『模倣の経営学 偉大なる会社はマネから生まれる』(井上達彦,日経 BP 社,2012年3月12日)を読了。
次第にわかってきたことは,スターバックスは,単にコーヒーを提供しているわけではないということだ。スターバックスの店には,独特の魅力があり,それが顧客をひきつけているのだ。その価値は,自著の『スターバックス成功物語』において 4 つのキーワードで示されている。(p. 96 - 97)
- ロマンチックな味わい
- 手の届く贅沢
- オアシス
- ふだん着の交流
コーヒー以外の価値を提供することで,スターバックスは顧客をひきつける。
創造性が生まれるロジックについて,ドトールの鳥羽氏は,次のように語っている。
「徹底してその人に見倣い,研究し,模倣する。その過程で個人の能力は相当高まるだろう。そして,その高まった能力によって個人のオリジナリティというものが生み出されることになると思う」(p. 112 - 113)
見倣い,研究し,模倣する課程で,個人のオリジナリティが出てくる。
「世間のほとんどの教育は一斉授業ですが,一斉授業で教え込まれたり強制されたりしたのでは自分の力で進む経験を持つことができません」(KUMON の社内資料『山彦 142』より)(p. 183)
自分の力で進む経験を持てば,学校の授業なんていらない(学校がいらないとは,言っていない)。
「失敗からのほうが学べることは多い」と言われる。大切なのは,失敗しなければ学べないような経験でも,他人の失敗を通じて学べるということである。逆転の発想によるモデリングの本質は,失敗事例の代理学習にある。代理学習が上手であれば,ライバルの失敗を自らの知識として蓄積して,イノベーションを引き起こすことができるのである。(p. 192 - 193)
他人と同じ失敗をするのは愚かである。誰もやっていないことに挑戦し,失敗するのは価値のあることである。
まず,常に自分の事業を意識していれば,普段の生活においても,意外なものでも模範モデルとなる。新商品開発の担当者が,家族でショッピングをしていて目にしたものや,観劇して感じたものを,すべて自社の商品と結びつけるというのはよく耳にする話である。かけ離れたものからヒントを得ると「さすが目のつけどころが違う」などと言われるが,本人としてはいつもそのことを考えているので案外当然のことなのである。(p. 212)
ずっと事業のことを考えているから,何でも結びつけてしまう。
ビジネスの世界でも少子高齢化が進んでいる。
就業している人たちの平均年齢が上がっているということではない。ここで言う少子高齢化とは,新しい事業が生まれず,多くの事業が年老いているということである。中小企業庁の統計を見ても,衰退ステージに入った事業が次々にこの世から姿を消していることがわかる。日本では,1990 年以降,廃業率が開業率を上回るという事態が続いており,経済の少子高齢化に歯止めがかからないのである。(p. 217)
少子高齢化は,ビジネスにも当てはまる。少子高齢化が進めば,日本の経済力が低下していくのは当然である。
「逃げ切りの世代はリスクを冒したがらないので,新しい芽を次々とつぶす」
当事者としてはつぶす気はないのかもしれないが,新しい提案に対しては,必ず確かなデータが必要とされる。これから生まれようとする市場の潜在的な規模を実データで証明するのは原理的にきわめて困難である。(p. 219)
データをもとに考えることで,勝率を上げたいだけだ。
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