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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

QR コードの奇跡 モノづくり集団の発想転換が革新を生んだ

最近,自動認識技術*1に取り組んでいるため『QR コードの奇跡 モノづくり集団の発想転換が革新を生んだ』(小川進,東洋経済新報社,2020年2月27日)を読んでみた。

「新しいものに取り組むときには,最初から批判するのではなく,とにかくやってみることが先決だ。二年間黙ってトヨタさんの言うことを聞いて,そのとおりにやってみてくれ」(デンソーの白石武明,8 ページ)

やってみることで,うまくいくか,いかないか,決着をつけることができる。

「これからの世の中は至る所でコンピュータが使われるようになる。コンピュータで大切なのはソフトウェアだ。これからはソフトの時代なんだ。だから,おまえはソフトも勉強しろ」(デンソーの岡本敦稔,62 ページ)

もっとソフトウェアの勉強をしておけばよかった。

余談になるが,QR コード決済が普及した中国では,新しいタイプの飲食店が登場しているという。入店した客は,空いているテーブルを見つけてそこに座り,卓上 POP に印刷された QR コードをスマホで読み取る。すると,店のサイトに画面が飛んで,そこに表示されるメニューを見ながら客は注文をする。店員は注文された品を運んでくるだけだ。支払いはすでにネット上で完了している。

飲食店は,注文係やレジ係をする店員の人件費を節約することができる。また,メニューを表示したり支払いに使う端末は来店客のスマホなので,接客用の端末費や通信費は自店負担でなく客負担になり,投資を節約できる仕組みになっている。

こうして QR コード決済の普及は,中国では決済を超えた大きな変化を生み出しつつある。(194 ページ)

2022年,日本においても QR コードで注文できる飲食店を見かけるようになった。

QR コードは他にも,航空旅客輸送や鉄道といった分野のサービスでの革新的変化を生み出すための構成要素として重要な役割を演じている。通信,交通,決済といったインフラにおける静かな革命のキー技術としての地位を占めるようになっているのだ。(200 ページ)

QR コードは手軽に使えるが,工夫次第で色々なことができる。

QR コードの開発や標準化・普及で,デンソーのエンジニアたちがモノづくり精神に突き動かされていたのは間違いないのだが,他方で活動の起点がユーザーの現場だったことも,動かしがたい事実だ。あんなものがあればいいな,こんな技術を開発したいな,といった現場と離れた技術者の内なる思いから開発が始まったわけでないことは,改めてここで押さえておいたほうがよいと思う。(203 ページ)

QR コードというイノベーションは,ユーザーの現場から生まれた。私の勤めている会社の現場からもイノベーションが生まれてこないか。

これといった特徴のない企業や業界の現場から,QR コードを鍵技術とする革命的変化が起こり,先進的な業界や企業がそれに追随するといった展開は,少なくとも本書で見てきた事例では見当たらなかった。革新的技術や事業モデルの着想を得るのは,世界の動きを先取りする業界や企業の現場が起点となるという視点は,私たちが考える以上に重要な視点かもしれない。(204 ページ)

そろそろ,世界の動きを先取りしていない業界や企業の現場でも QR コードを使ってみようか。

*1:自動認識とは「人が管理したい動物,植物,物,情報などに付加された情報を担うもの(データキャリア[情報担体])のデータを,人が直接,識別するのではなく,データ処理システムを伴った読取機を介して識別すること。」