谷武,丸井工文社,2019年3月)を読了。
完全な将来予測は不可能であるという真実だ。
人間は全知全能の神ではない。そして時間は常に未来に進み,未知に向かっている。理性や知識には,将来を完全には予見できないことから来る構造的な欠陥があるのだ。(位置 No. 207)
将来を完全には予見できないから,楽しいのかもしれない。完全な将来予測ができてしまうとつまらない。
もしアジアで最後の独立国であった日本が植民地化されたら,アジア全体,いや有色人種の国々が解放されるまでさらに数百年の時間を要していただろう。あの戦争の際,日本がアジア各国でつくった国軍こそが,戦後再植民地化のために帰ってきた列強諸国の軍隊と戦い,白人による植民地支配の終焉を導いたのだ。(位置 No. 1163)
戦争により,変えられるものもある。
日々の生活のなかで,さまざまな恵みを与えてくれる太陽,大地,山,森,川,そして海――。そこに潜む絶大な力に対して生まれてくる感謝の気持ちと畏敬の念。その気持ちは,やがてそれらに宿る神への信仰へと変化していく。(位置 No. 1240)
恵みを与えてくれるものの理解が進むと,かつて感謝の気持ちと畏敬の念は,小さくなってしまうか。
式年遷宮は,世界中の誰もが創造し得なかった,常若と永続性を創出するシステムでもあったのだ。(位置 No. 1532)
常若と永続性を創出するシステムには憧れる。
「日本のカワイイアイドルや漫画やゲームのヒーローはよくドコカ不完全さをもっていて,ファンはソダテルことを楽しんでいますよね。ソレが日本の深いところに根差しているってワカリましたよ」(位置 No. 1822)
完全無欠なものを作らず,どこかに不完全さを持たせよう。
アラム語で『ヤマト』は,『神の民族』――。もし本当にユダヤ人が日本の礎を築いた人たちなら,ヤマトほどピッタリくる民族名はないのではないか?(位置 No. 3270)
ユダヤ人が日本の礎を築いたというのは浪漫がある。
産霊。生命のないところから,新たな生命をつくり出し育てていくちから。そして生命のないところから自ら萌え出て,命あるものを産み出し,成長を司る日本の神々。
神道は産霊の概念を最も大事にし,生命の繁栄にかなうものを”よし(善)”として,かなわないものを”あし(悪)”としてきた。(位置 No. 5093)
生命の繁栄,これだけを大事にするだけでよいのか。
日本の美しく恵み豊かな自然から生まれ,日本と世界の謎,秘密,タブー,真実――そのすべてを包み込みながら,終古の人間の営みと自然との対話のなかで醸成されてきた信仰――。
もしかしたらトインビーが示唆したように,神道こそが,すべての宗教をまとめることができる宗教の原点なのかも知れない。(位置 No. 6638)
世界各地で,環境は異なるので,神道がフィットするかはわからない。
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