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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

「想定外」を想定せよ!失敗学からの提言 畑村 洋太郎

2020年7月8日

『「想定外」を想定せよ!失敗学からの提言』(畑村 洋太郎,NHK出版,2011年8月25日発行)を読了。

人間の心理として,「見たくないものは見えない」ことにしてしまう傾向があり,過去の失敗や事故のおぞましい体験が後世に伝わりにくい(p. 3)

「見たくないものは見えない」というのは人の性である。

「想定」は物を作る人が勝手に決めたもので,その範囲を超えた領域である「想定外」は起こりえないのではなく,確率は低いかもしれないけれど起こる可能性のあるものだ,ということ(p. 19)

想定は人がすることであり,人智を超えたものは想定外となる。
そして,人智を超えたものは,しばしば起きてしまう。

 失敗すると,人はとかくその失敗の「責任」を追及したくなるものです。それは確かに避けては通れないことですが,そこにばかり目を向けていては,失敗から学び,真の科学的理解を得ることはできません。「責任追及」ではなく「原因究明」を目的に失敗を見つめ,再発防止につなげることこそが「失敗学」の大きな役割なのです。(p. 44)

責任追及ではなく,原因究明をして,再発防止に努める。

失敗はそもそも風化しやすく,「伝わらない」性格をもっているという,失敗そのものの性質(p. 75)

失敗を風化させないために,失敗を語り継がなければならない。

人は実行したことがあることしか,いざというときに実行することはできません。頭で知識として理解しているだけでは不十分なのです。(p. 112)

知識だけでは,いざというときに何もできない。
だからこそ,実行(訓練)してみる。

 私に逆演算の大切さを教えてくれたのは,日本の自動車産業でした。その強さの秘密を調べていたときに,どこの社でも,「デザイン・レビュー(DR)」と呼ばれている試みが行われていることを知りました。新製品の開発を行う場合,製造計画が立てられて,あとは実行するだけとなった段階で,その製品の開発に携わらなかった者や,別の部署の者たちの外部の目にその計画を見せて意見を出させ,検討するのです。開発に携わった当事者は,事故や失敗のないよう,綿密に計画を立てていることでしょう。その間の苦労や工夫も知り尽くしています。ですから,いくら客観的になろうとしても,その計画から事故や失敗が生まれる可能性は,なかなか見つけられるものではありません。しかし,外部の者たちにはそんな先入観はありません。「こんな失敗や事故が起こるのではないか」というゴールから客観的に逆演算できるのです。こうすれば,失敗や事故につながる想定漏れを見つけ出すことができます。(pp. 136 - 137)

デザイン・レビューの本質を知る。
客観的な立場で,コメントしよう。

「三現」とは私が作った言葉で,「現地・現物・現人」のことです。自分の足で「現地」に行き,その失敗や事故にまつわる「現物」を見たり触ったりして確かめ,失敗や事故を体験した「現人」に会って話を聞く。それを繰り返す中で,「ハード・ソフト両面の備え」の重要性を痛感するに至りました。(p. 145)

トラブルが起これば,現地・現物・現人を実践する。
伝聞だけでは,知ることのできないことを知ることができるだろう。 

「想定外」を想定せよ!  失敗学からの提言

「想定外」を想定せよ! 失敗学からの提言

  • 作者:畑村 洋太郎
  • 発売日: 2011/08/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)