Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

シェア <共有>からビジネスを生み出す新戦略

『シェア <共有>からビジネスを生み出す新戦略』(レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース,NHK 出版,2010年12月20日)を読了。

ニューヨーク・タイムズ紙の社説でトーマス・フリードマンが述べたように,「2008年,我々は限界に達した――母なる自然と市場の両方から,『ノー・モア』を突き付けられたのである。経済を立て直し再活性化するための,新たなビッグアイデアを世界中が待ち望んでいるが,そうした変革が消費者自身からまず提起されるだろうと信じている」(p. 18)

2008 年以降,経済は見事に立て直された。

イギリスの,シリル・ノースコート・パーキンソンが 1955 年にエコノミスト誌でまさしく提唱したように,「仕事の量は完成までに与えられた時間の限り膨張する」。溜め込むことについて,私たちの多くにパーキンソンの法則があてはまる。スペースが増大すると,もっとモノを買い込むようになる。プラスチックが太平洋ゴミベルトに流されるように,これらのものは倉庫にしまい込まれ,視界から消え,記憶からも消える。(p. 35)

パーキンソンの法則を克服しないと,アウトプットの量が増えていかない。

陳腐化は今や製品自体に組み込まれているばかりか,私たちの心にも根をおろしている。GM は,「消費者を満足させない」ための「アップグレード」という名の計画的化粧直しこそが社の戦略だとさえしていた。(p. 60)

今までのものが陳腐に思えるくらい,新しいものを生み出そう。

コラボ消費の核心は,この余剰キャパシティをどのように分配し直すかだ。オンラインのソーシャルネットワークGPS 搭載の携帯デバイスといった最新のテクノロジーは,この問題をさまざまな方法で解決する手段になる。(p. 116)

スマートフォンが余剰キャパシティの再分配に一役買った。

数万人,あるいは数百万人の集合的な知恵が,個人や小さなグループにはできない結果や知識を生み出すことについて,もっとも詳しく描かれているのはジェームズ・スロウィッキーの『「みんなの意見」は案外正しい』だろう。しかし,これまでと違うのは,集合知が利用を所有よりも魅力的にすることだ。(p. 138)

「みんなの意見」は案外正しいと言うが,国内外の選挙,国外の国民投票の結果を見ると,必ずしもそうではないか。

自分が捨てようとしていたものを人にあげて感謝された時に感じるものは,行動経済学者らに言わせれば,利他的行動をとった時に感じるいわゆる「内側がじーんとする感じ」と同じだという。(p. 171)

自分が捨てようとしていたものが,誰かの役に立つのは,気分がいい。

GDP という単純化された指標は,ますます見向きされなくなっている。GDP 崇拝への反論は,人の生産量だけで評価できないというものだ。GDP の考案者,ロシア系アメリカ人経済学者の故サイモン・クズネッツでさえ,GDP のモデルには重大な欠陥があると知っていた。「国の豊かさは,およそその収入で測れるものではない」と,1934 年に彼は言っている。(p. 275)

収入だけでは国の豊かさを測ろうとすると,現在の日本はかなり低い順位になると思われる。

ケリーは,そのブログ「テックニウム」(The Technium) で「クリエイターは 1000 人の本当のファン(トゥルー・ファン)を持とう」と語る。ケリーによれば,そのくらいの数が現実的であり,直接投資や購買でそのクリエイター個人を支えることができる単位がトゥルー・ファンということだ。もしクラウドファンディングや直接投資を含むマイクロファイナンスがさらに浸透すれば,クリエイターのみならず,このトゥルー・ファン論が現実味を帯びてくるかもしれない。(p. 298)

ファンの数が 1,000 人というのはかなり多い。しかし,トップにしか達成できないかというと,そうではない。Hatena Blog など個人が発信できるメディアの登場などテクノロジーの進化により,ファン獲得のすそ野は広がっている。

集中できないのは,部屋のせい 東大卒「収納コンサルタント」が開発!科学的片づけメソッド37

『集中できないのは,部屋のせい 東大卒「収納コンサルタント」が開発!科学的片づけメソッド37』(米田まりな,PHP 研究所,2020年12月10日)を読了。

自宅は 365 日 24 時間営業,利用無料で,飲食自由,空調完備,移動時間 0 分と,自宅での集中力を自由に操れれば,なかなか効率の良い作業場所です。時間が足りないときも,悪天候やウイルスなどが心配で出歩けないときも,「自分のやりたいこと」を続けることができます。(位置 No. 12)

職場までの移動時間を考えると,自宅の方がより効率的に働ける。

GTD*1 の基本ルールは,仕事もプライベートも,すべてのタスクを細分化し,1 箇所のリストに集約させ,毎日リストを消化・更新していきます。一度リストに書きさえすれば,実際に手をつけるまで忘れても OK です。頭の中は,つねに「進行中の 1 つのタスク」にだけ集中するのです。(位置 No. 229)

仕事,プライベートもタスクが輻輳しているときは,一つのリストに書き出すことから始めよう。

個人的には,テレワークと出社を自由選択にすることで,組織の生産性は大きく高まると思っています。というのも,テレワークに向いている業務と出社に向いている業務が,それぞれ存在するからです。(位置 No. 771)

私が従事している業務は,テレワークに向いている業務。1 週間に 1 回くらい,出社せず,在宅ワークにする。

フランス首相の管轄下にある意思決定および専門知識機関によると,フランスでは「週 1 ~ 2 日は在宅,残りをオフィスで仕事をする」というパターンが最も理想的とされています。「在宅勤務が毎日続くのはつらい」という方は,週の 3 分の 1 は家で作業に集中し,それ以外の日は出社して同僚とのコミュニケーションが必要な業務に取り組む,といったスケジュールを立ててはどうでしょうか。(位置 No. 803)

在宅ワークする日は,早めに予定に入れておく。

PC のデスクトップは,部屋の縮図にたとえることができます。

デスクトップ上にデータが散らばっていて整理できていない方は,部屋も同じように出しっ放しのモノであふれていることが多いのです。(位置 No. 1006)

部屋は散らかっていても,PC のデスクトップは整理されている。

書類をまず「現物で残す必要性があるか」という視点で,次の 2 つに分類しましょう。(位置 No. 1074)

  1. 現物がなくても OK な書類(取り扱い説明書やパンフレット)
  2. 現物がないと NG な書類(契約書・証明書・役所への届け出書類など)

紙の書類を残すか否か,という問題を解決するのにいい切り口。取り扱い説明書やパンフレットは,捨ててしまおう。

*1:Getting Things Done

ジャック・マーの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実

『ジャック・マーの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実』(スク・リー,ボブ・ソン,文響社,2023年1月18日)を読了。

ゾウがすべてのアリを踏みつぶすのは難しい。アリのほうがそんなことをさせないだろう。アリはあちこち逃げまわるはずだ。それをすべて踏みつぶそうとしたら,ゾウのほうが足を折ってしまうかもしれない。

――2004年10月21日(p. 68)

アリであっても,ゾウから逃げ回ることができる。

21 世紀,企業が発展するために最も必要なものは何だと思う?

それは,社員だ。社員には敬意を持って接しよう。そうすれば,会社の士気は大いに上がる。社員の満足度はその会社の前途に直結している。

――2005年3月21日 広州 アリババ会員企業大会(p. 80)

企業が発展するために,社員のスキルを伸ばしていこう。

リーダーが果たすべきもう 1 つの役割は,自分のチームのメンバーの 1 人 1 人が持つユニークなスキルを発見することだ。

この世界に,悪い社員はいない。悪いリーダーと悪いシステムがあるだけだ。1 人 1 人の労働者の可能性を,消耗させるのではなく,注意深く育てていこう。

――2005年7月 上海 アリババ会員企業大会(p. 85)

悪いリーダーと悪いシステムを改めていこう。

私は頭のいい人たちを大勢知っているが,孫正義ソフトバンク CEO)は特別な存在だ。

にぶそうに見えるかもしれないし,変てこな英語をしゃべるが,素晴らしい英知を持った人だ。見た目はとろそうに見えるかもしれないが。

――2006年『フライ・ハイアー』前書き(p. 98)

孫正義は特別な存在か。

ずっと昔,私は世界を変えたいと思っていました。いまでは,世界を変えたければ,まず自分を変えなければならないと思っています。自分を変えることは,世界を変えることより,もっと重要なことだし,もっと簡単なことです。それから,私は世界をいまよりちょっぴりよくしたいと思っています。世界を変える――それはたぶん,オバマさんの仕事でしょう。

――2015年1月25日 世界経済フォーラム(p. 176)

世界を変える前に自分を変える。

機械は知識に優れている。だが,人間は知恵に優れている。

――2017年6月21日 CNBC(p. 208)

機械と人間の得意分野を知っておく。人間にしかできない知恵を振り絞る。

頭のよさと賢さの違いは何でしょう?頭のいい人たちは,自分が何を欲しがっているか,よく分かっています。賢い人たちは,自分が何を欲しがっていないか,よく分かっています。

――2018年2月7日 グローバル・エンゲイジメント&エンパワーメント・フォーラム(p. 226

本当に欲しいか,立ち止まって考えよう。

20 世紀には,私たちはスキルを身につけようと努力し,標準化を求めました。

しかし,21 世紀に必要なのは,個性化であり,個々のニーズに合わせた特注かなのです。

――2018年10月2日 世界貿易機構(WHO)「2018 パブリック・フォーラム」(p. 235)

標準化できるものは標準化するが,個性が必要なものは個性を活かす。

はるか先を見通す視野と広い心を持ち,有能で,みんなとともに働くことによって,自分がリーダーであることを示せ。才能のあるリーダーとはそういうものだ。

――2008年3月28日 レイクサイド・アカデミー(p. 246)

リーダーたるもの,はるか先を見通す視野と広い心を持つ。

今日がもっと楽しくなる行動最適化大全 ベストタイムにベストルーティンで常に「最高の 1 日」を作り出す

『今日がもっと楽しくなる行動最適化大全 ベストタイムにベストルーティンで常に「最高の 1 日」を作り出す』(樺沢紫苑,KADOKAWA,2021年7月8日)を読了。

  1. インプットとアウトプットの黄金比は,3 対 7
  2. インプット,アウトプット,フィードバックの上昇スパイラルをつくる(位置 No. 199)

アウトプットを増やし,インプットとアウトプットの黄金比を目指していく。

成長するためには「まずやってみる」ことが一番大切(位置 No. 235)

やってみることで,学べることが多い。

TO DO リストは,1 項目 30 ~ 60 分で終了できるよう,できるだけ小分けにして書くのがよいでしょう。(位置 No. 619)

1 項目 30 ~ 60 分で終了できるタスクに分解しておけば,すきま時間を有効に活用することができる。

最もお勧めの昼休みの使い方は,外食ランチです。

外食ランチは,最高の気分転換であり,脳のリフレッシュになります。(位置 No. 652)

外食ランチはずっと続けている。

「少量の飲酒は健康にいい」というのは一昔前の誤った常識。現在では,「お酒を飲まないのが最も健康にいい。お酒を飲めば飲むほど,健康に悪い」と考えられています。(位置 No. 1055)

お酒を飲まないのが最も健康にいいというのは,わかっている。しかし,飲酒をやめることはできない。

お酒は睡眠にマイナスの効果をもたらします。お酒を飲んでも,飲んでから 2 時間以上経つと,アルコールの代謝がかなり進みますので,睡眠への悪影響はかなり減ります。

水を多めに飲むことで,アルコールの代謝は進みやすくなりますが,寝る目的でお酒を飲んだり,寝る直前にお酒を飲む習慣を続けると,睡眠障害の原因となります。(位置 No. 1179)

21 時を過ぎたら,お酒を飲まないようにするのがいいんだろうな。

ほとんどの人は,本で問題解決をしようと思っていません。

それは,ほとんどの人は読書の習慣がないから,本に問題解決の方法が書かれていることを知らないのです。(位置 No. 1388)

読書の習慣がない人に負ける気がしない。

プレゼンの準備は,6 対 3 対 1。スライド,資料づくりが 6。予行演習,読む練習が 3,質疑応答対策が 1 の割合を意識しましょう。(位置 No. 1470)

プレゼンの予行演習をする時間を準備しておこう。

記録したものを視覚的に確認する「視覚化」も重要です。

文章だけで理解するよりも,イラスト,図,グラフなどの視覚を併用することで 6 倍以上記憶に残るという研究結果があります。視覚化は,脳を 6 倍刺激するのです。(位置 No. 1897)

イラスト,図,グラフにできるものは,徹底的に視覚で訴える。

NEO ECONOMY 世界の知性が挑む経済の謎

『NEO ECONOMY 世界の知性が挑む経済の謎』(日本経済新聞社,日経 BP,2020年5月21日)を読了。

「経済・政治哲学の分野についていうと,25 歳や 30 歳になってから新しい理論の影響を受ける人は多くない。官僚や政治家,さらに扇動家でさえ,目の前の出来事に当てはめる理論はおそらく最新のものではないだろう」(p. 4)

経済・政治哲学の分野は,あえて新しい理論に影響を受けてみようか。

米国の文明評論家,ジェレミー・リフキン氏は「ビッグデータを分析することで在庫を極限まで減らし,生産性を劇的に高められる」と語る。(p. 79)

ビッグデータを分析すれば,生産性を劇的に高めるための解決策が見えてくる。

産業革命以来,人類は機械化を進め,距離や時間といった物理的な制約を小さくしてきた。そして「アトム(物質)からビット(情報)へ」。マッキンゼーによると,国境を越えるデータ流通量は 05 年から 17 年までに 148 倍に膨らんだ。調査会社 IDC は 18 年に 121 億ドル(約 1.3 兆円)だった仮想現実(VR)・拡張現実(AR)の市場規模は 22 年に 10 倍に膨らむとみる。制約のない世界は一気に広がるのか。(p. 109)

大量のビット(情報)を自由自在に扱う。

「組織の形も重要だ。日本のように工業品生産が得意な国は階層的な組織を持ちやすい。完璧で良いモノを作るには何重にもチェックできる体制が向いている。しかし優れたソフトウェアを生み出すのは,次々と試作や改良を繰り返す柔軟な組織だ。その意味で米国と中国は似ている。どちらも完璧を目指すより,『まずは動くモノを作り,改良していこう』というシンプルな理念で運営されている」(マサチューセッツ工科大メディアラボ セザー・ヒダルゴ准教授,p. 142)

『まずは動くモノを作り,改良していこう』というシンプルな理念を真似しよう。

――無形資産の何に注目していますか。

「企業などの組織が蓄積してきたスキルだ。組織に固有の人的資本ともよばれ,無形資産の中核と考えられる。米アルファベットなどの IT (情報技術)企業からトップの大学に至るまで,最も大切な資産は建物や機械ではなく人の集まりだ。人々が刺激し合うなかで新しい技術やアイデアを生み出し,スキルを高めていく過程に注目している」(プリンストン清滝信宏教授,p. 160)

人的資本を高めていくことで,組織ができることが増える。

「現状の教育システムは若いときに訓練したスキルを一生使うという考えで築かれてきた。だが今は 5 ~ 10 年ごとに新しいスキルを学ばないといけない世界だ。政府にとっても企業にとっても難しいが,新しいスキルを習得しやすい教育に変える必要がある」(ボストン大 ジェームズ・ベッセン教授,p. 202)

新しいスキルを学ばなければいけない世界だから,リスキリングが注目されている。

「500 人の生徒を 1 クラス 50 人に分けて 10 人の平均的な教師が教えるよりも,1 人の最優秀の教師が 500 人を教えた方が生徒の受ける恩恵は大きい。技術の力を借りれば 500 人の生徒を教えるのは可能で,効率もよい。弁護士や医師といった職業でも少数のスーパーマンに仕事が集中する構図は強まるだろう」(シンガポール国立大 スミット・アガルワル教授,p. 225 - 226

最も優秀な教師が教えた方が効率がよい。教師不足も技術の力で解決できるのではないか。

人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門

『人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門』(中土井 僚,PHP 研究所,2014年2月3日)を読了。

U 理論が何かを端的に表現するとすれば,それは,「何か(What)」でも「やり方(How)」でもない領域である「誰(Who)」を転換することで,過去の延長線上にはない変化を創り出す方法である(p. 50)

What や How ではなく,Who にフォーカスする。

ダイナミックな複雑性の特徴は,一言でいえば,私たちの認識できる範囲や,影響を及ぼせる範囲を超えたところでさまざまな動きが生じ,それらが私たちには見えない形で互いに影響を及ぼしあっている,ということ(p. 65)

ダイナミックな複雑性を捉えきることはできないが,捉えきれないことは認識しておく。

シンガーソングライターである Mr. Children桜井和寿さんは,「自分をまっさらな何も考えない状態にして,(自分の中から出てくる)その音と向き合わせる時に,その音楽が自分の中の何かを引き出してくれて,その引き出た何かがリスナーの何かと結びついていく」と表現されています。彼には,曲は自分の無意識が創らせてくれるもので,その無意識がリスナーとつながっていくイメージがあるそうです。(p. 211 - 212)

無意識になって,何かを創り出してみたい。

lead や leadership の語源であるインド = ヨーロッパ語の leith は "出発点(敷居)を超える" または "死ぬ" という意味だ。時に,何かを手放すということは "死ぬ" ように感じることもある。しかし,我々が U の深いプロセスから学んだことは,何かが変わらなければ,つまり敷居を越えなければ,新しいものは出てこられないということだった。(p. 223 - 224)

リーダーになるということは,何かを変えなければならない。

多くのビジョンが最初から失敗する運命にあるのは,ビジョンの策定者が,意識しているかどうかはともかく,力のない場所から出発しているからだ。(中略)U 理論からみると,多くのビジョン策定には,「U のはるか左上」でビジョンが作られているという問題がある。この場合,ビジョンを策定した人たちは,目の前の現実に対して共通の理解がなく,現実に対する責任感を共有することもない。問題はあくまで「外」にあると捉える人がつくるビジョンは,いわば「外部化されたビジョン」であり,自分たちが問題を生み出す一因になっていることに気付かないまま,問題に対応しようとする変革戦略に過ぎなくなる。(p. 227)

ビジョンを策定するときの参考にしよう。

創造のプロセスとは学習のプロセスであり,最初の時点でわかっているのは,成功するために何が必要かについての仮説であり,仮のアイデアに過ぎない(p. 249)

いきなり創造しようと思わず,創造することを目指し学習するつもりで取り組む。

「創造すること」と「問題を処理すること」の根本的な違いは簡単である。問題を処理する場合,私たちは「望んでいないこと」を取り除こうとする。

一方,創造する場合は,「本当に大切にしていること」を存在させようとする。これ以上に根本的な違いはほとんどない。(p. 278)

創造するには,大切にしていることに注目する。

ジョン・M・ゴットマン博士が提唱する関係を悪化させる「関係の四毒素」は,①避難,②侮辱・見下し,③自己弁護・防御,④逃避です。ここでいう非難は,相手の存在そのものを否定する非難も含まれています。(p. 329)

関係を悪化させる四つの毒素は消しておこう。

「口でいいこと言っているけれど,やっていることが違う」という結果に終わってしまうのは,自分の都合を優先する「小さな自己」,すなわちエゴに乗っ取られているからです。それに対して,「小さな自己」を超えた「大きな自己」につながった時には,「これが自分(たち)にとって,『本当に大切なこと』だ」と思えるようになります。その体験が深ければ深いほど,「小さな自己」は偽りの自分で,「大きな自己」が本当の自分であるという感覚があり,自分に対して嘘をつけないという実感が根づいていきます。(p. 374)

自分が本当に大切に思えることを,大切にやり続けていく。

マッキンゼーが予測する未来 ―― 近未来のビジネスは,4 つの力に支配されている

マッキンゼーが予測する未来 ―― 近未来のビジネスは,4 つの力に支配されている』(リチャード・ドッブス,ジェームズ・マニーカ,ジョナサン・ウーツェル,ダイヤモンド社,2017年1月26日)を読了。

技術革新のスピードだけでなく,それが社会に普及していくスピードも加速している。電話が 5 千万台の電話機への接続を達成するのには,ほぼ 50 年がかかった。ラジオが同じ台数普及するには 10 年がかかった。ところが,アイポッドが 5 千万人のユーザーを獲得するには 5 年,スカイプの同様な普及には 2 年しかかからなかった。さらに普及が速かったのは,携帯電話ゲームである『アングリバード・スペース』で,5 千万ユーザーを引き付け獲得するのに,35 日しかかからなかった。これは電話の普及速度のおよそ 500 倍である。こうした比較は完璧なものではないが,私たちの生きるデジタル世界の息をのむような変化の加速ぶりを示すものだ。(p. 13)

最近では,ChatGPT の普及スピードはすさまじかった。新しい技術が世の中を変えていく。

労働人口の減少は,これまでの経済成長を維持するのに必要な生産性向上にこれまで以上の重荷を課すことにつながり,逆に,そもそも経済発展の可能性が本当にこれからもあるのか,という疑問を投げかける原因にもなっている。さらに,増加する高齢者の介護は,政府に対して厳しい財政負担を与えることになる。(p. 16)

労働人口が減少する地方において,これまでどおり経済発展を求めるべきか疑問がある。適度に縮小していければよいのだが,その加減が難しい。

都市というものが成長を推進する強力なエンジンであることの理由は,数々存在する。高密度の人口集中地域には,規模の経済,労働の専業化,知識の拡散および売買により,生産性の向上が生まれる。そして,こうした生産性の向上は,ネットワーク効果によりさらに強化される。最近の研究結果によると,都市の持つ高い人口密度により,社会的・経済的な交流機会が生まれ,その結果,時が経つにつれ直線的ではなく幾何級数的な生産性の向上が生まれることが示唆されている。(p. 43)

横軸に人口密度,縦軸に維持コストと生まれるベネフィットをとると,イメージがつきやすい。

とり得る選択肢としては,2 つあるか。一つ目は,可能な限り維持コストを低減すること。これには限界があるので,人口密度の小さい地域を減らし,損益が均衡するまで人口を集約することか。

企業経営者は,自社の社員がさまざまなスキルを最先端のレベルに保てるよう,そして経営陣と取締役会のメンバーが,最新の技術開発の状況について常に報告を受けて理解しているように,システマチックな体制を築かなくてはならない。長い間確立されてきた,戦略企画プロセスも見直す必要がある。具体的には,信頼できるさまざまなトレンド情報を監視し,今後起こりうる変化のさまざまなシナリオを考え,対応策を立てておくこと,そしてどこから競合が出現し,どこにリスクがあるのかに関して,古い仮説はバッサリと捨て去ることである。(p. 86)

古い仮説に縛られないように,トレンド情報を監視し,起こりうるシナリオをシミュレーションしておく。

社外の投資家や株式市場の圧力によって,上場企業が陥りやすいのは,短期の業績ばかりを気にする「四半期資本主義」という思考パターンである。企業が今後 10 年間,いや 30 年間といった長期間の借入,投資,そして資本にかかわる意思決定を行わなければならないことを前提にすると,この超短期的思考パターンが問題の種となる。企業は,自社の考え方を再度評価し,長期の将来に現在よりも大きな価値を生み出せるように,投資意思決定をしなければならない。(p. 266)

2030 年,2050 年をターゲットにした取組みを始めておけば,将来に勝ちを生み出すことができる。

成熟経済下では,就業機会の増加の大半は複雑な問題解決「インタラクション」であり,同じルーチンを繰り返す生産および定型的「トランザクション」業務ではない(p. 276)

複雑な問題解決「インタラクション」を担う人でありたい。

受容の増加がほとんどない時期には,どこの国の経済政策立案者も,「生産性の上昇は人減らしにつながる」という,一般大衆の認識に直面することになるのである。しかし,歴史が証明しているのは大衆の認識とは逆である。1929 年以降の 10 年間ごとの移動平均値を比べると,アメリカでは求人需要と生産性の向上は,手を携えてともに歩んできている。残念ながら,統計が示すものとは逆の結論となった一般通念を払拭することは,困難であることが立証されてしまっている。(p. 336)

生産性が上昇しても,人間がいる分だけ,新しい仕事は増えていく。

過去のトレンドが破壊される時代が,政府と政策決定者に課している不確実性とプレッシャーの重大さと意義深さは,企業や経営者に課されるものと何ら変わらない。公共部門のリーダーもまた,こうした挑戦課題に正面から立ち向かうために,経営資源を確保し,合意を形成する能力によって評価されるようになるだろう。(p. 357)

政府と政策決定者も,考え方を変えなければならない。

組織のリーダーは,自社の組織が持つ多くの直感力をリセットするためにできること(p. 366)

  1. リーダー自身が自らの直感力をリセットする能力を開発しなければならない
  2. 好奇心と学ぶ気持ちとを組織の中に埋め込むこと

直感力をリセットするため,自らの能力開発を続けていく。