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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

藤原氏の正体

日本の歴史で常に存在感を示す藤原氏の正体に興味があったので『藤原氏の正体』(関 裕二*1著,新潮文庫,2008年12月1日発行)を読了。

この本の中で,一番印象的だったのは,

藤のとりついた木は枯れてしまうものだ

というフレーズ。

藤,つまり藤原氏*2がとりついた木とは,天皇家とも考えることができる*3

今日においても,天皇家は存在しているように見えるが,実は,藤のとりついた天皇家,人知れず枯れてしまっているのではないか。

天皇」を語るには,タブーがあるとされている。しかしその幻想の皮をはぎとれば,じっさいのタブーは「天皇」にあったのではなく,「天皇」を隠れ蓑にして私利私欲に走った権力者「藤原」にこそかけられていたのではあるまいか。天皇の正体を明かすということは,藤原の歴史を白日のもとに曝す作業にほかならないからである。(p. 5)

現代においても,日本の歴史は,藤原氏の歴史なのか。

まあ,藤原氏の歴史において釈然としないのは,そのルーツであるのは言うまでもない。

この本の中においても,第二章において藤原氏の出自について取り上げられている。

藤原氏最大の謎は,日本でもっとも高貴な一族でありながら,いまだに出自がはっきりしていない,ということである。(p. 72)

若干のネタバレになるが,中臣鎌足は当時朝鮮半島百済から人質として来日していた,百済王・豊璋ではないかという主張を著者は展開している。

それはなかなか興味深いものであった。

  • 第一章 「積善の藤家」の謎
  • 第二章 謎に包まれた藤原氏の出自
  • 第三章 律令制度で日本のすべてを私物化した藤原氏
  • 第四章 祟りにおびえる藤原氏
  • 第五章 藤原氏と日本の官僚の根源

更新履歴

  • 2009年1月18日 新規作成
  • 2021年10月30日 加除修正
  • 2022年12月10日 「藤原氏」の注釈を追加
  • 2024年1月12日 本書を読んだ経緯を追加
  • 2024年1月28日 検索エンジン向けタイトル「藤原氏の正体とは?」,SNS 向けタイトル「藤原氏の謎と歴史の秘密 #藤原氏 #歴史」を追加

*1:歴史作家。千葉県柏市生まれ。仏教美術に魅了され奈良に通いつめ,独学で古代史を学ぶ。1991 年に『聖徳太子蘇我入鹿である』でデビュー。以後,精力的に執筆活動を続ける。主な著作に『物部氏の正体』『蘇我氏の正体』『古代史謎解き紀行』『「天皇家」誕生の謎 古代史から見た権力と天皇』『おとぎ話に隠された古代史の謎』など多数。

*2:藤原氏とは,飛鳥時代藤原鎌足を祖とする神別氏族で,多くの公家を輩出したほか,日本各地に支流がある。1 200 年以上もの間,廷臣の一大勢力であった。

*3:藤原氏は,天皇家外戚となることによって,揺るぎない権力を手に入れた。