Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

「AI 失業」前夜――これから 5 年,職場で起きること

2018年に発行された『「AI 失業」前夜――これから 5 年,職場で起きること』(鈴木貴博*1PHP 研究所,2018年7月2日)を 2023 年に読了。2018年から2023年まで,職場で起きたことを振り返ってみた。

人工知能の研究者の実務が弱い AI 開発に向いている間は,日本のナレッジワーカーのような小さい市場で働く人の仕事は安泰である。その均衡が崩れるのは,全世界の人工知能研究者が人間の脳レベルの計算力をもったコンピュータを数十万円の予算で購入できるようになったときだ。そのときが訪れると人工知能の研究が一気に進むようになる。(47 ページ)

2022年,ChatGPT が登場し,均衡が崩れるか。

大企業傘下の事業会社では,「このやり方で商品/サービスを販売すれば高い利益率を上げることができる」という成功パターンを生み出すのがステップ 1。そして一度成功パターンが確立できたら,それをいかに短時間でどれだけたくさん非正規社員が運営する事業所としてコピーするかを考える仕事がステップ 2。そしてそのプロセスを継続的に磨き上げるのがステップ 3。この 3 つのステップを経営者がマネージメントすることで大企業は莫大な利益を上げている。(86-87 ページ)

私の仕事は,成功パターンを生み出すことだろうか。

イントラネットの登場はそのような仕事の仕組みを一変させた。個々の社員が培ってきた仕事上のノウハウは,一定のルールでイントラネット上で保管されるようになった。そして一定の権限が与えられた社員は,それらの資料を目にすることでノウハウを吸収できるようになった。(98 ページ)

イントラネット上でノウハウは保管されているが,必ずしも整理されているわけではない。ノウハウを広げていくためには,情報の整理が必要。

サンフランシスコではウーバー登場の結果,それまでタクシーしかなかった頃と比較して旅客需要は 5 倍になったという。つまり限られたタクシー台数と高い料金で規制されていた時代にはタクシーをあきらめていた潜在需要が,5 倍もあったということだ。(130 ページ)

テクノロジーを活用し,潜在需要を発掘する。

画期的なイノベーションが世の中を変えていく際に「30 年の法則」と言われるものがある。ペニシリンでも,自動車でも,パソコンでも,世の中を変える画期的な発明品は,登場してからそれが世界をすっかり変えてしまうまでには 30 年の時間がかかるというものだ。(148 ページ)

Googleスマートフォンが登場してから,世界を変えるまで 30 年の時間がかかっていないのでは。イノベーションが世の中を変えていく時間は短くなっている。

これからの 5 ~ 10 年間,「人が採れない」と「人が要らない」というふたつの社会問題が雇用のマーケットを翻弄することになるだろう。

歪みの本質は,本来供給が少なく市場価値がある仕事であるはずの「頭と身体を両方使う仕事」が給与面で過小評価されていて,同時になり手がいくらでもいる「頭だけ使う仕事」の価値が過大評価されていることにある。(191 ページ)

頭も身体も両方使えるようになろう。

イギリスの文化人類学者のデヴィッド・グレーバーが「くだらない仕事という現象について」という衝撃的な論文を書いている。グレーバーによれば,現代社会では数え切れないほど多くの人がその人生のすべてを無意味な仕事に費やしているという。その定義は「やっている本人が基本的に無駄だと思っている仕事」ということだ。(195-196 ページ)

くだらない仕事と感じたら,その仕事の意味や価値を考えてみよう。

エンジニアが開発する人工知能製品を誰よりも早く試し,構造を理解し,適応領域や機能的な限界を理解し,それをビジネスに適用できるビジネスパーソンがこれからの 10 年間ではもっとも必要とされる人材である。(219 ページ)

人工知能製品を試し,構造を理解し,適応領域や機能的な限界を理解し,ビジネスに適用する方法を考える。

*1:経営戦略コンサルタント東京大学工学部卒。ボストンコンサルティンググループ等を経て 2003 年に独立。過去 20 年にわたり大手人材企業のコンサルティングプロジェクトに従事。人工知能がもたらす「仕事消滅」の問題と関わるようになる。