『国民のための経済と財政の基礎知識』(高橋洋一,扶桑社,2021年5月1日)を読了。
円のマネタリーベースに対してドルのマネタリーベースのほうが多ければ,ドルの価値が下がって円が上がる。少ないほうの通貨の希少性が高まるため,価値が高くなるといってもいいだろう。(位置 No. 275)
円の金利とドルの金利の差がマネタリーベースの差になり,円とドルの価値の違いになると理解しよう。
正しい金融政策が行われているところへ,その効果をさらに高めるために,本当に効果がある公共投資だけに絞らねば,本末転倒となる。
それをどうやって見極めるか。考え方は単純で,投資に見合うバックが見込めるかを分析すればいい。これはコスト・ベネフィット分析(B/C = 費用便益分析)と呼ばれる。(位置 No. 444)
コストとベネフィットを,ある程度正しく見積もることができなければ,コスト・ベネフィット分析は通用しないと考えられるが,金融政策のベネフィットは,どこまで正しく見積もれるものなのだろうか。
一般的にいえば,格差というのは高齢化が進めば広がる。大学を出たときには同級生同士で,初任給の差はそこまでない。しかし,歳を取れば出生したら企業をする人も出てきてどんどん格差が広がっていく。だから年齢を重ねるほど,平均的な年齢が高くなるほど同世代間での格差は開いていくのだ。(位置 No. 710)
資産を形成した人は,複利で資産をさらに増やしていける。これに気付いた人が,勝ち組になるのか。
もし,自分たちが直接納め,また自分たちが直接徴収したお金を使うとしたら,どうだろうか。
本当に必要なものかどうか,まずはよく考えるようになるだろう。
そして,市場原理が不要なものを淘汰するように,住民が必要だと思わないものは自然と造らなくなるだろう。(位置 No. 879)
市場原理だけでは事業が成り立たないものもある。それらの事業をどう評価するのか。
大蔵官僚だった時代に,よく聞いた言葉がある。
「マスコミの脳は小鳥の脳だから,それに見合う情報だけ与えておけばいい」
まったくひどいものだが,これが財務官僚の認識である。(位置 No. 1124)
マスコミの脳は小鳥で,そのマスコミに騙される人の脳は,いかほどのものか。
勉強とは,相手が論じている内容を妄信したり,鵜呑みにしたりすることではなく,あくまでも自分の頭で考えるための糸口になるべきものだと思うからだ。
読書にしても,何のために本を読むのかといえば,考えるための知識を得るためである。(位置 No. 1472)
読書は,考えるための知識を得る手段と捉える。
考えるという行為は,どこまでいっても自分だけの孤独な作業である。もちろん楽しみのために読む本は別だが,本から基礎知識を得たら,あとは自分でがんばって調べて考える。それしかないのである。(位置 No. 1483)
考えることは孤独であるが,後悔しないためには必要なことだ。