Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

まともな人 養老 猛司

2020年4月7日更新

『まともな人』(養老 猛司,中公新書,2003年10月25日発行)を読了。

 俺は俺だ。多くの人がそう思って生きているらしい。そんなもの,意識がそう主張しているだけである。すべては移り変わるが,それを引き起こしているのは自分自身である。それを忘れて,「生きること」が成り立つはずがない。人間は情報とは違う。停止しているわけではないのである。(p. 10)

俺は俺,そう主張しているのは俺の意識だけである。

 冷戦時代の始まりには,ドミノ理論があった。中国が赤化すれば,近隣諸国が赤化する。近隣諸国が赤化すればさらにという具合に話が勝手に進行して,ゆえに世界が赤化する。(p. 22)

腐ったミカンの周りのミカンも腐っていくという,腐ったミカン理論。

 俗説ならいいが,まじめに統一理論が生じると困る。政治でいうなら,それは一党独裁になる。自然選択説は,見ようによっては,そうなりかけている。英語を母国語とする文明のなかでは,どうもそうなりかかっているという気がする。(p. 32)

統一,それは全てが一つになるということか。

 いま教育問題がやかましい。子どもの評価のなんとかとか,指導要領のなんとかとか,教育の問題を議論する会合に年中呼び出される。教育の根本はなにかというなら,話は簡単である。水と餌とねぐら,それを自分で探すようにさせる。そうすれば,アッという間に子どもは育つ。以上終わり。(p. 35)

一人暮らしをしたほうがいいのかな。

 平和主義は理想主義で,現実主義ではないといわれる。そう思う人は,現実があると思っているのであろう。現実とは人の脳が作り出す物語に過ぎない。脳を変えれば現実が変わる。少しでも脳を知れば,それは当たり前のことである。(p. 100)

理想と現実,それは脳が作り出す物語の光と影か。

われわれは御身大事,他人のことは知ったことではないという生活を,はや半世紀続けてきた。安全第一,身内の人命は地球より重い。それが勇気と人道を置き換えた。おまえの行動原理はなにか,なにかをしようとするときに,最初に考えることはなにか。そう私が若者に問うたとき,若者は即座にそれは「安全」だと答えた。何年も前のことである。(pp. 133 - 134)

自分の身を守る,全てにそれを優先する。

われわれは脳化社会,つまり意識の世界にもっぱら住むようになった。意識のいうことは決まっている。なにかをするときには「予測と制御」に従う。これを大和言葉に変換するのに,私は十年かけた。「ああすれば,こうなる」である。(p. 160)

「予測と制御」=「ああすれば,こうなる」

江戸時代まで,日本人は四足獣の肉を食べなかった。鳥や魚はむろん食べる。その理由は差別問題ではないかと思ったのである。弥生人縄文人を差別するとき,縄文人が好んで食べるもののなかで,肉を選んで禁忌とした。これは私の想像だが,ありそうなことではないかと思う。(p. 172)

千年以上も,差別から生まれた禁忌が残っていたというのか。

 眠りの意味はなんだ。その問いに答えられるだろうか。寝ないで頑張るとまさに意識が朦朧としてくる。そのくせ意識はそれが「ない」時間について,なにも答えてくれない。そして目が覚めると,すぐにものごとの「意味を問う」のである。意識のそうした身勝手についてなら,本が一冊書けるというものである。(p. 182)

眠っているときの意識は一体どうなっているのか。
眠りとは,想像以上に崇高な行為なのではないだろうか。

まともな人 (中公新書)

まともな人 (中公新書)

 
まともな人 (中公新書)

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