Masassiah Blog

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誤解だらけの電力問題 竹内純子

2020年2月8日更新

『誤解だらけの電力問題』(竹内純子*1,ウェッジ,2014年9月30日 第3刷)を読了。

日本の消費者にとって安定供給は,「されて当然のこと」になっていますが,電力会社にとっては「これこそが使命」なのです。この思考回路の違いが,序でご紹介したように「脱原発」「再エネ」「自由化」についても,全く違う見解や情報が飛び交う原因のひとつであるように思います。(p. 72)

安定供給に関する認識は,消費者と電力会社で大きく異なる。
あまりにも,電気が当たり前になってしまっている。

普通の企業であれば儲かるところに投資しますが,電力会社では基本的に安定供給を目的に投資判断をします。総括原価方式によってそのコスト回収が確実にできると見込まれるので,費用対効果の分析が甘くなったこともあるでしょう。安定供給至上主義と総括原価方式によって高コスト体質になったことは否めません。

さらに言えば,公益企業の性として,「稼ぐ」という意識は欠如しがちです。電力社員の多くは,電気を「送る」とは言っても「売る」とは言いません。これは無意識のうちに電力を公益のものと考える電力社員の美徳を表す一方,稼ぐ意識の欠如を表しているように思います。(p. 212)

電力会社が「稼ぐ」意識を取り戻すためには,どうすればよいか。

もう 10 年以上前のことですが,東京電力が初めて「経営ビジョン」を描こうとしたとき,それまでの経営者が「電力会社にビジョンなど不要」と言い放ったというエピソードがあります。その本意は,ビジョンなどという横文字言葉の浮ついた感じがそぐわないということだったのかとも思いますが,電力会社に計画はあれどビジョンなし。言われたことを正確にこなす能力は高いものの,何をやるかはお上次第であったことも否定できないのではないかと思います。(pp. 214 - 215)

10 年前(2000 年代)であれば,未来永劫,電力会社の事業は継続できると思っていた。
太陽光と蓄電池の普及が進み,送配電網が不要となる未来が予想される中,電力会社はどう変わっていくかのビジョンは必要不可欠。

「『電』の付かない人と交われ」。何代か前の東京電力の社長が社員への訓示の中で述べた言葉です。どこの業界,会社でもあることでしょうが同じ価値観の集団で話していたほうが心地よいですし,グループ企業,業界を含めた「電」コミュニティーはあまりに巨大なので,その中で閉じていても自分たちのつきあいの幅が狭いとは思わずに過ごしてしまいます。異なる意見の方とは接触せず,自分たちの理屈を自分たちで正しいと確認し合う。こでは,自浄作用は働きません。(p. 219)

 異業種と交わらなければ,しみついた固定概念を打ち破ることができない。

誤解だらけの電力問題

誤解だらけの電力問題

  • 作者:竹内 純子
  • 出版社/メーカー: ウェッジ
  • 発売日: 2014/04/28
  • メディア: 新書
 

 

 

*1:NPO 法人国際環境経済研究所理事・主席研究員,産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会委員,21 世紀政策研究所「原子力損害賠償・事業体制検討委員会」副主査。