2020年3月20日更新
はじめに
本稿では,三角形状分布荷重を受ける片持ちはりのせん断力図(SFD),曲げモーメント図(BMD),たわみ曲線を MATLAB・Octave により計算,グラフ化する方法について述べる。
概要
三角形状に分布する荷重(以下,三角形状分布荷重。線形分布荷重ともいう。)を受ける片持ちはり*1(cantilever)の
- せん断力(shearing force)
- 曲げモーメント(bending moment)
- たわみ(deflection)
を計算する MATLAB・Octave プログラムを作成した。
プログラムで計算した結果に基づき,
- せん断力図(SFD : Shearing Force Diagram)
- 曲げモーメント図(BMD : Bending Moment Diagram)
- たわみ曲線(deflection curve)
をグラフとして描画する。
なお,三角形状分布荷重を受ける片持ちはりの「せん断力」「曲げモーメント」「たわみ」の計算過程やグラフについては,以下のページでわかりやすく,そして詳細に解説する。
プログラムのソースコード
# パラメータの設定
xx=0:1:1000; ll=1000; %[mm] q0=0.1; %[N] EE=200000;%[N/mm2] 縦弾性係数 Iz=3000; %[mm4] 断面二次モーメント # せん断力の計算 Qx=-q0/2/ll*xx.^2;
# 曲げモーメントの計算 Mx=-q0/6/ll*xx.^3;
# たわみの計算 yx=q0/120/EE/Iz/ll*(xx.^5-5*ll^4*xx+4*ll^5); # せん断力図の描画 figure(1); plot(xx,Qx); xlabel('x [mm]');ylabel('shearing force [N]'); # 曲げモーメントの描画 figure(2); plot(xx,Mx); xlabel('x [mm]');ylabel('bending moment [N・mm]'); # たわみ曲線の描画 figure(3); plot(xx,yx); xlabel('x [mm]');ylabel('y [mm]');
計算条件
長さ 1,000 [mm] の片持ちはりの支持部にはたらく荷重 0.1 [N],先端にはたらく荷重 0 [N] の三角形状分布荷重を想定し,せん断力,曲げモーメント,たわみを計算している。
なお,縦弾性係数は 200,000 [N/mm2],断面二次モーメントは 3,000 [mm4] を想定し,たわみを計算した。
プログラムの説明
- figure(1) では,せん断力図(SFD : Shearing Force Diagram)を描画
- figure(2) では,曲げモーメント図(BMD : Bending Moment Diagram)を描画
- figure(3) では,たわみ曲線(deflection curve)を描画
グラフの説明
三角形状分布荷重を受ける片持ちはりの SFD,BMD,たわみ曲線のグラフを以下に示す。
せん断力図(SFD)
三角形状分布荷重を受ける片持ちはりのせん断力図(SFD)を下図に示す。
せん断力は,単純減少する二次関数で表される。
曲げモーメント図(BMD)
三角形状分布荷重を受ける片持ちはりの曲げモーメント図(BMD)を下図に示す。
曲げモーメントは,単純減少する三次関数で表される。
たわみ曲線
三角形状分布荷重を受ける片持ちはりのたわみ曲線を下図に示す。
たわみは,片持ちはりの先端で最大,はりの支持点で最小(y = 0 [mm])となり,その減少は,五次関数で表される。
トコトンやさしい材料力学の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
- 作者: 久保田浪之介
- 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
- 発売日: 2011/06/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
*1:片側が回転も移動もできない固定支持(fixed support)で支持されるはり。