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人口戦略法案 人口減少を止める方策はあるのか

最近,人口減少について思うところがあり,『人口戦略法案 人口減少を止める方策はあるのか』(山崎史郎,日経 BP,2021年11月25日)を読んでみた。

人口減少―― 5 つの不都合(位置 No. 430)

  1. 人口減少のスピードは,年々高まる。
  2. 人口減少は「地域格差」がある。大都市も早晩,人口が急激に減少する時期を迎える。
  3. 人口減少を止めるのは簡単ではない。出生率が 2.07 に回復しても,それ以降も数十年間維持される必要があり,その間は減少が続く。
  4. 出生率の回復が遅れれば遅れるほど,将来の定常人口は低下する。
  5. 出生率向上に,即効薬はない。

5 つの不都合を並べられると,日本の人口減少を止めることは相当に難しいことが想像できる。

人口の増減に関わる「行動」と,それがもたらす「結果」との間には,通常,長期間の「時間差(タイムラグ)」が存在するということである。つまり,私たちが直面している人口減少の状況は,ここ数年の短期間のうちに出来上がったものではなく,過去数十年前からの人びとの結婚や出産といった「行動」が,時間の経過とともに積み重なった「結果」として,表れているものである。(位置 No. 431)

現在の状況は,過去の人びとの行動が積み重なった結果。

一人ひとりが行動を起こしても,簡単に変えることはできない。

重要なのは,「これさえすれば」というような即効薬はないということである。なぜなら,出生率の低下には,様々な社会的,経済的な要因が有機的に絡んでいるからだ。したがって,人口減少の基調を変えるためには,社会経済の構造を変えるような総合戦略が必要となってくる。(位置 No. 544)

現在の少子化対策には,社会経済の構造を変えるような総合戦略があるだろうか。

日本の GDP の大きな特徴は,国内内需GDP のほとんどを占めていて,外需が非常に少ない点である。今でも日本の GDP は中国の 3 分の 1 であるが,消費マーケットは中国の 52 % 程度ある。人口が減るということは国内マーケット規模が減ってしまうことを意味する(位置 No. 658)

消費マーケットが減ることを前提に考える。付加価値をつけて高く少量に売り出すことを考える。

同程度の国力の国が併存している欧州と,世界最大級の人口大国の中国がすぐ隣に位置している日本とでは,状況はまったく異なります。日本にとって,中国との国力のバランスをどう確保するかは,永遠に重大な問題であり続けます(位置 No. 946)

日本の人口と比べ,約 10 倍の人口の中国が隣にいるのは,非常にやっかいな問題。

山田氏*1によると,パラサイト・シングルとは「学卒後も親に基本的生活を依存する独身者」のことである。スウェーデンやフランスなどの北西欧諸国や米国のように,子どもは学卒後は親から独立するのが一般的な社会とは異なり,日本では,学卒後も親と同居する未婚者が多い。そうなると,収入の低い場合はもちろん,そうでない場合でも,子どもは親と同居することによって安定的な生活を得るので,結婚し,独立する必要性は高まらない。それが,未婚率を上昇させた。(位置 No. 1374)

パラサイト・シングルは,合理的な選択の結果である。

わが国では「見合い」や「職場」といった,かつて「出会いの場」として大きな機能を果たしていた社会的なマッチング・システムが弱体化した。それにもかかわらず,それに代替する社会システムが創出されていない。そのことが,多数の結婚に至らないケースを生じさせたのではないか,そのように私は考えている――。(位置 No. 3437)

一定のマッチングは必要かもしれないが,マッチングだけで結婚が増えるとは思えない。

そうした若者たちの不満を,民主主義のシステムが汲み上げ,それを政治的に修復することが可能ならば,救いがあります。しかし,もし政治において,今後ともマジョリティを占める高齢者世代が,従来通り高齢者の利益を優先する社会システムを維持しようとするならば,若年世代は激しいフラストレーションを感じるでしょう。(位置 No. 6404)

若者の数が少ないため,若者の思いを政治に反映させにくい。年齢による人口のバラツキを補正する仕組みがあればよいが,一票が平等ではなくなり,実現は困難か。

人口減少問題は,わが国のこれまでの政策立案,決定システムに大きな変革をもたらす機会になるかもしれない――。(位置 No. 6920)

小説『人口戦略法案』では,変革をもたらす機会になったが,現実の世界ではどうか。変革しようとしているようには思えない。