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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

デジタル資本主義

『デジタル資本主義』(此本 臣吾 監修,森 健・日戸 浩之 著,東洋経済新報社,2018年5月3日)を読了。

トマ・ピケティは『21 世紀の資本』のなかで,長期的にみれば資本収益率が経済成長率よりも高く,この大小関係によって資本を持つ人はより豊かになり,経済的な格差は拡大し続ける,と述べている。(p. 112)

資本を持つことを目指すのは,よい戦略。

私は社会人になってから 3 年で資本を持つことを志したので,資本収益率の恩恵にあずかっている。

市場の参加者(消費者,生産者,政府等)が持っている情報量や内容には違いがあること,そして誰も完全な情報を保持することはできない。そのような現実のなかで,不完全な情報や情報量の偏りの世界を前提とした新たな経済理論が開発され(例:ゲーム理論,サーチ・コスト理論,逆選択問題,プリンシパル・エージェント問題など),情報制約を経済モデルに組み込む試みが進められてきた。(p. 129)

不完全な情報や情報量の偏りの世界を前提とした新たな経済理論は,知っておいて損はない。

デジタルデータの増加は情報制約を緩和する効果がある。つまりこれまで不完全情報下において憶測で行動していた経済主体の行動が変化するのである。情報制約の緩和によって市場取引が増加したり,取引価格に影響を及ぼすことが考えられるので,以下その例をいくつか見てみよう。(p. 130)

デジタルデータの増加により,情報制約がどれだけ緩和するかを想像してみよう。現実世界へ与える影響は小さくない。

しかしすべてのモノが限界費用ゼロでコピーできるかと言えばそうではない。たとえばケヴィン・ケリーは,デジタル時代にコピーできないもの,ゆえに人々がお金を払うものとして,「即時性」,「パーソナライズ」,「解釈(例:無料ソフトの利用ガイド)」,「信頼性」,「アクセス可能性」,「実体化(例:ライブコンサート)」,「支援者(例:投げ銭,お布施)」,「発見可能性(例:自分の好みの映画を推薦してくれる Netflix)」の 8 つを挙げている。

この 8 つを突き詰めていくと,3 つのカテゴリーに集約できると考えている。それは「時間」「こだわり」「信頼」である。(pp. 136 - 137)

お金を稼ぐためのコンテンツでは,「時間」「こだわり」「信頼」を大事にする。

リフキン*1が描く未来社会では,通信,輸送,エネルギーが「限界費用ゼロ」で提供される。

つまり,インフラ整備のための初期投資にはコストがかかるものの,整備が終わってしまえば,その後の利用にかかる追加的な費用は(ほぼ)ゼロになる世界である。通信に関してはすでにそのような世界が生み出されているが,これが輸送,エネルギーの分野でも実現する。すべての建物には太陽光パネルなどの再生可能エネルギー源が設置されて,エネルギー・インターネットを通じて互いに融通し合う。自動運転で動いている自動車も再生可能エネルギーを使う。インターネットが単なる通信手段ではなく,分散型の再生可能エネルギーと,自動化されたロジスティックスをも管理するコミュニケーション媒体になる世界である。(pp. 225 -226

エネルギー業界に身を置いている。エネルギーを提供するコストの大きさを知っているが故に,エネルギーが限界費用ゼロで提供される未来を想像することはできない。

*1:限界費用ゼロ社会」を描いたジェレミー・リフキン。