Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

俯瞰図から見える IoT で激変する日本型製造業ビジネスモデル

IoT に関する知識を深めるため,『俯瞰図から見える IoT で激変する日本型製造業ビジネスモデル』(大野 治,日刊工業新聞社,2016年12月30日)を読了。

当然ながら,「さまざまなモノをインターネットに接続する技術」が価値を生むのではなく,「さまざまなモノやヒトなどからデータを得て処理し,現実世界へフィードバックする」一連の活動の成果が価値を生む。要は現実世界の活動に足して,新たな価値を生み出すことこそが肝心なのである。(p. 3)

何らかのものからデータを取得し,現実世界へフィードバックするループを思い描くことができれば,実証を始める。

GE のインダストリアル・インターネットの特徴は,「全世界での工業エネルギー消費におけるエネルギー生産性の改善率を,現在の年率 1 % から 2 % に変える」と明記していることにある。つまり GE は,顧客に対して「年率 1 % の改善効果」を投資対効果と提示し,コミットメントしているのだ。(p. 47)

具体的な数値を示すことにより,改善効果を貨幣価値に換算することができる。

「Digital Twin」は産業用機器の「デジタル版の双子(Twin)」という意味で,双子には「物理モデル」と「データモデル」の 2 種がある。「物理モデル」は産業用機器を設計する三次元(3D)CAD の応用と物理シミュレーションにより,ある環境下で機器に故障が起こるかどうかを予測する。「データモデル」は産業用機器に組み込んだセンサーから収集した現在のデータと過去のビッグデータとから故障の発生などを予測する。(p. 135)

取り扱う対象は,物理モデルとデータモデルのいずれが適しているのかを見極める。

GE の提唱した「Digital Twin」の概念が,インダストリー 4.0 が提唱した「Cyber-Physical Systems」と同じ内容であるため,シーメンス(Simens)やエス・エー・ピー(SAP)などのインダストリー 4.0 を主導する企業も「Digital Twin」という用語を用いはじめた。

今後は GE の提唱した「Digital Twin」という言葉が「生産現場が物理空間からサイバー空間へシフトする」代名詞として使われ始めるだろう。(p. 150)

Digital Twin という言葉は,私の近くでも聞こえるようになった。

日本では政策に通じた者よりも政治屋が活躍し,企業では技術屋よりも経理や総務などの事務屋に経営を頼り過ぎている。(p. 173)

事務屋に経営を頼ると,どうなるのか。

IoT 競争の勝敗のカギは『ソフトウェアと標準化への取り組み』にかかっている。今後は否応でも,すべての企業はソフトウェアという土俵の上で戦う時代になってくる。(p. 174)

ソフトウェアを開発・運用できるようにならなければ,競争のスタートラインに立つことすらできない。

もっともどんな国も,どんな組織も,どんな集団も,自らの成功体験からはなかなか脱却できないことは,歴史の教えるところである。日本人だけが明治維新からの成功体験を引きずったまま太平洋戦争に突入して失敗したのだとか,戦後の復興を遂げて経済成長を謳歌したその成功体験を引きずって突っ走って来たために今日苦しんでいるのだと,後知恵で責めるべきではない。

逆に,そんな経営でも今日まで反映してきていたのは,日本の国内マーケットが大きかったことと,日本文化の特異性による見えない参入障壁によって,自国のマーケットが守られていたからだ。だが,以上のように日本にとって良かった環境や状況が,今や変わってしまったのだ。(p. 189)

現実を受け入れ,今の環境や状況の中でできることを考える。