元横綱・白鵬(HAKUHO SHO,現 間垣親方)は,5 つのギネス世界記録(Guinness World Records)に認定されたと,2021年12月3日,日本相撲協会が発表した。
5 つの記録について,2 位以下の記録と比較することで,どれだけ偉大な記録であるかを評価してみた。
幕内優勝の最多回数 45 回
白鵬の幕内優勝 45 回は "Most top division sumo championship wins" に認定された。
幕内優勝の上位 3 力士を以下に示す。
白鵬の幕内優勝 45 回は,32 回で史上 2 位の大鵬を 13 回上回った。
また,幕内優勝の上位 3 力士の年齢-幕内優勝回数をグラフ化する。
白鵬の年齢-幕内優勝回数の傾向と大鵬,千代の富士のそれを比較することで,次のことがわかる。
- 白鵬は,大鵬よりも幕内優勝を初めて達成した年齢は遅かったが*1,大鵬以上のペースで幕内優勝回数を積み重ね,幕内優勝 30 回で遂に大鵬を上回るペースとなった。
- 横綱の最年長幕内優勝は千代の富士であったが,白鵬はそれを上回った*2。
優勝回数もさることながら,初優勝(2006年5月)から 16 年連続での優勝(2021年7月)も,2 位の大鵬の 12 年連続を上回る前人未到の記録である。
20 代前半から 30 代後半に差し掛かる時期まで,誰よりも長い間,幕内優勝を重ね続けたことが,最多優勝回数につながったと考えられる。
横綱在位の最長期間 84 場所
白鵬の横綱在位は "Longest reigning yokozuna (sumo)" に認定された。
横綱在位の上位 3 力士を以下に示す。
白鵬の横綱在位 84 場所(横綱在位年数 14 年 4 ヵ月,2007年5月場所後に昇進)は,史上 2 位の北の湖を 21 場所上回る。
幕内通算勝利の最多回数 1,093 勝
白鵬の幕内通算勝利数は "Most sumo top division wins" に認定された。
幕内通算勝利の上位 3 力士を以下に示す。
2004 年 5 月場所初日(対 隆乃若)から 2021 年 7 月場所千秋楽(対 照ノ富士)まで,白鵬が積み上げた幕内での勝利数は 1,093 である。
史上 2 位の魁皇(現 浅香山親方)の 879 勝を 214 勝上回る。
白鵬の年間幕内勝利と幕内通算勝利をグラフ化する。
2009 年と 2010 年,白鵬は年間勝利 86 勝(もちろん史上最多)を果たしている。
さすがに晩年は勝利のペースは鈍化したが,最後の場所となった 2021 年 7 月場所も全勝優勝を果たしている。
大相撲通算勝利の最多回数 1,187 勝
白鵬の大相撲通算勝利数は "Most matches won in a professional sumo career" に認定された。
大相撲通算勝利の上位 3 力士を以下に示す。
2001年5月場所 3 日目(対 古川)から2021年7月場所千秋楽(対 照ノ富士)まで,白鵬が積み上げた勝利数は 1,187 である。
史上 2 位の魁皇(現 浅香山親方)の 1,047 勝を 140 勝上回る。
2016年九州場所 3 日目,大相撲通算 1,000 勝を達成し,次の目標を尋ねられた白鵬は,次のように答えた。
(大相撲通算 1,000 勝の次の目標は)1,001 勝です
貪欲に勝利を求めていた白鵬だから,誰よりも多く勝てたのだと思う。
幕内全勝優勝の最多回数 16 回
白鵬の幕内全勝優勝は "Most undefeated top division sumo championship wins" に認定された。
幕内全勝優勝(昭和以降)の上位 3 力士を以下に示す。
幕内全勝優勝 16 回は,双葉山と大鵬の 8 回を大きく上回る(ちょうど 2 倍)。
また,6 つの本場所すべてで幕内全勝優勝を果たしているのは,白鵬だけである。
まとめ
白鵬のギネス世界記録認定を受け,5 つの記録がどれだけの偉業であるかを評価した。
引退により,白鵬の輝かしい記録の更新はこれで途切れることになる。
将来,白鵬の記録に近づく力士が現れ,再びこれらのギネス世界記録に注目されることを期待する。