Masassiah Blog

Masassiah のブログです。主に読書で得た気づきをまとめています。

Why Digital Matters ? "なぜ" デジタルなのか

なぜデジタルなのか,という命題を考えるため,『Why Digital Matters ? "なぜ" デジタルなのか』(プレジデント社 企画編集部「経営企画研究会」編者,村田 聡一郎(SAP ジャパン)監修,プレジデント社,2018年12月14日発行)を読んでみた。

スマートコンストラクションは,コマツが単独で先行していたがゆえに,コマツが独占して囲い込んでいくための方策だと思われていることもあるようなのですが,もともとのコンセプトは社会問題,お客様の課題を解決しようというところからスタートしているのです。(p. 41)

社会問題や課題を解決するための手段がスマートコンストラクションだった。

LANDLOG の第一の目的は,工事全体の生産性を改善することです。作業従事者数が向こう 10 年で 3 分の 2 になってしまうのであれば,生産性を少なくとも 1.5 倍に引き上げなければならない。

ですから,コマツの売上に寄与することは,少なくとも短期的には求められていません。「とにかく早くやれ」がコマツ経営陣からの要望です。「製造業のスピードではなく,デジタル業界のスピードで進めてくれ」と。(p. 56)

足元の課題ではなく,将来(向こう 10 年)を見据え,スピード感をもって取り組む。

ケーザーは 2015 年,「シグマ・エア・ユーティリティ」というサービスを開始した。これはひとことで言うと,「コンプレッサーを売らずに,圧縮空気だけを売る」というビジネスモデルである。

ケーザーの従来のビジネスは,コンプレッサーという「モノを作り,売る」ことであった。競合他社も基本的に同じで,コンプレッサーというモノの良し悪し(値段,燃費=電気代,故障率の低さ,静粛性など)で競い合っている。(p. 68)

モノづくりではなく,コトづくりにシフトするため,ケーザーの考え方は非常に参考となる。

日本ではウーバーというとすぐ「白タクは安いかもしれないが危険だ」というところに議論が行く。だがウーバーが顧客に提供している本当の価値は「安さ」ではない。「安心・快適・明瞭な料金」をデジタル・テクノロジーによって実現したからこそ,世界中で売上を伸ばしているのである。(p. 104)

表面的なことではなく,ウーバーが提供している価値のようなものをよく考える。

ちょっとした課題も,デジタル・テクノロジーで解決できる。

現在の企業経営を考えるうえでは,デジタルの対義語は「フィジカル」である,と理解する必要がある。

ここでいう「フィジカル」とは,物理的な「モノ」を指す。(中略)

それに対比して,電子化された情報,すなわち実体がなく,目に見えない情報のことを「デジタル」と呼ぶ。(p. 109)

デジタルの対義語はアナログではなく,フィジカル。

フィジカルな世界とデジタルな世界を融合させていく。

当然,彼ら*1は,「現場を見ればすべてわかる」と強い自信を持っている。それはそうだ。現場を一目見れば改善点がわかってしまう,彼らの経験と見識こそが,世界最高の現場を作ったのだから。

しかしここに大きな落とし穴がある。彼らは,フィジカルなカイゼンしかやったことがないのである。(p. 143)

私もフィジカルなカイゼンの経験はあるが,デジタルなカイゼンはまだ経験が浅い。

フィジカルなカイゼンの成功体験に囚われず,デジタルなカイゼンを追求したい。

king-masashi.hatenablog.com

いっぽう多くの日本企業では,まだ業務プロセスの多くが 90 年代からアップデートされておらず,人手によって回っている。各プロセス(部門)単体では,ボトムアップな業務改善の成果もあり業務品質は高いが,プロセス同士の連携・調整は十分にシステム化されておらず,現場力,とくに日本人社員同士のヒトとヒトの努力によってなんとかギャップを埋めているという現状が多くみられる。(pp. 147 - 149)

これは,私が勤めている会社にも当てはまる。

デジタル技術を取り入れ,業務プロセスをアップデートしていく。

最近はさらに IoT センサーを用いたリスク箇所の経過観察も多く取り入れているそうで,これらもすべては「リスクを許容できる範囲に抑え,修繕を先延ばしにする」ことが目的なので,投資対効果はすぐに表れるでしょう。(p. 159)

リスクゼロを建前とする(つまり,石橋をたたき続ける)のではなく,リスクをうまくマネジメントしていく。

業務を IT 化しているんですね。経験が浅い作業員でも,コンピューター画面が指示する通りに作業すれば業務を早く正確にこなせる仕組みができているのです。(p. 184)

何年もかけて,一人前を目指すのではなく,そこそこの訓練で業務をこなせるようになる。

デザイン思考とは「手法」ではなく,「マインドセット」(考え方)なのだ(p. 215)

デザイン思考のトレーニングを実施したり,資料を共有したりするだけでは組織は変わらない。従業員ひとりひとりが変化を「自分ごと」として捉えるようマインドセットを変えるのは簡単ではない。(p. 236)

簡単ではないと思うが,従業員ひとりひとりの考え方を変えていきたい。

現場の声を聞いてはいけない。現場に聞けば,「現状の仕事のやり方」を大前提として,それを部分的にカイゼンする方策しか出てこないからだ。(p. 285)

現場の声は聞くな,というのは非常に納得できる。

部分的なカイゼンではなく,抜本的なカイゼンカイゼンというよりトランスフォーメーション)を実現するためにはボトムアップではなく,トップダウンでしか実現できない。

いっぽうパッケージとは,世界中で使われている標準プラクティスを取り入れ,全社最適を実現するために導入するものだ。つまりパッケージを買うとき,あなたが買っているものは,実はソフトウェアではなく,ソフトウェアによって実現される業務ノウハウそのものなのだ。(p. 288)

パッケージを導入することは,パッケージに含まれるノウハウ(ベストプラクティス)を業務に取り込んでいく。

参考 Why Digital Matters ? の目次

  • 序章 日本型経営の「勝利の方程式」がなぜ通用しなくなったのか
  • 1章 コマツ LANDLOG 顧客課題,社会課題を解決するオープンなデジタル・プラットフォーム
  • 2章 第4次産業革命の本質は「デジタル・イノベーション
  • 3章 「デジタル」と「フィジカル」の本質的な違い
  • 4章 日本の現実は「2.5」 インダストリー 4.0 の本質は「全体最適
  • 5章 デジタル・プラットフォーマーの時代 早い者勝ちの陣取り競争
  • 6章 デザイン思考で顧客の「真の欲求」を見極める
  • 7章 ケーススタディ大企業病を克服した SAP
  • 8章 企業システム構築の新常識

更新履歴

  • 2022年1月11日 新規作成

*1:「インダストリー 4.0 先進工場」をドイツに視察に行った日本企業の生産技術のベテラン