2020年6月27日更新
『佐藤可士和の超整理術 KASHIWA SATO'S Ultimate Method for Reaching the Essentials.』(佐藤 可士和,日本経済新聞出版社,2007年9月14日発行)を読了。
アートディレクターの本質も,まさにそういうことです。整理する事でいちばん大切なものを見つけ,磨き上げてデザインする。それがうまくいけば,見る人にメッセージを限りなく完璧に伝えることができる。つまり,僕のやっていることは,ブランドや商品と世の中とを結び付ける,コミュニケーションデザインの仕事なのです。(p. 31)
何かを伝えるためには,必ず整理して,いちばん大切なものを見つけ,磨き上げることが必要となる。
整理のプロセス(pp. 60 − 61)
- 状況把握・・・見えないものを見えるようにする。思考を情報化する
- 視点導入・・・並び替えたりいらないものを捨てたりして,あいまいな部分をなくしていく
- 課題設定・・・見つけた問題の本質に,課題を設定して解決に導く
見えないものを見えるようにする,そしてそれらを精査する。
そうして,問題が見いだされ,それを解決する方法を見いだす。
そのために欠かせないのが,それぞれのモノの定位置を決めておくこと。これは肝に銘じておくべきです。たとえば,引き出しの一段目の手前にはペン類,二段目には最新プロジェクトの資料といったふうに。これが習慣になれば,デスク上をきれいに保てるだけでなく,どこに何があるか把握しておくことができますから。(p. 88)
定位置があれば,どこに何があるかがすぐにわかる。
物を探す時間を省くことができる。
デスクやパソコンのデスクトップが乱れているのは,整理ができていない証拠である。
脳科学者の茂木健一郎さんの著書『「脳」整理法』(ちくま新書)に,「ディタッチメント」という言葉が出てきます。これは,あたかも“神の視点”に立つがごとく,ものすごく俯瞰して物事を見つめるということ。髪のように達観した視点をもつことが,科学者の基本姿勢として非常に大切だと述べられていて,頷かされました。同じことが“情報”の整理の場合にもいえると思ったからです。(p. 126)
“神の視点”に立ってみることで,違う見方をすることができる。
地に這い蹲るだけでなく,たまには俯瞰してみることも必要である。
こうして,最終的には,ファーストリテイリングの“無意識の意識化”を的確に行うことができました。このプロジェクトでも再確認したのが,「思考を言語化すること」と,「仮説を立てて,恐れずに相手にぶつけてみる」ということの大切さです。(p. 192)
思考は,思考のままだと誰にも伝わらない。
思考を言語化して,誰かにぶつけてみることで,何か新しいものが生まれる。
“情報”の整理におけるポイント(p. 214)
- 視点を引いて客観視してみる
- 自分の思い込みをまず捨てる
- 視点を転換し,多面的に見てみる
主観を捨てることが,情報整理のポイントとなる。主観があると,どうしても主観に合うような情報しか集まらない。
“思考”の整理におけるポイント(p. 215)
- 自分や相手の考えを言語化してみる
- 仮説を立てて,恐れず相手にぶつけてみる
- 他人事を自分事にして考える
頭の中で考えているだけでは,先へ進まない。
まずは言語にして,それを書き出して,視覚的に考えてみる。
そして,相手は何を考えるのかまでを読む。
実際に取りかかってみると,本にするということは,思った以上に難しいものでした。まさに,僕自身の思考の整理です。頭の中で漠然と考えていたことを,ひとつひとつテキストに起こして情報化していくうちに,本当に言いたいことが徐々に掴めてきました。時間はかかりましたが,自分の思考回路を根気よくひもといてみたことで,いままで培ってきた整理術を改めて整理しなおすことができたと思います。(p. 220)
本を書くことは,いつかやってみたい。
漠然と頭の中で考えていることを,言語化していく作業で,頭の中を整理することができそうである。