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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

だから僕たちは,組織を変えていける

私は色々な組織に属している。その中には変えなければならないと強く思える組織もある。だから私は「だから僕たちは,組織を変えていける」(斉藤 徹,インプレス,2022年1月1日)を手に取った。

規模の経済を謳歌していた大企業は,組織や事業が複雑化していた。外部との市場競争より内部での出世競争にエネルギーが費やされ,新興企業の意思決定の質と量についていけない。既得権益だけに頼った企業やテクノロジーを軽視した企業は,急速に衰退していった。(位置 No. 331)

私が属している企業は,衰退のフェーズに入ってはいないだろうか。その衰退を止めるために私ができることは,テクノロジーを追求していくことか。

最後に,3 つのパラダイムシフトがうながした「知識社会にふさわしい組織像」を,シンプルな言葉にまとめて,次の章にバトンを継ぎたい。(位置 No. 480)

  • デジタルシフト:顧客の幸せを探求し,常に新しい価値を生みだす「学習する組織」
  • ソーシャルシフト:社会の幸せを探求し,持続可能な繁栄をわかちあう「共感する組織」
  • ライフシフト:社員の幸せを探求し,多様な人が自走して協働する「自走する組織」

学習し,共感し,自走する組織は,まさに「ありたい姿」である。

  • 「志を改める」:志や価値観が共有されていないため,現場の最優先事項は数字づくりになっている
  • 「能力を解き放つ」:短期の成果が評価基準になっており,メンバーの創造性や部門間の信頼を削いでいる
  • 「再生を促す」:現場には改善すべき点が数多くあるが,顧客よりも社内マターが優先されている
  • 「権限を分散させる」:縦割り組織や複雑な手続きが,意思決定の柔軟さやスピードを著しく劣化させている
  • 「調和を追求する」:部門は成果で評価されるので,会社利益より部門利益が優先される
  • 「発想を変える」:数字をあげることに精一杯で,新しい発想やイノベーションを考える余裕がない(位置 No. 535)

これらのことは,自然体でできる組織でありたい。

  • 結果を…人を評価する基準ではなく,学習する機会と捉える組織
  • 現実を…過剰に警戒する対象ではなく,共感する機会と捉える組織
  • 仕事を…義務ではなく,自己成長と価値創造の機会と捉える組織(位置 No. 786)

失敗が許されないような風潮では,学習する機会がない。

職場で言ってはいけない暗黙のルール by エドモンドソン(位置 No. 1305)

これらの暗黙のルールの中には共感できないものもある。私のルールは,こんな感じだろうか。

  • 上司が手を貸した仕事であっても,批判すべき点があれば批判する。
  • 上司の上司がいる場で,上司が言うべき意見を言っていなければ意見をいう。

封建時代の政治原理に「民は由らしむべし,知らしむべからず」というものがあった。出典は論語だが,江戸時代には「法律や施政の意味など人民に教える必要はない,一方的に守らせればよい」という意味で用いられた。「背中を見て学べ」という考え方に近いものがある。このような物事の伝え方は,表のいちばん左側にある「無動機づけ」にあたる。(位置 No. 1623)

「民は由らしむべし,知らしむべからず」や「背中を見て学べ」には,共感できる。教えなくとも,わかってくれる人がいると幻想を抱いてしまう。

「十分な数の人々が,内発的な動機から自分の幸せの実現に全力をあげるようになった時こそ,組織の進化における決定的瞬間である」とは,ピーター・センゲの名言である。(位置 No. 2257)

このような決定的瞬間を体感したい。

学習する組織 ~メンバーの自律性を活かした,シンプルな業務システム(位置 No. 2348)

  1. 全体のビジョンを共創する対話の場を設ける
  2. 本社と部門が対話で意味を共有し,相互に理解し,部門のビジョンを共創する
  3. 部門内でも,管理者とメンバーが対話を通じ,チームのビジョンを共創する
  4. ビジョンと現実の差異は学習の機会とし,関係者とコラボして,価値を創造する
  5. クレームやトラブルも学習の機会とし,関係者とともに解決し,知識を蓄める
  6. 組織や個人の学習を組織として共有し,SECI モデルで組織を進化させる

対話を通じてビジョンを共創する。そして,ビジョン実現のため様々な学習の機会を通じて,価値を想像し,組織としても進化する。

「トンネル・ビジョン(心理的視野狭窄)」とは,不安や不満などのストレスを抱えた時に,視野が狭くなり,中心部分しか見えなくなってしまう現象をいう。この現象は,ストレス処理に心理的エネルギーが使われるために,脳が周辺情報の取り込みを制限することで起こるとされている。(位置 No. 2663)

トンネル・ビジョンに陥らないよう,不安や不満などのストレスは抱えない。

現在,日本の職場は疲弊の極みといっても過言ではない。2017 年に実施されたギャラップ社の「エンゲージメント・サーベイ」では,日本企業に働く社員のうち,熱意のある社員の比率はわずかに 6 %,逆に不満を撒き散らす社員は 23 % にものぼり,エンゲージメントは世界でも最低レベル,まさに天国から地獄なのだ。これが日本企業のマネジメントの実態である。(位置 No. 3057)

日本企業のマネジメントの実態は,私の属する企業でも見られる。この実態の原因を突き詰め,解決していかなければ,国際的な競争力を失ってしまう。