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論文・レポートのまとめ方 古郡 延治

2020年6月24日更新

『論文・レポートのまとめ方』(古郡 延治,ちくま新書,1997年8月20日発行)を読了。

 資料に当たることは自分の研究にしかるべき「位置」を与えることにも役立つ。何ごとも人間のやることは歴史の蓄積のうえに成り立っている。たとえば,チョムスキーという言語学者は言語理論を根底から変えてしまった人だといわれるが,彼の理論でさえも先達の理論のうえに生まれたものである。当然,わたしたちが書くものはだれかの何かと関連している。無からは有は生じない道理である。(p. 14)

資料(先達の論文等)を当たり,それらを元に,自分の研究にしかるべき「位置」を与える。
まずは,資料を集める,それが研究の始まりである。

 文章には起承転結や序論・本論・結論といった部分がある。短い文章はだれでも特段の準備もなく各部分を書く。しかし,論文やレポートでは,書く前に,構想を練りアウトラインをつくることが大事である。この過程は考えをまとめるためにも,あるいは情報を論理的に順序づけるためにも役立つ。(pp. 17 - 18)

論文やレポートを書く前には,アウトラインをつくろう。
アウトラインを考えるときは,考えながら手書きするのがよい気がする。

(論理性のある文章を書くための注意)(p. 29)
自分(感情や主観)を表に出した文章は書かない(そうしなくても,文章には必ず何らかの意味でその人が出る)。
段落を論理展開の要素として使う(たとえば,段落は一つの主題について述べるようにする。段落内では事実と価値判断<評価>を一緒に行わないようにする)。
適切な用語を使う(たとえば,話し言葉でなく書き言葉で書く)。

自分を表に出さない,事実と評価を明確に分ける,適切な用語を使う,これらが論理性のある文章を書くための注意点。

(技術系の横書きの文章では単語の最後にくる長音は表記しない。「コンピューター」は,「コンピュータ」,「ナンバー」は,「ナンバ」となる。「チェッカー」も「チェッカ」である)(p. 45)

技術者として,最後にくる長音は表記しない。

 結論部では総括的なことを述べる。一言でいえば,本論では序論で提起した問題をどう解決したかを書く。結論部ではそのまとめをする。ここには要約や序論部よりも多くの情報を含む。理論や結果の正当性,妥当性,有意性,優位性,他の研究との違い,応用性,今後の課題,研究結果,未解決の問題,技術的な限界などを述べる。結論では結果をレビューするだけでなく解釈もする。自分の仕事の批判も入れる。何が大事か。意義があるか。結果は妥当か。欠点は何か。制限は何か。今後の課題は何かなどを書く。問題によっては提言,提案をする。(p. 76)

結論部から目を通す人もいるらしい。
その人たちを惹きつけるためにも,結論部には力を入れよう。

 ある種の情報は本文には入れずに付録として本や論文に付加する。それを付録にまわすことで,本文を強靭なものにし,目的の達成を効果的に行う。こうして読者には読みやすい論文ができる。(p. 109)

本文にするまでもないが,論文に欠かせない情報であるならば,付録とする。

論文・レポートのまとめ方 (ちくま新書)

論文・レポートのまとめ方 (ちくま新書)

  • 作者:古郡 廷治
  • 発売日: 1997/08/01
  • メディア: 新書