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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

企業の天才! 江副浩正 8 兆円企業リクルートをつくった男

『企業の天才! 江副浩正 8 兆円企業リクルートをつくった男』(大西康之,東洋経済新報社,2021年2月11日)を読了。

リクルートは「ファクトとロジック」「財務諸表と経営戦略」の会社になりました。人の情緒に訴える「カリスマ経営」の対極に位置する,日本では珍しいタイプの会社です。「世界の情報をすべて整理する」という社是を掲げたアメリカのグーグルも,ロジックの会社です。その意味で,リクルートとグーグルは同じタイプと言えるかもしれません。(位置 No. 37)

リクルートとグーグルは似ている,

日本はいつから,これほどまでに新しい企業を生まない国になってしまったのか。答えは「リクルート事件」の後からである。

リクルート事件が戦後最大の疑獄になったことで,江副が成し遂げた「イノベーション」,つまり,知識産業会社リクルートによる既存の産業構造への創造的破壊は,江副浩正の名前とともに日本経済の歴史から抹消された。(位置 No. 344)

リクルート事件がなかったら,日本で新しい企業が生まれていたか。

起業家を志す人間には「お山の大将」が多いが,「なんでも自分が一番」では会社が大きくならない。「ユニコーン(幻の一角獣=10 億ドルを超える企業価値を持つ未上場ベンチャー)」を立ち上げる人間は,優れたビジョンと,そのビジョンの実現のために優秀な人間を巻き込んでいく力を兼ね備えた人間でなくてはならない。(位置 No. 720)

どんなに優秀な人でも,一人でできることは限られている。優秀な人を巻き込むようにする。

江副は自分を含めた社員に対して「こうしろ」とは言わない。社員が常々,不満に持っている事業や,自分が「やってみたい」とか「変えなければいけない」と思っている事柄について「君はどうしたいの?」と問いかけるのだ。(位置 No. 1858)

自発的に動き出すように仕向ける手法は参考にしよう。

瀬島はどんな難しい問題でも,まず結論を述べ,そのあと簡潔に理由を三つ挙げた。陸大を首席で卒業した陸軍作戦参謀の習い性である。(位置 No. 3385)

説明の手法として参考にしよう。

稲盛は常々,『資治通鑑』(11 世紀,中国・北宋司馬光が編纂した歴史書)の言葉を引用し,聖人(得も才もある者),君子(徳が才に勝る者),小人(才が徳に勝る者),愚人(徳も才もない者)の中で「組織を危うくするのは小人だ」と説いていた。正直で愚鈍なタイプを好み,目から鼻に抜けるタイプを遠ざける傾向があった。(位置 No. 3416)

徳と才では,得を伸ばした方がよいのか。

江副は徹頭徹尾「ゼロ・トゥ・ワン(ゼロから事業を立ち上げる)」の経営者であり,「1 を n 倍にする(既存事業を何倍にも大きくする)」には興味がないのだ。(位置 No. 3899)

既存事業を何倍にも大きくするのは,努力で何とかなるかもしれない。ゼロから事業を立ち上げるのは,努力だけではなし得ないか。

Different Heartbeat(ディファレント・ハートビート = 心臓の鼓動がふつうの人と違う人)。常人とは全く異なる発想をする宇宙人のような人間を英語では,そう表現することがある。(位置 No. 3983)

常人とは異なる発想をする人を Different Heartbeat と読んでみよう。

1980 年に発刊された世界的なベストセラー『第三の波』の中で著者のアルビン・トフラーは,1 万年前に始まった農耕社会を「第一の波」,産業革命後の工業化社会を「第二の波」,次に訪れる情報化社会を「第三の波」と定義した。冒頭でトフラーはこう語っている。

<産業主義を存続させようとする人とそれを押し除けようとする人の間に大闘争があることを認めてはじめて,現代世界を理解するカギを手に入れることができる>(位置 No. 4146)

情報化社会は第三の波。情報化社会の波に,日本はかなり乗り遅れてしまった。

時の政権を倒し,ついに死者まで出した事件について,評論家の俵孝太郎は 1989 年 5 月 24 日付の読売新聞への寄稿で,こう語っている。

「なんの具体的な証拠もないのに,憶測や予断や偏見や政治的打算に基づいて,政治的,道義的責任を問うという美名のもとに個人攻撃を加えるのは,明らかな政治的リンチであって,法が支配する社会で許される行為ではない」

こうした冷静な論評は「巨悪を逃がすな」とばかり "一億総特捜検察" となった世論の前では,焼け石に水だった。(位置 No. 5764)

感情的になりがちな世論は,ほとぼりが冷めるまで攻撃を加え続ける。

「信用できるのは大銀行や中央官庁で,起業家やベンチャーはいかがわしい」

この価値観もまた,バブル崩壊から 30 年経っても日本経済が停滞から抜け出せない根本的な原因のひとつなのかもしれない。(位置 No. 6330)

大銀行や中央官庁は,いかがわしくないかもしれない。起業家やベンチャーのようないかがわしくないものを受け入れる社会でありたい。

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