2020年8月11日更新
はじめに
本稿では,等分布荷重を受ける片持ちはりのせん断力図(SFD),曲げモーメント図(BMD),たわみ曲線を MATLAB・Octave により計算し,グラフ化する方法について述べる。
概要
等分布荷重*1を受ける片持ちはり*2(cantilever)の
- せん断力(shearing force)
- 曲げモーメント(bending moment)
- たわみ(deflection)
を計算する。
計算結果に基づき,同プログラムでは,
- せん断力図(SFD : Shearing Force Diagram)
- 曲げモーメント図(BMD : Bending Moment Diagram)
- たわみ曲線(deflection curve)
のグラフを描画する。
等分布荷重を受ける片持ちはりの「せん断力」「曲げモーメント」「たわみ」の計算過程,グラフの説明は,[わかりやすい・詳細]等分布荷重を受ける片持はりのたわみでわかりやすく,そして詳細に解説する。
検討モデル
等分布荷重を受ける片持ちはりのせん断力,曲げモーメント,たわみを検討するモデルを下図に示す。
片持ちはりは,回転も移動もできない固定支点で支持される。
はりの先端を $xy$ 座標の原点とし,$x$ については固定支持方向を正,$y$ については鉛直下向きを正とする。
また,はりの長さは $l$ とし,想定する荷重 $w(x)$ は単位長さ当たり $q$ の等分布荷重とする。
プログラムのソースコード
xx=0:1:1000; ll=1000;%[mm] qq=0.1;%[N/mm] EE=200000;%[N/mm2] Iz=3000;%[mm4] Qx=-qq*xx; Mx=-qq/2*xx.^2; yx=qq/24/EE/Iz*(xx.^4-4*ll^3*xx+3*ll^4); figure(1);%せん断力図 plot(xx,Qx); xlabel('x [mm]');ylabel('shearing force [N]'); figure(2);%曲げモーメント plot(xx,Mx); xlabel('x [mm]');ylabel('bending moment [N・mm]'); figure(3);%たわみ plot(xx,yx); xlabel('x [mm]');ylabel('y [mm]');
設定条件
等分布荷重 0.1 [N/mm] を受ける片持ちはり(長さ 1,000 [mm])のせん断力,曲げモーメント,たわみを計算している。
なお,たわみについては,片持ちはりの縦弾性係数 200,000 [N/mm2],断面二次モーメント 3,000 [mm4] として計算している。
グラフの説明
本プログラムで出力した SFD,BMD,たわみ曲線のグラフを示す。
せん断力図(SFD)
はりを先端から長さ $x$ の位置で切断すると,長さ $x$ の部分には大きさ $qx$ の荷重が下向きに作用し,これが右側断面に作用するせん断力 $Q$ とつり合っている。
\[ Q=-qx \]
等分布荷重を受ける片持ちはりのせん断力図(SFD)を下図に示す。
せん断力は,単純減少する。
曲げモーメント図(BMD)
曲げモーメント $M$ は次式で与えられる。
\[ M=-\frac{q^2}{2}x^2 \]
等分布荷重を受ける片持ちはりの曲げモーメント図を下図に示す。
曲げモーメントは,二次関数で単純減少する。
たわみ曲線
たわみ $y$ は次式で与えられる。
\[ y(x)=\frac{q}{24EI_z}(x^4-4l^3x+3l^4) \]
等分布荷重を受ける片持ちはりのたわみ曲線を下図に示す。
たわみ曲線は,四次関数で単純減少し,片持ちはりの支持点ではたわみとたわみの傾きは 0 となる。