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稲盛和夫 最後の戦い 大西康之

稲盛和夫 最後の戦い JAL 再生にかけた経営者人生』(日本経済新聞社編集委員 大西 康之 著,日本経済新聞出版社,2013年7月12日発行)を読了。

目次

  1. ファーストスクラム
  2. 経営に禁句はない
  3. 大嫌いからの出発
  4. 独占は悪
  5. これが経営か
  6. アメーバの威力
  7. たった 4 人の進駐軍
  8. 辛抱強いバカがいい

印象に残った箇所

 JAL の幹部は本物の官僚より官僚的で,お金を稼ぐことよりも社内調整や政府との交渉にいそしむことが「仕事」と考える人々が経営層を支配してきた。「病んだ大企業」の典型といえる。

「計画は一流,言い訳は超一流」

 立派な再建プランを過去に何度も反故にしてきたのが,JAL という会社である。そんな会社の再建を買って出ようなどという奇特な経営者を探すのは至難の業だった。(p. 15)

私が務めている会社は,「病んだ大企業」になっていないか。

稲盛は言う。

JAL という企業が腐っていることは,日本中の誰もが知っていました。再生は不可能だと思っていたでしょう。その『腐った JAL』を立て直せば,苦境に陥っているすべての日本企業が『JAL にできるのならば俺たちにもできるはず』と奮い立ってくれる。そこから日本を変えられる。そう思ったのです」(p. 16)

JAL 再生から数年,日本企業は変わってきただろうか。

 この日を境に JAL から「予算」という言葉が消えた。「予算」という言葉には「消化する」という官僚的な思考が潜む。稲盛が最も嫌う考え方だ。JAL の社内文書で使われるすべての「予算」は「計画」に置き換わった。(p. 29)

「予算」ではなく,「計画」である。

「当たり前のこと」について,稲盛は自著『生き方』の中で語っている。

「ウソをつくな,正直であれ,欲張るな,人に迷惑をかけるな,人には親切にせよ。子どもの頃親や先生に教わった人間として守るべき当然のルール。そうした『当たり前』の規範に従って経営も行っていけばいい」

JAL でも稲盛はそれを繰り返した。(pp. 90 - 91)

「当たり前のこと」をやっていなければ,足元をすくわれる。

 シリコンバレーでは出る杭を「叩く」のではなく「ほめる」カルチャーが,グーグルやフェイスブックといったベンチャー企業を育てている。一方,日本のベンチャー企業はある程度,成功すると袋叩きにあってつぶされる。学ぶ姿勢と称賛する文化の欠如が日本経済の新陳代謝を遅らせているのだ。(p. 93)

出る杭を「ほめる」カルチャーに変えていかなければ,日本経済は生まれ変われない。

 稲盛は常々,人間を 3 つのタイプに分けて考える。自分のように常に新しい目標を見つけて行動を起こす「自燃性」,隣に燃えている人間がいると燃え移る「可燃性」,何をやっても火がつかない「不燃性」の 3 つだ。(p. 106)

私は,常に新しい目標を見つけて行動を起こす「自燃性」でありたい。

森田はアメーバ経営の根底にある考え方をこんなふうに説明する。

「人間には数字を追いかける本能があるんですよ。数字の根拠が明確になっていれば,誰もが目の色を変えて数字を追いかけ始める。熱くなるんです。ただし,管理部門だけは全体を冷めた目で見る必要があります。全員がお金儲けに夢中になると,会社がおかしな方向へ行ってしまうこともある」(p. 146)

数字の根拠が明確であれば,数字を改善しようという気になる。

 公社や独占企業や官僚組織は,放っておけばどんどん肥大化し,非効率を生んで税金を食いつぶす「タックスイーター」になる。

 タックスイーターは国民の敵だが,一方で巨大な利権を生み,そこに連なる既得権者にとっては,かけがえのない金づるになる。タックスイーターは強烈な自己増殖の本能を持っているので,誰かが勇気を持って切除しないと,経済の悪性腫瘍となって,国を蝕んでいく。ツケを支払わされるのはいつも国民だ。(p. 220)

タックスイーターを排除していかなければ,日本経済は正常に機能しない。

稲盛和夫 最後の闘い―JAL再生にかけた経営者人生

稲盛和夫 最後の闘い―JAL再生にかけた経営者人生

  • 作者:大西 康之
  • 発売日: 2013/07/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

更新履歴

  • 2020年5月30日 新規作成
  • 2022年11月5日 目次を追加